こんにちは~。
株式会社REGATEの金城です。
※2020年1月12日に書いた記事を加筆修正しました。
本日のコラムテーマは
OYOの立て直し・・・そして失敗
です!
2019年末ごろにOYOについて様々な方向から言われていることをまとめた記事が好評でしたので、あらためてOYOについて考えてみようと思った次第です。
ここからの内容は沖縄の田舎の小さな不動産業者の勝手な独り言です。
そもそもOYOって何だろう?聞いたことがない。。。
という人にめちゃくちゃ簡単に説明すると
ホテルをサブリースして付加価値をプラスしながら利益を上げるというスキームで急成長たインド発祥のユニコーン企業です。
2019年3月にソフトバンクビジョンファンド(SVF)から巨額の出資を受けて日本の不動産市場を変えてやる!(乗っ取る?)くらいの勢いで日本に参入してきました。
「OYO Hotel」として全国の地方ホテルを攻める戦略と、「OYO Life」として賃貸不動産市場を変えるという戦略の二大柱を掲げてスタートを切りましたが、、、、
2019年8月ごろから徐々に雲行きが怪しくなり、ついに昨年末にヤフーとの合弁解消となったわけです。
インド「OYO」の賃貸事業、ヤフーが合弁解消
そして年明けから再始動をするべく事業の立て直しに向けて奔走しているという感じです。
まず、なぜここまで騒がれているのか?という事ですがソフトバンクグループのWeWorkへの投資失敗によって赤字転落!と騒がれたあたりからOYOもやばくね?って感じで注目を浴びた印象です。
2020年4月のソフトバンクグループの1兆3000億円の赤字見通しの発表とWeWorkの賃料未払いが注目されているので、遅かれ早かれまたOYOの事もまた再燃するのかな?と考えています。
ソフトバンクG、赤字1.3兆円見通し 投資先経営悪化
WeWork、賃料が払えなくなってきた
さて、ここからOYOの戦略的な失敗を二つに分けて考えます。
「OYO Hotel※ホテル事業」の失敗。。。
インドでは従来の宿泊施設で「清掃が行き届いていない」「予約したのに部屋が取れていなかった」などの問題点が多かったらしいです。
そこでOYOがサブリースで借り上げる代わりにスマホによる清掃実施チェックや予約システムを導入することで、集客に困っていた地方の宿泊施設とOYOとでWinWinの関係が築け爆発的に成長し、ついにOYOは世界で二番目に客室数が多いホテルグループになるまでに至りました。(2019年9月時点で)
さて、ここまでは順風満帆。では失敗は?という点ですが・・・
まさに日本の市場とマッチしなかった。と言う点につきます。
日本のホテルや宿泊施設はそもそもきれいですし予約もスマホでワンタッチでできます。
日本のホテルではOYOのサービスを使う必要性がそこまでなかった、、、ということですかね。
ホテル事業にはあまり詳しくないので断定的なことは言えませんが・・・
この戦略の失敗+コロナの旅行客減少・・・まさに踏んだり蹴ったりです。
「OYO Life※不動産賃貸事業」の失敗。。。
日本の不動産を借りるときにはネットで探して(もしくは直接問い合わせて)不動産屋さんに行き、重要事項説明、契約、保証人、保証金、敷金、礼金、、、など煩雑な手間がかかります。素人目線だととても面倒な作業のオンパレードでよくわからないお金がたくさん出ていきます。。。
そこに目を付けたのがOYOです。
賃貸アパートをOYOが借り上げて予約システムを導入し、
「旅をするように暮らす」をコンセプトにしてスマホ一つで簡単入居を実現。
敷金礼金などは一切かかりません!ワンタッチで即入居!という謳い文句で従来の賃貸不動産市場に黒船として殴り込みにきたわけですね。
私も不動産業を賃貸から売買まで一通りやってきましたので古臭い風習が多い業界が変わるかも??と少しは期待をしていました。。。。
ですが、この不動産賃貸事業は見事に大失敗を喫することになりましたw
この事業の最大の失敗は不動産業者とオーナーさんと入居者をなめていた、、、という点でしょうね。日本では短期滞在のニーズがそこまで多くないという点も失敗の一因です。
