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complex vol.6 産みの苦しみ

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  • aaaaaa
  • 2019/12/13 23:18

17/06/2015

今回は昨年参加した際の現地写真と並行して、今回の「complex」という作品についてです。

その前に…どうやらチケットの売れ行きがいいらしいです。

fringeの参加者はリアルタイムでチケットの売れ行きがわかる仕組みになっているんですが、昨年は現地に行って、毎日本番前に街中でチラシ配りをしてなんとかお客さんを捕まえてくる感じでした。

それが今年はこの時点でチケットが動いている。

本当に嬉しいと同時に身が引き締まります。

昨年のレビュアーの批評や現地で得た情報などを参考につくった今年の作品ビジュアル、プロモーションなどが効いてきているのではないかと思われますが、とにかくアジアの島国からやってくるまだ観たこともない独り芝居に期待をよせてもらっていることは確かです。

これだけ早くチケットを押さえてくれている観客の皆さんに対しても、必ずや面白いものを作らなくは。

Content image

 

とはいえ、今は本当に地味な作業。ひたすら台本とにらめっこです。

書いては消し、消しては書きの繰り返し。

物語を書くということは本当に地味な作業です。

脚本家には色々なタイプの人がいます。

念密に構成を組み立てる人、頭からオチを考えずに闇雲に書き始める人、突然取り憑かれたように一気に書き上げる人、本当に様々です。

僕の場合はと言うと、まずタイトルを決めます。「え、題名を先に決めるの?」と思う方が多いと思うのですが、毎回そうです。

なんとなくの物語を考えながらも先に題名を決めるのです。

今回の場合は「complex」。

このワードから物語を広げていくのです。

と、必要なのは使用する曲。

1曲だけ決めます。テーマ曲みたいなものです。

実際本番では使わないこともありますが、何かしら頭の中にあるぼんやりとしたイメージに近い曲を探します。

そしてそれを死ぬほど聴きます。

今回の場合はプロモーション映像でも使用しているサティの「Gymnopédie No.1」。

ここから湧き上がってくるイメージを言葉に変換していくのです。

Content image

「タイトル」と「テーマ曲」が決まるとここから大まかな構成を組み立てていくのですが、台本を頭から書いていきません。

バラバラなんです。

最初から書いていたと思ったら、途中の会話を突然思いついたり、そしたら急にエンディングを書いてみたり。

とにかくバラバラです。

僕はこれまでこの方法で50作品以上でこの書き方をしてきたので、何の違和感もないのですが、他の人に言うととても驚かれます。

でも逆にこの書き方しかしたことないので、他の人の方がすごいと思っています。

最終的にある程度必要な会話(分量)が溜まった段階でそれらを精査してまとめ、一本の物語に収めていきます。

なので、最終的に書きあがった段階で使われなかった会話が大量に出てくるきます。

例えば1時間のお話を書きがった時には、実際3時間ぐらいの登場人物達の会話が別のページに残っているんです。

一見無駄な作業のように感じますが、これだけの会話量を残していくことで登場人物の深みや物語に説得力につながると思っています。

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今回、ご支援いただいた皆様には帰国後に作品を映像でご覧いただきたいと思っていますので、いまの段階で結末や種明かしはできないのですが、物語の断片を少しだけお話したいと思います。

登場人物はコイズミタモツという日本人の男です。

このコイズミという名前は実在する日本の言語学者から取りました。

何故、言語学者かというと、今回の「complex」というお話は根底に「ピグマリオン」というアイルランドの劇作家、ジョージバーナドショーが書いた戯曲(映画「マイフェアレディ」の元になったお話)があり、その登場人物ヒギンズが言語学者という設定なのです。

このピグマリオンはイライザという花売りの娘とヒギンズという言語学者のお話なのですが、このヒギンズが今回のコイズミタモツであり、彼の前職が日本語教師という設定。

そして以前もお話した通り「complex」はチャット面接という設定なのですが、コイズミタモツを面接する面接官というのが「イライザ」という名前なのです。

ちなみにこの「イライザ」という名前は初期の人工知能プログラムで使用されたプログラム名でもあります。

状況や設定は「complex」と「ピグマリオン」ではまったく違います。

しかし、物語のあちこちに散りばめられた伏線に気が付く人は全てを観終わったあと「おぉ!」となると確信しています。

もしお時間があれば「ピグマリオン」、もしくは「マイフェアレディ」もご覧になってはいかがでしょうか?どちらも非常に面白いお話です。

さて、渡英まで残り1ヶ月半を切りました。

物語の執筆も佳境を迎えております。

このコイズミタモツという男の38年間が舞台上でどういった形で明らかになるのか。

きっと立ち稽古に入ってからも、本番直前まで物語との格闘は続きます。

では、次回のコレクターズ限定アップデートをお楽しみに。

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