英作文で高得点をたたき出す正しい方法
私は名古屋の7つの大規模予備校・塾・専門学校で14年間英語指導にあたらせてもらった英語講師です。そこで出会った生徒の方たちは異口同音にこう言いました。
「先生に英作文を添削してもらっても、絶対あんな英語が書けない!」
私は、何を当たり前のことを言っているのか不思議だった。だって、普通の生徒に芥川龍之介や川端康成のような文章を書けと言ってもできるわけないじゃないですか。
それに、そんな必要もない。
私は自分で英作文の添削を始める前に、「Z会」の京大即応コースを8年間やって添削手法をチェックしてみた。「河合塾」や「駿台」の京大模試を10回受けて採点方法をチェックしてみた。すると、どれも学校の教師と同じなんですね。
赤線が引いてあって、そこを「こう書くべし」といった指示(アドバイス)が書いてある。あるいは、模範解答が提示してある。
私も生徒たちと同じ感想を持ちました。
「そんな英文は書けない」
ただし、私は現役の高校生と違ってアメリカで教師をしていて、英検1級や通訳ガイドの国家試験に合格しており、名古屋の大規模塾では40人講師中2番目の人気講師だった(生徒アンケート)。そうした大規模塾で旧帝卒や英検1級合格の講師に会ったこともなかった。
だから、自分は添削者と同等かそれ以上の英語力があると自負していた。
そもそも文体は全員ちがう。京都大学の英作文は日本一長い問題だ。その日本語を英語に直してもらうと10人いたら10通りの解答が出てくる。京大医学部医学科に合格するようなレベルの子の解答は8割程度の得点獲得率になる子が多い。では、その解答は全員同じになるかというと全員ちがう英文になっている。
当たり前でしょう?たとえば、「それは当然だ」という短い文でも塾で学んだ「受験英語」の子は take it for granted that - と書いてくるだろうし、英会話学校で習った「資格英語」の子は it's natural と書くかもしれない。ネイティブなら That's a given と書くかもしれない。
どれも正解だけれど、私が書き分けてチェックしたら以下のような結果となった。
京大入試の成績開示
平成18年、20年(文学部) 正解率の平均 66%( 受験英語 )
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均 76%( 資格英語 )
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均 79%( ネイティブ英語)
京都大学のボーダーラインは医学部以外は65%程度なので、どのスタイルでも合格は可能だ。実際、私の指導させてもらっている通塾生・通信生の方たちは自分の文体で合格していった。英語圏に住んだことがない生徒にネイティブ英語を書けと指導したら混乱するだけだ。
つまり、英作文の指導は「模範解答」を提示したり生徒の立場を無視した“アドバイス”をしても百害あって一利なしなのだ。その子のスタイルを受け入れて、減点されないための方法を教えてやるのが正しい。
その方法で指導させてもらったら、私の塾生の子たちは9年連続で京都大学に合格できた。うち、3名は医学部医学科に合格した。ただし、この指導方法が成り立つには生徒の方が自分のスタイルで英作文が書けなければならない。
つまり、簡単に言うと意欲に溢れた高学力の子でないと成立しない。
「どんなに才能豊かな先生でも、生徒自身が学びたいと思わないことは無理に学ばせられないことを決して忘れてはいけない」(W.ダイアー)
残念ながら「無料講座」とか「学力向上保証」などという塾や予備校のキャッチ・コピーは全てウソである。正しい英作文の学び方は、自分のスタイルを変えようとしない先生に減点されるリスクのある点をひとつ一つ教えてもらう以外はないのである。