(台湾の窓口、桃園国際空港の免税店エリア。空港、なかなか広いですよ)
ALISに「投げ銭機能」が実装されて、これからトークンを介した「信頼の可視化」がどのようになっていくか楽しみですね!
トークンを介して人と人とのつながりをいろんな形で表現する方法は、「トークンエコノミー」という言葉を出すまでもなく、いろんな形が世界中で模索されています。
今回は以前の記事で取り上げた、台湾の立法委員(日本の国会議員に相当)である許毓仁さんがトークンを介して自らの仮想通貨に関する政策をブラッシュアップしていこうという取り組みを、実際に展開しはじめているというニュースを目にしましたので、少し書き留めておきたいと思います。
ちなみに、許毓仁さんの言動については、以下にまとめ記事を上げてありますので、どんな人物か興味がある方はこちらを見ていただければと思います!
・潘基文さんやヴィタリクさんにトークン配布⁉︎
・ブロックチェーンをどのような方向で活かしていくか?
・台湾への国際的注目度を高めていくために?
台湾の中央報道機関である「中央通訊社」が報じた記事によると、2018年9月9日に香港で開催された「全球區塊鏈智能大會(グローバルブロックチェーンスマートカンファレンス)」に台湾の立法委員である許毓仁さんが出席し、大会で同席した前国連事務局長の潘基文さんに「OCW幣(OCWトークン)」を手渡したということです。
「OCW」は「One Crypto World」の略称で、許毓仁さんがユーティリティトークンとして独自に発行しているものです。
冒頭に挙げた記事にも書きましたが、許毓仁さん自身は「政策認同幣(政策アイデンティティトークン)」と位置づけていて、このトークンを持っている人は許毓仁さんの政策立案に関わることができるとしています。
ただし、取引所に上場されたりICOが実施されるということはなく、「串連世界上的區塊鏈領域的意見領袖(世界のブロックチェーン分野のオピニオンリーダー)」に配布するとされていましたから、誰もが政策立案に関わることができるというものではないと説明されていました。
このトークンが今回、潘基文さんに手渡されたということですね。
トークンの情報が記された名刺(?)を手渡しする様子は、許毓仁さんの公式Facebookページにも写真が掲載されています。
また、台湾のニュースサイト「ETtoday新聞雲」が報じた記事によれば、香港の別の会場では、イーサリアムの開発者であるVitalik Buterinさんにもトークンが手渡されたそうです。
ヴィタリクさんと許毓仁さんは旧知の仲で、許毓仁さんの愛称である「CryptoCongressman」はヴィタリクさんが名付けたと言われています。
最近もアメリカで対談するなど、関係性を継続させている様子がうかがえます。
この二人が実質的に許毓仁さんの政策立案に関わるということは考えにくいので、多分にプロモーション・パフォーマンス的な色合いが強いと思います。
こうした動きが多様なメディアで報じられることで、仮想通貨・ブロックチェーンへの注目度を高めていくという役割は果たしているのかなというように感じます。
パフォーマンス的な意味合いが強いように感じる今回の許毓仁さんの動きですが、他方で、潘基文さんとともに登壇した会議でも、潘基文さんが投げかけた世界経済に関する問題提起に対して、ブロックチェーンによる解決方法を提起するという形で議論を深めたようです。
台湾の各種メディアの記事にも転載されている、上に挙げた許毓仁さんの公式Facebookページの投稿記事によれば、潘基文さんがこれからの世界においては科学技術や教育の分野により一層注力しなければならないと提起したことについて、許毓仁さんは、ブロックチェーンと絡めた以下の4つの観点から応答したようです。
①政府應該要提供更多的科學研究經費,補助底層的區塊鏈技術,務求新的突破。
(政府は多くの科学研究費を提供し、基層技術であるブロックチェーンを補助し、新たなイノベーションを起こすべきである)
②執政者應該要協助創造更多好的應用場景
(政治家はより多くの素晴らしいアプリケーションが生み出されることをサポートするべきである)
③強調「幣鏈分離」。在幣的部分,政府應該介入納管;而鏈的部分,政府應該要提供更多的投資。
(「仮想通貨とブロックチェーンの分離」を強調する。通貨の部分は、政府は管理に介入すべきであり、チェーンの部分は、政府は多くの投資を提供するべきである)
④在教育領域方面,由於當前技術人才仍非常稀缺,應該從上到下,開始導入更多區塊鏈的課程、甚至透過區塊鏈的技術來發展線上大學。
(教育分野においては、今のところ技術者が非常に不足しているので、上から下まで、広く多くのブロックチェーン教育課程の導入をスタートさせ、将来的にはブロックチェーンによって展開されるオンライン大学を設置するべきである)
①〜③は僕のこれまでの記事のなかでも取り上げてきた基本的な方針ですが、④については、教育とブロックチェーンとの関連を明確に述べたものとして注目すべきビジョンのように感じました。
世界のトップ50の大学のうち、42%の大学で仮想通貨・ブロックチェーンに関する講座が設置されているということをMALISさんもALISで記事にされていましたが、そうした動きが許毓仁さんの頭の中にもあったのかもしれません。
こうした話を潘基文さんと共有しつつ台湾の状況への注目を促したということが、今回の許毓仁さんの動きで注目すべきポイントなのかもしれませんね。
今回の許毓仁さんと潘基文さんとの接触で、許毓仁さんは潘基文さんに台湾への訪問を強く願い出たそうです。
OCWトークンの配布は、それそのものに意味があるというよりも、こうした形で接点を生み出し、台湾への注目度を高めていく、台湾への認知度を高めていくということがあるように感じました。
ヴィタリクさんとの継続的なつながりもそうですが、許毓仁さんはたびたび国際的な舞台に飛び出し、台湾とブロックチェーンとの関わりと、台湾が世界的に果たしうる役割について訴えています。
台湾を「區塊鏈之島(ブロックチェーンアイランド)」にしていくというキャッチフレーズを掲げていることも、そうした意欲の表れと言えるかもしれません。
一見すると、トークンの活用方法としてはトリッキーなように見えますが、その目指すべきところは大きいように感じます。
こうした些細な動きを含めて、これからも許毓仁さんの動向からは目が離せないと思いますので、コツコツと追いかけていきたいと思います!