(台北で一番長い?とウワサのMRT忠孝復興駅のエスカレーター。本当に長いです)
ブロックチェーンに関する技術やサービスの開発は、世界各地でさまざまな企業がしのぎを削っていますね。
企業間の提携も活発ですし、産官学の連携のもとで技術開発からサービスの普及までを広く実現していこうとする動きも多く見られます。
そうした状況のもとで、これまでサービス開発を主におこなっていた企業が、ブロックチェーンの基層技術開発やサービス拡大に手を広げているような動きもまた見られるようになってきました。
今回は、台湾の仮想通貨取引所がブロックチェーンをめぐる幅広い動きを見せているということで、少し書き留めておきたいと思います。
・DEXONが主催するハッカソンが開催
・そもそも、DEXONって?
・技術・サービス開発の裾野は広がるか?
台湾のICT系ニュースサイト「TechNews科技新報」が2018年12月18日に掲載した記事によると、DAppsの開発プラットフォーム提供を目指している「DEXON」が主催した、台湾で初めてのDApps開発ハッカソンが12月15日・16日の二日間、開催されたということです。
ハッカソンの公式情報については、DEXONの公式ウェブサイトに公表されていました。
記事によれば、今回のハッカソンはDEXONを中心に、台湾のスタートアップアクセラレーターであるAppWorks、仮想通貨取引所であるCOBINHOOD、ハードウェアウォレット開発を手がけるLedger、ブロックチェーン専門メディアのBlockTempoなど、台湾のスタートアップおよびブロックチェーン開発をリードする企業によって開催されたということで、22団体・68名が参加してしのぎを削ったそうです。
このうち、AppWorksとCOBINHOODについては以下の記事に書き留めました。
今回のハッカソンの開催目的について、DEXONの共同創業者でCTOの黄偉寧さんは以下のように語ったそうです。
ハッカソン開催の主な目的はブロックチェーンの開発からローンチまでを実現することにあり、単なるゲームだけではなく、更に実用的なアプリが生まれることを期待しています。
(辦這場黑客松的主要目的就是要實現區塊鏈從研發到落地,不只是遊戲類型,我們希望看到更多實際的應用。)
こうした目的に沿うように、今回のハッカソンで優勝したサービスは「作業者トークン、生活サービスとコミュニティプラットフォーム(工具人幣生活服務與社交平台)」という、専門的な技術の提供と享受をトークンを介したやり取りによって実現するというサービスだったようです。
そのほか、電子投票プラットフォームやチケット販売プラットフォーム、脱中央集権化掲示板、P2Pタクシープラットフォームなど、トークンエコノミーの形成を意識したようなDAppsの開発が目立ったそうです。
ここからどのような形で実現へと向かっていくかが楽しみです!
今回のハッカソンを主催したDEXONについては、「TechNews」が2018年11月14日に掲載した記事で、「インターブロックチェーンのテストネット(底層鏈的測試網)」を11月13日に公開したことが報じられています。
記事では今回のテストネット公開によって、具体的なサービスとして「DEXSCAN」というブラウザ(瀏覽器)と、「DekuSan」というウォレットアプリ(錢包應用)が実装されたということです。
DEXONの公式ウェブサイトに公開されているテストネットによれば、Chromeの拡張機能を使用する形で利用できるようです。
DEXONが開発している技術については、以下のように説明されています。
DApps開発用の限りなくスケーラブルで、パーミッションがなく、遅延が少なく、ビザンチンフォールトトレラントな分散型プラットフォームを提供することで、DEXONはブロックチェーン技術のマスアダプションを妨げる既存のボトルネックを解決することを目指している。
(By providing an infinitely scalable, permissionless, low-latency, and Byzantine fault tolerant decentralized platform for DApps development, DEXON aims to solve existing bottlenecks that hinder the mass adoption of blockchain technology.)
公式サイトに掲載されたホワイトペーパーによれば、技術的なアピールポイントとしては、「無限のスケーラビリティ(Infinite Scalability)」を目指して、「Blocklattice」と名付けられた技術をベースとして開発しているようです。
Blocklatticeについては、以下のように説明されています。
DEXONは、そのBlocklatticeアーキテクチャによって無限のスケーラビリティを実現する。トランザクション処理のスループットは、DEXONコンセンサス内のパラレルブロックチェーンの数に比例して増加する。
(DEXON achieves infinite scalability through its blocklattice architecture. The transaction processing throughput scales linearly with the number of parallel blockchains in the DEXON consensus.)
…この説明だけではなかなか理解が難しいところなのですが、ホワイトペーパーに合わせて示されているイメージ図を見る限りは、DAG(有向非巡回グラフ)のようなイメージが表現されています。
技術的な重点としては、トランザクション処理のスピードが克服すべき課題として意識されていますが、ここにはDEXONの成立背景がかかわっているようです。
台湾のブロックチェーン専門メディア「BLOCKTEMPO」が報じた記事によれば、DEXONはCOBINHOODの経営グループが創設したスタートアップで、取引スピードの向上を背景として技術開発に取り組むことになったということです。
仮想通貨取引にかかる技術的なハードルを解消するために、自らスタートアップを立ち上げて技術開発を進めているということになりますね。
COBINHOODについては上に挙げた記事に少し書き留めましたが、手数料ゼロを実現した取引所として名を馳せるなど、積極的な姿勢が注目されています。
基盤となる技術も自分のところで開発しようというアグレッシブな姿勢がどのように展開していくか、楽しみです!
DEXONはCOBINHOODの技術開発を担うスタートアップとして位置づけられていますが、今回のDApps開発ハッカソン開催に見られるように、多様な技術やサービス開発の動きを広げていこうとしているように感じます。
僕の過去記事でも多様なスタートアップの取り組みについて書き留めてきましたが、「ブロックチェーン元年(區塊鏈元年)」を迎えたと言われている台湾では、多くのプロジェクトが動き出しています。
そうした動きがより大きな流れになっていくためには、今回のハッカソンのようにすでにフロントランナーとなっている企業や人々が後進を引っ張り上げていくような動きも大切だと思います。
技術的な展開も含めて、台湾のブロックチェーン・仮想通貨関連のサービスがどのように展開していくかということにも注目しながら、これからの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!