Webライターのmayumi(https://linktr.ee/mayumi_writer)です。今回は、私が実際に経験したことを元に、世の中の仮想通貨へのイメージについて取り上げていきます。
仮想通貨をよく知らない人に、技術の魅力や、これからの利用価値について熱弁すると、明らかに「胡散臭い」表情をされることってないですか?これ、実はすごく切ないんですよね……。
この記事を読むあなたも、きっとそのような経験があるはずです。仮想通貨を「胡散臭い」と思ってしまう人は、仮想通貨に以下のようなイメージを持っているのでしょう。
・胡散臭い
・なんか怖い
・信用できない
では、このような仮想通貨の負の3大イメージは、なぜ生まれるのでしょうか。この記事では、その原因について、5つのポイントで解説していきます。
「仮想」通貨って、聞いただけで胡散臭くないですか?
かくいう私も、夫から「仮想通貨買ってる」と聞かされた時は、「おいおい大丈夫かよ!」と思ってしまった人間です。
そもそも、「仮想」という言葉の定義について、コトバンクより引用しますと、
仮に想定すること
実際はそうでないことを前提として推量することを表す言い方
となっています。
そして、この意味を「通貨」という言葉につなげると、こうなります。
「仮に想定した通貨」
……一気に詐欺っぽい言葉になってしまいました。
つまり、この言葉自体が持つイメージが先行してしまい、仮想通貨=「実体のない胡散臭いもの」という考えに至ってる可能性があります。
そもそも、仮想通貨のはじまりであるビットコインの正式名称はこちらです。
「Cryptocurrency Bitcoin」
これ、直訳すると、「暗号通貨」となります。あっ!聞いたことある!って人、いますよね。
そもそも、仮想通貨とは、暗号技術によって安全性の高い取引を可能にした通貨です。それだったら、仮想通貨よりも、暗号通貨と呼ぶのがふさわしくないですか?
現に日本では、仮想通貨と暗号通貨という言葉は、同義語で使われています。一方で、世界的には、暗号通貨という呼び方の方が一般的なんですよね。
日本でも、こちらの呼び方を主流にした方が、技術面のイメージが湧くのではないでしょうか。
「なぜ実態のない通貨で取引ができるの?」
そう考える人も多いでしょうね。この、仮想通貨の仕組みを知ることが、仮想通貨の負のイメージを取り払う一番の近道でしょう。
仮想通貨は、暗号技術によって通貨のP2P取引を可能にしています。銀行といった中央管理がなくても、ブロックチェーン技術によって、セーフティネットが確立されています。
ブロックチェーンには、仮想通貨による取引履歴がすべて記録され、誰もがその履歴を見られるようになっています。
そして、「マイニング」という言葉もよく耳にしますね。マイニングとは、1かたまりの取引(=ブロック)において、虚偽がないかどうかを証明する作業です。この作業のことを、「プルーフオブワーク(PoW)」と言います。
この作業で、「この取引は正しく行われたよ!」と一番最初に証明した人に、報酬として通貨が発行される仕組みです。新規に通貨が発行されるのは、このマイニングによるもののみなのです。
ブロックチェーンは、暗号技術によって改ざんができない仕組みになっています。たとえ改ざんを行おうとしても、これまで記録されているすべてのブロックを組み替える必要があります。これは、1つのブロックで行うマイニングよりも、膨大な労力が必要となります。
仮に、改ざんが成功し、不正に通貨を得たとしましょう。しかしこれは、ブロックチェーンの終わりを意味します。絶対に改ざんできない仕組みを壊して通貨を手に入れても、その通貨自体の価値がゼロになるのです。そのため、改ざんするメリットがないと言えます。
このように、改ざんする労力やその後の通貨価値のことを考えると、マイニングに貢献した方が明らかにメリットとなります。
マイニングした方が楽に通貨が手に入るし、ブロックが増えることによって通貨価値の向上にも貢献できるし、一石二鳥だよね、という考えに至るのです。
悪いことを考える余地を与えない、非常によくできた仕組みと言えますね。
2018年の始め、仮想通貨はマスメディアで大きく取り上げられました。
そう、「コインチェック事件」です。
この事件をきっかけに、仮想通貨を知ったという人も多いのではないでしょうか。そして、この事件のあと、仮想通貨相場は暴落しました。
これはコインチェック事件の他にも、中国政府の規制強化や、米証券取引委員会の発表といったあらゆる要因が関わっています。しかし、テレビから流れる連日の報道で、人々はこう考えます。
「仮想通貨は簡単に盗まれたり、暴落したりする」
このように、マスメディアの報道は、大衆を大きく左右します。例えば、「マウントゴックス事件」もそうですね。
恥ずかしながら、私も、この事件をきっかけに、「ビットコイン=胡散臭い」というイメージを持ってしまいました。では、そもそもコインチェック事件やマウントゴックス事件はどのようなものだったのでしょうか。ちょっと見ていきましょう。
コインチェック事件(Wikipediaより引用)
2018年1月26日 00:02:13から08:26:13にかけて、コインチェックが保持している仮想通貨のうちNEM(ネム)(通貨記号はXEM)建ての顧客資産がクラッキングにより取引所から外部に送金されさらに別口座に移転されてほぼ100%流出してしまう事態が発生した。
マウントゴックス事件(Wikipediaより引用)
2011年6月19日、不正侵入者によるハッキング行為により同社で取引されているビットコインの名目価格が僅か1セントに不当に引き下げられた。伝えられるところによれば、犯人は、マウントゴックスに勤める監査役の感染したコンピュータから入手した証明書を使いハッキングを行い、大量のビットコインを手に入れたという。(中略)この取引の影響額は875万ドル以上相当に及んだ。
これらの事件の被害総額は、それぞれ約580億円と約400億円相当。この被害額の大きさも、社会にインパクトを与えた原因です。
