22/07/2016
今日もお気に入りのfringe Tシャツを着てRehearsal開始です。
「UNBORED(退屈ではない)」状態になろうぜ!ということで今日は、この時期のRehearsalの流れをお話ししたいと思います。
普段であれば絶対起きていないであろう時間(とはいえ、一般的にはランチタイム)に、稽古場に集まります。
そして、まずはエネルギー補給。
ここで、今日のリハーサルの順序をざっくり決めたり、お互いの体調確認やら、9月以降のプロジェクトの話やらをして、頭と感覚のエンジンをかけます。
2人ともこの業界特有の早食いではあるのですが、大抵Yuuyaが先に食べ終わりテントに出たり入ったりし始めます。
いつも思うのですが、日本のコンビニやスーパーで手に入るお弁当は格安で質が高いです。
個人的に海外(特にイギリス)が大好きですが、日本のお弁当は最高です。
エディンバラの食事情は、現地からアップデートしようと思います。
今年は、日本やNYから観に来てくださるゲストもいるので、私たちも新しい発見ができそうで楽しみです。
さて、Rehearsal。Yuuyaは、特に発声練習やら開口やらといった「アップ」はしないタイプです。
軽く体をグネグネさせて、喉を少し開くくらいです。
「あめんぼあかいな…」みたいなのは英語にはないので、口周りの筋肉をほぐすくらいで準備完了。
セリフの入り具合を見るために、全体を流します。
「通す」ことを重視するので、途中で発音などで止めることはしません。
タイムを見て、どこで詰まっているか、を確認していきます。
演っている側の感覚と観ている側の感覚を確認して、発音や言い回しの修正をかけて、場面を絞って小返しを始めます。
TENTに登場する男の言葉遣いにこだわったテンポ・口調になるまで、その言葉遣いに観客の立場で聞こえるようになるまで、何度も同じフレーズ・単語を繰り返すことも。
何度も同じフレーズを言い過ぎて、何が何だか分からなくなってしまうくらい、繰り返します。
この作業の中で、セリフそのものに変更を入れたり、カットしたり…ということもあります。
セリフと同じように確認しているのが、動き。
fringeでは普段劇場ではない場所が「劇場」となるので、現地に行ってみないと会場の状態を100%理解することができません。
ただ、創作に必要な情報は劇場に細かく確認して、作品に影響が出ないようにしています。
Rehearsal開始からしばらくは、上手・Stage Left(観客から見て右手側)にテントを置いて創っていたのですが、劇場との確認の末、下手・Stage Rightへ変更しました。
これによって、ランタンを持つ手を変更したり…と意外にも調整がたくさん入ります。
小さな空間で上演する作品なので、観客との距離感も大切にしなくてはなりません。
観客を意識することは、劇評でも「Audience Engagement」という言葉で指摘される大切な要素です。
どれだけ観客を私たちの物語に引き込めるか、これは演者の動きや視線が多分に影響してきます。
この「Audience Engagement」は私たちの大きな課題でもあるので、別の回でお話しようと思います。
動きに話を戻して…。
Yuuyaは、演じながら演出もつけていくので、Rehearsal中によく「ここでは外せないなぁ…」とか「ここじゃ、振れないなぁ…」とポソポソ言っています。
どんな小さな動きでも「動機」があるということで、私たちの作品には「劇的な」動きは一切存在しません。
もちろん自分自身を常に俯瞰することは難しいので、観客としてどう観えるかを伝えて、セリフと動きが出来上がっていきます。
当然といえば当然ですが、一度固まった演出は何度そのシーンを返しても毎度同じ動きを引き出します。
顔の向き、動線、何もかもです。これは、観ていて面白い作業です。
小返しをしては、ダメを共有し、手直しして、また小返し。
いつの間にかテーブルがペットボトルだらけになります。
甘いものから目が覚めそうなものまで、各種取り揃えています。そんな精神状態です。
渡航までわずかになってきたので、苦しさは日に日に増していますが、今年は私たちがRehearsalを楽しめています。
これは、面白い作品が呼吸している証拠だと思っています。
最後に、お気に入りのシーンの写真を。
決して、苦しすぎてうずくまってしまったわけではなく…なかなかcomplex(複雑な)男がTENTの主人公なのです。
次回も、大詰めを迎えている稽古場からアップデートします。