壮絶…令和の医学部受験、「上位6%の偏差値」でも「最低合格ライン」という頂上決戦
ここ30年ほどで、医学部合格に必要なレベルは大幅に上昇しました。親世代と現在の子世代とでは、医学部受験の様相は大きく異なります。医学部専門予備校「京都医塾」の著書『偏差値40からの医学部逆転合格』(ラーニングス株式会社)より、医学部受験の現状を見ていきましょう。
国公立大学の医学部受験は難易度が高くてうちの子には難しいけれど、どうにかして医学部には合格してほしい…。私立大学医学部ならなんとか合格できるのではないか。 そんなことをお考えになっている保護者さまが少なくありません。「私立大学医学部に入るのは簡単である」あるいは「科目数も少ないのだからそれほど難しくないはずだ」という具合です。
とんでもない。 昨今、私立大学医学部に合格するための学力レベルは、以前に比べ、はるかに高くなっています。かつては私立大学医学部の最低ラインは、偏差値40~50台でしたが、今や偏差値60~65まで上がっているのをご存知でしょうか。もはや、私立大学医学部の偏差値は、国公立大学医学部の偏差値とほとんど変わらなくなっているのです。以前はともすると簡単に入れると思われていた私立大学の医学部。でも、今はほんの一握りの人たちだけがくぐることを許される狭き門。これが、現在の私立大学医学部受験の実情です。
大学の進学率が同学年の半分くらいだとすると「上位3%」くらいだけれど、それは全国平均であって地方では「上位の1%」くらいではないだろうか。一学年100人くらいの中学校なら医学部に合格できるのはトップか2番まで。自分で中学生や高校生の方を指導させてもらっている実感と一致する。
ここ三重県だと県立トップの四日市高校に合格できて、その中で上位1割以内に入れる子だけが医学部を受験する。同級生から
「あの子は頭がいい」
と、言われるレベルでは無理で
「あの子は抜群によくできる!」
と、驚かれるくらいでないとダメなのだ。
これは現代日本の大問題につながっている。一番優秀な学生はみんな医者を目指すことになるからだ。日本の科学技術衰退してきた一つの原因かもしれない。 アメリカや中国の優秀な学生は起業して成功を目指す比率が非常に高い。日本の若者はリスクを取らないのだ。失敗を極端に恐れる。
日本には「出る杭は打たれる」文化があって、少しでも周囲の人と異なることをしようものなら全員で一斉に叩き始める。100人に1人しかいない秀才クンは変人に決まっているのに、応援せずオタク扱いしてイジメる。アメリカや中国では、変人サンを面白がったり応援する人も多いのにだ。