テレビで報じるコインチェックとマウントゴックスの事件は、人々に「仮想通貨は一瞬で多額が盗まれる危険な通貨だ」思わせるものだったでしょう。
しかし、この事件が起きた原因を見てみると、少し印象が変わってきます。
まず、コインチェックは、システム管理を行う人員の不足により、不正アクセス確認が十分に行われていなかったことが挙げられています。また、ホットウォレットで管理されていたことも指摘されていましたね。
一方で、マウントゴックスでは、当初は社長が横領によってビットコインを盗んだと疑われていました。そして、2017年7月には、違う取引所の運営者が、不正に秘密鍵を盗んだ疑いで逮捕。まだ、真相がはっきりとは解明されていません。
2つの事件に共通するのは、取引所の管理体制に問題があったという点です。いずれにせよ、ブロックチェーン上の取引が改ざんされたわけではなく、技術の根幹を揺るがす事件ではないのです。
近年は、ICOというものもメジャーになってきましたね。IPOが株式を発行するのに対し、ICOはトークンを発行するものです。
このICOですが、「大半が詐欺」と言われている現状があります。
具体的数字で表すと、約8割が詐欺、約1割が失敗・中止、残りの1割未満が上場するというのです。恐ろしい数字ですね。
実際に国民生活センターに寄せられた被害事例によると、
知人から「5倍以上の価値になる」と誘われ仮想通貨を購入したが、約束通りにお金が戻ってこない
セミナーに参加し、「1日1%の配当がつく」と言われて仮想通貨を預けたが、説明通りに出金できない
といったケースが挙げられています。
もし、あなたの周りでも、「今注目のICO!」とか、「絶対に億り人になれるICO教えます」とかいうフレーズを耳にしたのなら、まず疑うのが先決です。8割が詐欺なのですから。
現に、このプラットフォームALISを利用したICO詐欺が行われたのも事実です。ALISによって注意喚起もされています。
8割が詐欺と分かっていても、それでも、もし魅力的に感じるICOを見つけたのなら、まずはホワイトペーパーを読むことです。ホワイトペーパーには、ICOを行う企業のサービス概要が記載されています。IPOで言う、目論見書と同じです。
これを読んで、この企業に「投資をする価値があるか」という視点で見ていくと、自然と「本物の」ICOが見えてくるはずです。「儲け」ばかリ考えていると、足元がすくわれるということです。
しかし、ホワイトペーパーに書いてあること自体が虚偽であることも十分に考えられますので、注意してくださいね。何度も繰り返しますが、詐欺が横行しているのが現状なのです。
また、ICO詐欺で多いのが、「○○(有名人)が開発に携わっている」というアピールでお金を集めるケースです。
これを見つけたら、本当にその人が開発に関わっているのか、公式twitterやfacebookを確認しましょう。そのICOについて何も情報発信していないのなら、詐欺である可能性は十分にあります。
二次情報に惑わされるのではなく、一次情報を自分で掴みに行くことがポイントです。
Cryptocurrency Market Capitalizationsによると、仮想通貨の数は1591種類(2018年4月24日時点)。この種類の多さも、「胡散臭い」イメージの原因の1つとして考えられるでしょう。
現に、取引所でいざ購入しようとしても、ビットコイン以外分からない……という人も多いのではないでしょうか。
では、なぜここまで大量の仮想通貨が発行されるのでしょうか。それは、ビットコインのブロックチェーン技術が公開されていることにあります。
そもそも、ビットコイン以外の仮想通貨は、オルトコインと呼ばれます。
このオルトコインは、公開されているビットコインのブロックチェーン技術を利用して、ビットコインにない価値、あるいはそれ以上の価値を持つ通貨を開発しようと発行されたものなのです。
具体的な例を挙げると、イーサ(イーサリアム)です。
イーサでは、ビットコインにはない、取引以外の記録をブロックチェーン上に記録するスマートコントラクトという技術が用いられています。
このスマートコントラクトは、仮想通貨以外にも応用が可能です。
例えば、契約を取り交わすとき。虚偽情報のリスクを減らしつつ、中央管理を介さずに、簡単に、契約を交わすことが可能になります。これは、今後ますます発展が見込まれる分野です。第三者が契約の間に入る必要がなくなるため、その手数料分の金額が下がるといったメリットがあります。
次に、ライトコインです。
ブロックチェーンの難点として、決済スピードの遅さが挙げられます。現状の決済には約10分を要するため、会計時は不便ですね。これを改善させるために開発されたのが、ライトコインです。ライトコインでは、この決済スピードを約2.5分まで短縮させました。
このように、オルトコインが増え続ける理由は、ビットコインにない技術を取り入れ、より価値の高い通貨の開発が進んでいるということにあります。
このほかにも、PoWに代わるプルーフオブステークス(PoS)やライトニングネットワークなど、従来の問題点を解決する技術の実装が計画されている通貨が多数あります。
ビットコインは2009年に発行されてから、一時は230万円にまで価値が上がりました。そのようなまさに発展途上な分野に、参入しないわけにはいかない!ということですね。
これから仮想通貨取引を始める人は、このような仮想通貨に実装される技術にも注目すると、もっと面白くなるでしょう。
いかがでしたでしょうか。仮想通貨が胡散臭いと思われる原因について、大きく5つに分けて解説していきました。
この記事を読んで、少しでも仮想通貨のイメージが変わったという人が現れたら、とても嬉しいです。
仮想通貨を投資目的でしか見ていなかった人は、是非、ブロックチェーンという本質に注目してください。これからの時代にとって、価値のある技術であることが分かるはずです。
あなたも、仮想通貨の負のイメージを取り払って、本当の価値を発信できる1人になってみませんか?