私の町に三重県最大の塾が進出してきた時、世間の人は
「地元の零細塾はみんなつぶれるだろうなぁ」
と、思ったらしい。それは、地元にジャスコが進出してきてから地元の商店街が大打撃を受けた経験から当然のことだった。
しかし、私はつぶれていられる状況ではなかった。娘たちが小学生で、これから教育費がかかる年齢だったからだ。何もしなければ倒産するので対策を考えた。
1,指導対象を中学生から高校生に移行させた。
私は名古屋の大規模塾で勤務している時に「大規模塾は支部教室は“小学部”“中学部”しか 開講しないことを知っていた。主力講師は本部から動けないのだ。
2,集団指導から個別指導への移行
地方は「少子化」のスピードが速い。私が塾を始めた頃と比べると地元の中学生は生徒数が半減している。将来的に子どもが増える可能性は低い。もう、集団指導の時代ではないのだ。
3,ブランド化をはかり、全国を商圏とする。
地方の商圏は狭い。過疎地では塾などビジネスとして成立しない。幸いネットが全国に普及し始めていた時期だった。北海道から沖縄までネットで簡単につながる時代になっていた。
小学生や中学生を相手にして「暁中学校合格」とか「桑名高校合格」と発表するより、「京都大学合格」「大阪大学合格」「名古屋大学合格」と発表した方がインパクトがある。知名度が全国区だからだ。
問題は、「そういう高学力の子をどのように集客するか」 だった。
私は「他人のふんどし作戦」を立てた。つまり、高木繁美という名前は知名度ゼロだけれど英検1級なら誰でも知っていることだ。それに、英検1級に合格してから「ということは、京都大学でも全受験生のトップの8割くらい取れるかも」という可能性があった。
そこで、京都大学を50代にして7回受けることになった。「京都大学」という名前も知名度抜群だから、インパクトがある。その得点開示の画像をアメブロやホームページに掲載したり、YouTube の動画で発表したら本当に北海道から沖縄まで添削希望の子が多く集まってくれたのだ。
大規模塾が進出してきた時、その塾は土曜日も日曜日も営業していたが、今年は営業日が週に4日に縮小している。時間の問題だ。近いうちに勝利宣言ができそうだ。