古代の神話には、神々や精霊が奇跡を起こす場面が数多く登場します。
壁をすり抜けたり、突然姿を現したり、まるで現実のルールを無視しているかのような力を持っているのです。
こうした神話の描写は、私たち人間が直感では理解できない不思議な出来事を、神々の「奇跡」として語り継いできたものです。
けれども、実は現代の科学、特に「量子力学」という分野に目を向けると、これらの神秘的な現象に驚くほど似たことが現実の世界でも起こっていることがわかります。
たとえば、神話の中には、神々が壁をすり抜けて通り抜けたり、閉ざされた空間に突然現れるといったエピソードが数多くあります。
古代の日本の神話では、天岩戸(あまのいわと)という岩戸に天照大御神が岩戸に籠り、その後、神々がその岩戸を開けて光を取り戻す場面があります。
一般的に日食の事を言っているのではないかと言われますが、光子が密閉空間から飛び出してくる現象を神が起こした現象として捉えていたのかもしれません。
また、ギリシャ神話でも、神々が瞬時にどこかへ移動するシーンがよく描かれます。
これを現代の科学で見ると、実は「量子トンネル効果」と呼ばれる現象が、このような奇跡を説明できるかもしれません。
量子トンネル効果は、物質の粒子(たとえば電子)がエネルギー的には不可能とされる障害物を「すり抜ける」ように通り抜ける現象です。
普通なら壁や障害物は通り抜けられないはずですが、量子の世界では、粒子があっさりとそのルールを破ることがあるのです。
この現象は、まるで神々が障害をすり抜けるかのように見えませんか?
私たちが日常的に経験する現実とは違うものの、ミクロの世界ではこうした不思議な出来事が普通に起こりうるのです。
また、古代の神話には、神々や精霊が「見えない世界」や「異次元」に住んでいるという考え方もよく登場します。
たとえば、精霊や妖精が別の次元に隠れていて、必要なときにだけ現れるという話があります。
こうした異次元的な描写は、神々の存在が私たちの現実世界とは異なる法則に従っていることを示しているのかもしれません。
これも量子力学で説明できるかもしれません。
量子の世界では、粒子は「重ね合わせ」といって、一度に複数の場所に存在できるという不思議な特性を持っています。
粒子がどこか別の次元にいるかのように、ある瞬間には姿を現さず、次の瞬間には突然現れることがあるのです。
神話に登場する神々や精霊も、もしかしたらこのように、量子のような特性を持っていたのかもしれません。
もちろん、古代の人々が量子力学を知っていたわけではありませんが、自然界の不思議な現象や直感では理解できない出来事を「神々の奇跡」として語った可能性があります。
現代の科学者たちが明らかにしている量子の世界の謎は、私たちの感覚では捉えられないものばかりですが、それらはまさに「奇跡」とも言える現象なのです。
だからこそ、神話や伝説の中で語られる超自然的な力や奇跡も、実は私たちの世界の奥深くに隠された自然の法則を反映しているのではないかと考えると、ちょっと面白く思えてきます。
神々が行ったとされる「奇跡」と、現代の量子力学が解明しようとしている不思議な現象。
この2つは、思ったよりも共通点が多いかもしれません。
「神々の奇跡と量子の世界」は、古代と現代の知恵が交差する場所。古代の人々が感じた世界の神秘と、私たちが今解明しつつある量子の世界。
どちらも、そのスケールや仕組みこそ違えど、自然の中に潜む不思議な現象を語っているのです。