ドラマ『ガリレオ』の湯川先生の名言ですね。私は塾講師なので
「塾は学力アップに役立つ」
と信じて塾にお子さんを通わせている保護者の方の気持ちがよく分かります。でも、本当に
「塾は学力アップに役立つ」
のでしょうか?この仮説は実証されているのでしょうか?
たとえば、「塾に通っているグループ」と「塾に通っていないグループ」の偏差値を調べて塾グループの学力偏差値が高ければ「効果あり」と判定してもダメですよね。塾に通っている生徒は勉強熱心なことが多いのだから、塾に通っていてもいなくても偏差値は塾に行かないグループより高いことが多い。
実験ができないなら調査や観察。しかし、生徒の学力を知っている学校の教師や塾講師は本音を口にするでしょうか?
「授業を聞いても学力アップにつながらない」
なんて、言えるはずがありません。死活問題ですもん。
では、どうするか。
実は簡単。歴史を見れば分かります。明治維新の頃には塾なんてありませんでした。ECCジュニアもなければ、視聴覚教材もありませんでした。今は中学校にはALTがいて、スマホを使えば音声などすぐ聞けます。YouTube を見れば文法的な説明はいつでも見られます。
では明治維新の頃より現代の日本では英語を話せる人は格段に増えているでしょうか?
私は英検1級に合格しているし、アメリカで教師をしていました。でも、ペラペラとは言い難い。それなのに、名古屋の河合塾学園や名古屋外国語専門学校で出会った英語講師の方たちは、その英検1級にさえ合格していませんでした。
みなさんの同級生を思い出せば分かるはずですよね。30人クラスの中に英語がペラペラになった人はいますか?
本物の「ガリレオ」の言葉を借りましょう。
You cannot teach a man anything, you can only help him find it within himself.
- Galileo Galilei (ガリレオ・ガリレイ) -
人にものを教えることはできない。みずから気づく手助けができるだけだ。
そうなのです。私は30年間受験指導をしていますが、教えることで学力が伸びた子を思い出すことが出来ない。
反論される方もみえると思います。
「うちの子は塾に行かせたら学年トップになったぞ!!」
でも、それは塾に行かなくても地頭が良かっただけではないですか?他の生徒たちが遊んでばかりいる小学生の頃に自分だけ勉強して学年トップになったのではないですか?そういう子は、中学校や高校になって皆が本気で勉強しだすと没落していきます。
三重県の田舎の小さな町にある私の塾から9年連続で京都大学の合格者が出ているのは、私の指導力というより「京大英作文の専門講師」という塾の性格のためです。集まってくれる通塾生や通信生の方たちは京大受験生が多いから、私が指導を始める前から成績は各高校でトップクラスなだけ。
ローガン中学校では教師はあまり尊敬されていませんでした。アメリカ人は正直だから
「教師なんて三流の人間のやること」
と言う人が多かった。
他の教科も同じことで本物の数学者は高校の数学教師などやりません。プロで通用する野球選手は部活の指導者などやりません。教師や塾講師というのは各分野の第一線で通用しない三流の人間がやる仕事。私もそうです。
英検準1級の生徒を2級の先生が教えることになる。京大を落ちた講師が京大受験指導を担当する。おかしいですよね。