この世のバラダイス
数年前に23年間勤務してくれた女性講師が病気のため退職した。娘たちも成人して家を離れて独立した。母もその後90歳で亡くなった。バツイチなので一人暮らしになった。唯一、大学時代から懇意にしてもらっていた女性が数年前に脳出血で頓死した。
かなり心細い気がしたが気楽でもある。
ところが、ココナラで知り合った漫画家さんから返事が来なくなったので彼氏のブログに尋ねてみたら統合失調症とのこと。ビックリしてしまった。女友達の方は肉体が滅んでしまったけど、こちらは精神が滅んでしまったとのこと。
自分の教え子が事故で亡くなったりしたことはある。同級生が病に倒れたこともある。アメリカでお世話になったホストママはアルツハイマー病を患ったそうだ。その一方で、長女に子供が生まれて孫ができた。こうして世代交代が進んでいくことを身を持って実感している。
中学生や高校生の頃に夢想していたアメリカで生活することや英語でペラペラになることは実現できた。40代からは高校数学をマスターしようとして指導できる程度にはなった。あとは、歴史に残るような大きな仕事ができたら思い残すことはないのだけどね。
みんな同じ制服を着るように強制され、同じ靴を履くことを強制され、同じカバンを持つよう強制され、同じ髪型を強制され、クラブ活動を強制され、クラスの役職や生徒会活動を強制され、同じ問題集をやるよう強制される。
こんな学校にしておいて、社会に出たら
「誰も思いつかないような発想のモノを作れ!」
と、言われる。出来るわけがない!ビル・ゲイツやスティーブジョブズは、制服も靴もカバンも髪型も全て自由なアメリカだから生まれる人物。クラブ活動もクラスも制度として存在しないアメリカだからこそ生まれる人物。日本では絶対に無理。
野球の大谷選手もノーベル賞を取った真鍋さんも日本を脱出してアメリカに住んでいるから活躍できる。日本では正当な評価が得られない。
亡くなった人たちの人生を思うとき、
「幸福だったのかな?」
と、切ない思いが心をよぎる。なぜなら、私はアメリカのローガン中学校で化粧をして私服で自由に何でも口にする生徒たちが羨ましかったからだ。彼らは午後2時半になったら帰宅する。彼らにはボーイスカウトや教会、スポーツ、勉強など学校以外の別の生活がある。
日本は、早朝から日没まで学校に縛り付けられて視野が極端に狭くなってしまう。“クラス”という密室にノーベル賞を取れるような生徒とヤクザ候補生を1日中同じ空間に閉じ込める。イジメで殺される子がでるのは当たり前ではないか。“クラブ”は、素人の先生が指導するから才能のある子の芽を摘んでしまう。
だから、才能のある子は不登校になってプロの指導者を探し始める。最終的には、日本から「脱出」するしかなくなる。頭脳が流出して、ロボットのように命令されないと動けない人ばかりになったら国として終わってしまう。
あまりに多くの内容を、学校が抱えすぎている。地域型総合スポーツクラブへ徐々に移り変わってきている今、学校からは部活動を切り離すべき。最も、中体連がある以上は、部活が無くなることはあり得ないため、その辺からも変革する必要がある。
(中学校勤務/30代/男性/岐阜県)
部活動での生徒指導に頼るのはおかしいし、部活動での進路指導を優先するのもおかしい。社会体育への移行やスポーツ団体や行政でスポーツ振興などを考えて欲しい。
(中学校勤務/40代/男性/福岡県)
地域や家庭の学校任せ意識が、日本は特に大きいと感じるが、中学校現場に来て土日の「部活」が原因だとやっと分かりました。
(中学校勤務/40代/女性/三重県)
生徒の自主性を奪い、親の自覚を奪い、先生の家庭を奪っている。
(中学校勤務/40代/女性/栃木県)
職務外。
(中学校勤務/50代/男性/奈良県)
私の両親の世代は「国家総動員法」の時代に生まれ育ち戦争に巻き込まれた。一億総玉砕という時代だ。私の世代は高度経済成長期に生まれ育ったので受験戦争と金儲けが全ての世相に巻き込まれた。今の世代もワクチンなら一斉にワクチンを打つ同調圧力がスゴイ。アメリカなら反対のデモも自由だが、日本では口に出せないほど“世間様”の圧が強い。
両親の世代や、私の世代と何も変わっていない。そんな社会しか知らずに亡くなっていった両親や友人が不憫だ。日本社会に生きていたらアメリカ社会に生きている「ハッピー」という感覚を知らずに死ぬしかない。