学校や塾・予備校で教えているのは「受験英語」と呼ばれるもので、文法学者を作ることをめざしているのかな?一方で、ECCのような英会話学校で教えているのは「資格英語」と呼ばれるもので英語の俳優を作ることをめざしているのかな?
受験英語の目標は「入試で合格」。資格英語の目標は「TOEICや英検など資格試験の高得点や合格」。受験英語の採点は大学の先生で、指導は教師の方。一方、英会話学校の多くはネイティブ。受験参考書は使用しません。
その結果、受験英語を習った私は名古屋大学に合格できても英語はまったく話せませんでした。家庭教師はできましたよ、文法的な説明は得意でしたから。ECCに通った私は英検の2級には合格していました。舞台の上で英語の演技はできました。英語のセリフはいっぱい頭の中にありましたから。でも、自分で話しているのではありません。
結局、英語が使えるようになったのはアメリカで中学教師をしている時でした。日本の英会話学校で出会ったフィリピン人、イラン人、フランス人、チェコ人ではなく、アメリカ人からネイティブの英語を学んだんです。
私は「受験英語」も「資格英語」も「ネイティブ英語」もマスターしているので実験をしてみたかった。どの“英語”が京都大学の採点官が高得点をつけるか知りたかったんです。予想はついていたんですよ。受験英語を使ってアメリカで授業をしたら「ジジイの英語」と言われ、英検の教本のように話したら「シェークスピアの時代の英語」と言われたんですから。
50代の時に、高校生と一緒に「京都大学」を7回受けてみた結果。
平成18年、20年(文学部) 正解率の平均 66%(受験英語)
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均 76%(資格英語)
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均 79%(ネイティブ英語)
当たり前ですが、受験英語は評価されず、資格英語もイマイチで、ネイティブが使う英語が高評価。その方針で英語の指導をしたら9年連続「京大合格者」が出た(そのうち3名は、医学部医学科)
こんなにハッキリした結果が出ても日本の英語教育は何も変わらない。これでは先進国から滑り落ちて中国や韓国に追い越されていくのは仕方ないし、頭脳の流出はたぶん止まりませんね。教師、校長、教育委員会、文科省。そういう場所に適切な人が配置されていないんだもん。
一番の問題は、自民党と岸田総理だよ。
添削で不自然な表現を指摘したら
「田舎の塾講師ごときが!」
と言われてしまいました。つまり、私は無名の田舎の塾講師だから発言権がないというか何を言っても耳を貸してもらえない。ましてや、国や学校のような巨大組織を前に全くの無力なんですね。
ところが、四日市高校のトップクラスの子や暁6年制の特待生の子が毎年来てくれる。その子たちは、有名タレントを使ってマスメディアで大量の広告を流しても興味を示さない。他人の指示には簡単に従わない。自分の目で見て、自分で判断する。そんな優秀な生徒は全体の5%くらい。
旧帝に合格するのは50万人以上の受験生のうち2万人くらい。つまり、4%くらい。ちょうど計算が合いますね。だから、私は一般の人を相手にする商売はやめて真面目で才能のある子だけを指導対象にしようと決意しているわけです。