イナベより愛をこめて(7)
言うことを聞かない子ほど可愛い
ある生徒が登校拒否になった。学校の授業が役に立たない。部活動に参加したくない。自分で勝手にやらせてもらう。高卒認定試験があったはずだ。もっともな理由だけれど、学校側は何とか出席させようと躍起になった。しかし、彼女はその後、登校することなく現役で日本で最難関の大学に合格してしまった。
学校側は自分たちの指導、授業を否定されたまま合格させてしまい面目は丸つぶれだ。彼女の存在は学校では抹殺された。通常、最難関校に合格した生徒のことを教師は後輩たちに話すのだけれど、彼女はいなかったことになっている。
しかし、彼女は後輩たちのヒロインになった。
教師も、友人も、家族さえ彼女の行為を批判し、宥め、周囲に同調するように勧めた。しかし、彼女は自分の信念を守り、その思いを静かに周囲に語り、ひたすら合格をめざした。すると、友人たちは口には出せないけれど陰ながら彼女を応援していた。家族も、手に負えないと嘆きながら心の中ではこの反逆児を尊敬と畏敬の念で見るようになっていった。
他人が自分をどう思うかは、究極的にはどうでもいいことなのだ。自分のやりたいことをやる。それが、基本的人権の自由権の在り方ではなかったか。日本では、このような反逆児は寄ってたかって踏みつぶそうとする。そして、自分にはない強さを持って周囲と戦い続けて自分の信念を貫く子を陰で応援する。