前回の記事でUniswapのImpermanent lossをヘッジするのに必要なオプションのサイズを導出しました。今回はこのコストが現実的なものかどうかを試算して確認してみます。
ヘッジする価格変動率は前回の記事と同じく2倍としましょう。必要なオプションサイズはプール資産の17%でした。運用期間は2か月としてみます。
さて、オプション価格はいくらでしょうか?こちらのサイトで計算します。計算に必要な条件は以下の通りです。
・現在価格 = 行使価格
・リスクフリーレート: 0% (無視)
・期間: 2か月
・ボラティリティ: 100%*
*Hgegicを参考にしました。
すると、オプション単価は原資産の16%となりました。
必要サイズと単価をかけ合わせて、最終的なコストは
0.17 * 0.16 = 2.8%
です。これは2か月分なので、年利換算すると17%です。
対して、Uniswapからの手数料収入はどうでしょう?過去のトレンドはこちらで確認できます。
3月のコロナショック時期を除くと、10--20%の間で推移しています。この傾向が今後も続くなら、オプションコストといい勝負をしそうです。
ちなみに、期待通りに価格変動が2倍以内に収まると、オプションからも利益があり得ます。下図を参考にすると、最大で9%くらい(年換算)です。
以上、まとめると価格変動が期待通りに収まれば
・オプションコストに17%を支払い、
・手数料収入を10--20%獲得し、
・ボーナスが最大9%もらえるかも
(※年率換算)
という結果になりました。
あくまで「2か月間での2倍変動をヘッジする」という仮定のもとでしたが、とんでもなくオプションコストが高くて使えない、といった戦略ではなさそうということは確認できました。