現代は情報戦
アメリカは今回のロシアによるウクライナ侵攻を正確に予測していた。侵攻の日時さえ正確に予測していた。なぜ、そのようなことが可能だったのか。それは、世界各地(ロシア内も含め)に情報網があるからだろう。もっとハッキリ書くとスパイがいたるところにいるはずだ。
織田信長の桶狭間の戦いは奇襲ばかり強調されるが、信長は今川義元の首をとった部下より今川義元の居る場所を正確に報告してきた部下に第一の褒賞を与えた。優秀な武将は400年以上前から情報が何より大切だと認識していたのだ。
受験も同じことで、がむしゃらに勉強することが合格への道ではない。たとえば、京都大学の英語はほとんど毎年「和訳」と「英作文」のみなのだ。だから、並び替え、穴埋め、リスニングといった問題練習は二次試験では無意味なのだ。
私が京大二次試験の成績開示をしたら
「8割正解ということは英語講師なのに2割も間違えたのか。恥ずかしくないのか!」
と、ブラックメールがきた。京都大学の二次試験では8割というのは医学部医学科のトップ合格レベルであるという基本情報さえ知らないということで、無知丸出しなのだ。合格できるわけがない。
数学も特殊な才能がある子以外は、統計的に
「2000題解けば合格ラインに達することができる」
と分かっている。一般的な問題集なら7冊分。私は英語講師だけれど、40代の頃に「オリジナル」「チェック&リピート」「1対1」「赤本」をそれぞれ2周ずつやってみた。そして、京大二次を受けたら7割を超えた(合格者の平均点)。
こういう基本的事実も知らず、精神論を語る無知な人がなんと多いのだろう。やれ「文武両道」だ「部活と勉強は両立可能だ」といった30年ほど前のスポ根漫画のままの人も多い。もし、部活をやりながら2000題解けるのなら大丈夫だろうが、無理なら部活の時間を削って勉強するしかない。それは、精神論の話ではなく、単純なデータの話だ。
私はアメリカで中学教師をしていたので「ネイティブ英語」をマスターしている。英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格していて「資格英語」も身に着けている。現役で名古屋大学に合格して受験指導をしているので「受験英語」も知り尽くしている。
その三種類の英語を使い分けて、京都大学を7回受けてみたら以下のような結果だった。
京大入試の成績開示
平成18年、20年(文学部) 正解率の平均 66%( 受験英語 )
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均 76%( 資格英語 )
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均 79%( ネイティブ英語)
つまり、予備校や塾で教えている「受験英語」や、英会話学校で教えている「資格英語」ではなく、実際のアメリカで使われている「ネイティブ英語」の得点獲得率が一番高いことは明らか。
ところが、この情報を生徒に伝えたら成績優秀グループは納得して私の言うとおりに英作文を書いてくれるのだけれど、成績下位グループは
「河合塾の講師の模範解答はこれだった」
と反発されることが多い。
その根拠を尋ねると「駅前ビルに校舎があるから」「マスコミで宣伝しているから」とのこと。成績優秀グループは以下のような合格実績だった。
合格速報!(高木教育センター)
2021年度
京都大学「理学部」、 京都大学「経済学部」、京都工芸繊維大学、名城大学、三重短大、
2020年度
京都大学「工学部」2名、横浜国立大学「都市科学部」、名古屋市立大学「医学部医学科」、福井大学「医学部医学科」、藤田医科大学、早稲田大学、中京大学、北里大学
「私たちみたいな青い瞳の金髪の人々が攻撃されるなんて」
ウクライナ報道に見える“人種差別”
米「CBSニュース」のベテラン戦争特派員チャーリー・ダガタは2月25日、ウクライナの首都キエフからこうリポートした。
「ウクライナは、失礼ながら紛争が何十年も続くイラクやアフガニスタンとは違います。ここは比較的文明化した、比較的ヨーロッパ的な国なのです。慎重に言葉を選ぶ必要はありますが、ここはこんなことが起こるなんて想像できなかった場所なのです」
私はアメリカで教師をしていたので白人のこの感想はよく分かる。残念だけど日本人である私も事あるごとにアジアの後進性を感じざるをえない。文明化されていない。私がこれだけ明確にエビデンスを示しても多くの生徒は「秘策」があると信じている。
「ビリギャル」にせよ「ドラゴン桜」にせよ“落ちこぼれのサクセスストーリー”という点は同じだ。ドラマではなく本物の東大、京大、阪大、名大合格者の話ではなく、落ちこぼれが奇妙な講師の奇妙な勉強方法で合格するストーリーがなぜか日本ではウケる。
ドラマの中だけではなく現実の予備校・塾でも似たようなものだ。私は名古屋の7つの大規模予備校・塾で14年間指導させてもらったが旧帝卒の講師や英検1級に合格した講師に出会ったことがない。つまり、旧帝に合格できなかった講師が旧帝受験者の指導をしている。
日本人はゴルゴ13のような神業が大好き。しかし、欧米人はそんな神業はドラマの中だけなので素人が撃っても相手を倒せるマシンガンを作る。勝負をしたらどちらが勝ったのか。第二次世界大戦では日本は竹やりで爆撃機と対決できると指導した。精神論が大好きなのだ。
しかし、それでは勝てない。
欧米人はそういうアジアやアフリカの後進性をちゃんと知っていて、非文明的・非科学的と断じてバカにしている。差別と言ってもいい。しかし、怒っても仕方ない。事実なんだから。
ただ、賢い若者はアジアの悪い伝統から脱却しつつある。中国、韓国、北朝鮮などアジアの国の多くが感情的で政治体制が専制独裁国家である事実に気づいてきた。
織田信長は中国をモデルにしなかった。スペイン、ポルトガルの進んだ西洋の文明から多くを学んだ。明治維新の時も、日本はアジアの国をモデルにしなかった。ドイツやアメリカから多くを学んだ。
でも、まだ不十分らしい。世界平和を脅かしている国は、ロシア、中国、北朝鮮などの専制独裁国家だけれど、すべて共産主義国なのだ。ヨーロッパ諸国のように市民革命を経てきた国ではなく、隋・唐といった中世の王朝文化のまま21世紀に突入してしまった国。
こういう現実を直視し、エビデンスをもとに考えられない人々が日本に大勢いる。なぜなのか。そんなことだから、白人はアジア人を見下すのだ。