OYOのクレームをネットで探すとめちゃくちゃ出てきます。
その辺のタチの悪い不動産屋さんよりもクレームを大量発生させていますwww
一方的にサブリースの解除を申し出たり、契約書類は渡さない。賃料も払わないのに部屋を引き渡せと言ってくるし。。。
※細々としたクレームは以下の動画やリンクを見てください。
ま、ここまで見てわかることは「OYO Hotel」「OYO Life」の両社で言える失敗は一度海外でうまくいったロジックをアレンジせずにそのままトレースして日本に持ってきてしまった。という点だと思います。
これってどんな経営にも言えることだと思うんですが、お客様の視点と会社側の視点は違うし、地域の特性やニーズも違う、風習も違うし、文化も違う。
よそで上手くいったことを工夫もせず(少しは変えていた思いますが)にそのまま押し通そうとしてもダメってことです。
ましてや国を超えて展開しているので地域に馴染むのは少なからず検討するべきだったという事でしょうね。
不動産屋目線で言うと
「日本の不動産の習慣とか、地元の不動産屋さんの感情を一切合切無視したのが一番悪い」
と言うことに尽きると思いますw
2020年初めにOYOは経営指標の転換を発表しました。
・OYOがインド中国で1800人削減、インドでは更に1200人削減計画
・大阪と名古屋からの撤退
リストラ、エリアの絞り込みはまあ、普通やりますよね。真っ当な経営判断だと思います。
・KPIを部屋数から物件の稼働率と顧客満足度に←これに注目してちょこっと掘り下げます。
このKPI(重要業績評価指標)ですが当初は市場を取るという名目で借り上げ物件を増やすことに集中していました。んで、金にものを言わせて市場相場を完全に無視した借り上げ作戦に突っ走りすぎて「オーナーさん」「不動産業者」「入居者」の三方向からクレームが大量発生し、信頼も何もかもを失っちゃいましたw
「このまんまだとやばいから軌道修正します!いまからお客様に目を向けま~す。」
と宣言した感じです。
今までさんざん相場と現場を無視してオーナーさんと業者を敵に回した後に手のひらを返したように稼働率と顧客満足度を上げるって、ものすごく難しいと思いません?
だって不動産賃貸市場で「オーナーさん」「入居者」「不動産屋」の三方向を敵に回したんですよw
偉い人の言い分では「部屋数を集めてデータが取れたので今からは現場を育てる」という方針だそうな。。。
「賛否は多いが逆に広告代わりになって知名度が上がったからOK」と言っている関係者もいるとかいないとか・・・
最後にまとめとして、、、
日本の不動産市場は確かに凝り固まった古い人が席巻している既得権益の最たるものだと思います。
OYOの戦略では「資金力」と「勢い」で不動産のキーになる「オーナーさん」と「入居者」とそれを繋げている「不動産業者」をねじ伏せられると思っていたんでしょう。。。
OYOさんの経営首脳陣に不動産畑の人が少なかったという情報もありますが、
IT業界などの最先端のテクノロジーに触れている人にとってIT化が遅れている不動産業界を変えることは簡単そうに見えるんでしょうね。
とあるオフィスビルに集まったITの専門家たちが
「不動産業界ってめちゃ遅れているよね」
「こんな古い業界ならITで改革するの簡単じゃん?」
「お金もあるしやっちゃおうぜ♪」
という会議をやったのかもしれません。
私もITには明るい方で不動産業界はこれからITによってどんどん変化するだろうと目論む一人ですが、不動産は情報が命。
その情報をうまく集めてビジネスにするには地元の不動産業者さんや現場のお客様の生の声は無視できません。
突っ走って自社の利益を求めるのもいいのですが、既存の業界と寄り添う事も重要なんだと思いました。
どれだけITが発展しても現場の古臭くて泥臭い仕事を尊重しないと何もできないよな〜と気づかせてくれた一件ですね。
思うままにOYOさんについて適当に分析してみました。
※2021.3.16追記 この記事を書いた後に賃貸事業の「OYO life」は撤退しちゃいましたね。黒船沈没ですw
では~