最初に書いておきますが、Z会はすぐれた指導システムを持っていて大きな会社に育てあげた経営陣は尊敬に値すると思っています。個人的にも「六段認定証」をもらい、景品の電子辞書もいただき感謝しています。
しかし、大きな会社になる過程で犠牲にしたものもあることに気づいたのです。それを順を追ってお話させてもらいます。
年度による変動がありますが、大雑把に言うと「京大医学部医学科」に合格したかったら二次試験で「8割」の正解をめざしていくしかありません。他学部の7割をめざしていくのとはわけが違います。最後の1割アップはそれほど難しい。
この事実を知ってもらうと、私の成績開示の意味が分かってもらえると思います。
合否を決めるのは、やはり英語と数学。しかし、理系なので数学はみんな得意。英語が勝敗を分ける場合が多い。京都大学の英語は「和訳」「英作文」だけの年度が多いから対策は楽ではありません。
穴埋め、並び替え、書き換えといった入試の定番はほとんど出題されません。記号問題も出題されません。採点基準が明らかでなく、自己採点が困難な和訳と英作文。だから、京大受験生は苦労しているわけです。
ここは、実際に合格した人の話を聞くしかない。しかし、京大医学部医学科は定員100名。言うまでもなく卒業後は医師、研究者となられるので塾講師の中に合格経験者は数少ない。地方にはほとんどいません。
Z会、河合塾、駿台、東進などの大規模予備校の講師や参考書なら大丈夫と勘違いする人が多いけれど、そうでしょうか?私は名古屋の7つの大規模予備校・塾・専門学校で14年間指導させてもらってたくさんの英語講師に出会ったけれど旧帝卒の方に会ったことがない。英検1級に合格している人にも会ったことがない。
学歴や資格が全てではないけれど、名古屋大学に落ちて南山卒の講師が名古屋大学必勝クラスを指導していた。英検準1級の講師が1級の帰国子女を指導していた。おかしいでしょう?
よく、旧帝と一括りにするけれど東大、京大、阪大、名大の入試問題って出題傾向が全然違います。中華、フレンチ、和食くらいの違いがある。お寿司屋さんに牛丼を注文しても無理でしょう。同様に、全ての大学の受験指導ができる講師など存在しないのに現実には志望校など無視した指導をする予備校や塾が多い。
英語と言っても予備校や塾で教える「受験英語」と、ECCなどの英会話学校系の「資格英語」と、CNNなどのアンカーが話す「ネイティブ英語」は別物です。私が実際に受けた結果は以下のようでした。
京大入試の成績開示
平成18年、20年(文学部) 正解率の平均 66%( 受験英語 )
平成21年、22年(教育学部) 正解率の平均 76%( 資格英語 )
平成24年、25年(総合人間) 正解率の平均 79%( ネイティブ英語)
私はアメリカで中学教師をしていたのでネイティブ英語が分かる。英検1級に合格しているので資格英語も分かる。受験指導をしているので受験英語も分かるのです。それで、自分で添削を開始する際に「Z会」の京大即応コースを8年間やり、河合塾や駿台の京大模試を10回受けて研究しました。
そして、致命的な欠陥に気づいたのです。
警察は犯人を特定する道具として「筆跡鑑定」をします。筆跡は指紋と同じで、ひとり一人異なります。同様に、文体もひとり一人異なります。Z会、河合塾、駿台、東進の手法はどれも同じで「模範解答」を提示して、同じような書き方を推奨する手法です。
しかし、これは「筆跡を同じにしろ」というのと同じで不可能なのです。美しい文字というものは存在しますが、それでも筆跡は違ってくる。自分で添削して気づきました。同じ日本語を提示して英作文を書いてもらうと十人十色で同じ解答は一つもありません。生徒の方に
「このように書け」
と、推奨しても絶望されるだけなのです。
ですから、
「添削の理想の在り方は“どこで減点されるか”を教えることなんだ」
と、気づいたのです。赤本や青本の「模範解答」を見て
「こんな英作文は書けない!」
と、絶望している受験生の添削を減点されない解答に導く。
このやり方をしたら、9年連続で京都大学に合格者が輩出しました(うち3名は医学部医学科)。YouTube で語ったら5万回再生。アメブロに書いたらフォロワー1000人超え。「私の京大合格作戦」(エール出版)にも2020年版から2022年版まで3年連続で私の主張が掲載されました。
共感してもらえる人が多くて、嬉しいかぎりです。