09/08/2015
現在、イギリスは9日の朝9時。
エディンバラ入りして6日たちました。
荷物に振り回されてたのでアッと言う間に時間が経ってしまった感じです。早いものです。
さて、肝心な公演の方はというと6日にテクニカルリハーサルをし、翌7日にプレビュー、そして昨日8日に無事初日の幕が開きました。
簡単に説明しますと、通常日本で公演を行うときは作品の大小問わず、劇場入り→テクリハ→ゲネ(お客さんを入れないで最終の通し)→本番初日。
これが通常の流れ。ですが、海外では少し違います。
特にfringeのようなフェスティバルでは準備に時間もないため、ゲネではなくプレビューとしてチケット代を安くしてお客さんがいる状態で上演します。
1日しかやらないこともあれば、NYブロードウェイのように何日間もプレビューをしてお客さんの反応などを参考にそこから修正をすることも。
fringeに参加するカンパニーでも早いところだと7月の中旬にロンドンなどでプレビューを行い、評判を作ってからエディンバラに乗り込んでくることもあります。
そうすることでfringeスタートと同時に客席が満席に出来るといった仕組み。
ですが、それらはイギリスが拠点のお金と実績のある一握りのカンパニーのなせること。
特に僕たち海外組はそうはいきません。
現地に入ってから初めて宣伝活動が始まり、友人も知人もいない地でゼロから集客を始めなければならないのです。
現地に入るとまず目につくのが町中に貼られたポスターの数。
数千、数万の公演ポスターがいたるところに貼られています。
ですが、決して街の景観は損なわれません。
なぜならポスターを貼っていい場所は厳格に決められており、事務局が許可を出した場所にしか貼ることが出来ないからです。
ポスターを貼る方法は2種類。
1つはカフェやパブなどにお願いして店内に貼ってもらうか、事務局が指定したFreeスポットに貼るか。
ですが、それらは激戦です。
現地入りしたときにはすでにエディンバラ市内のお店というお店の店内はあらゆるところにポスターが貼られており、隅の方に貼ってもらうのが精一杯。
そして、街中にあるfreeスポットは貼っても貼ってもその上から別の団体が貼っていってしまうので完全なイタチごっこなんです。
これじゃいくらポスターがあっても足りません。
(写真左に赤いポールみたいのがfreeスポット。ここは自由には貼ってよし)
と、もう一つはfringeが提供している広告枠です。
それは広大な街の中が区画分けされ、区画ごとに販売されるのです。
1つの区画を買うと通常のポスターではなく特別サイズの大きさの広告ボードが作られ、それが街のガードレールや街灯などに公式な広告として掲示されるのです。
とにかくこれがすごい。
ここに広告を打つことが完全にfringeの集客動線を握っています。
逆にいうとここに広告を出せたら勝ちです。
当然のことながら面白い作品であることは必須ですが、面白くてもここに広告を出すのと出さないのでは雲泥の差です。
(こんな感じで街のいたる歩道にデカデカとポスターが)
ただ、今年は昨年と違い劇場の規模が大きくなっているので、劇場側が持っているスペースが多少なりともあるんです。
そこにはお金を払わなくとも優先的に貼ってくれるので多少人の目には着くようにはなりました。
さて、今はとにかく地道な活動をしなければなりません。
とてつもない人数が行き来する街(イメージ的には渋谷の交差点が街全体、みたいな感じ)でひたすら声をかけチラシを配るしか方法はないのです。
チラシを配っていると同じ劇場グループのアーティストから声をかけられることもしばしば。
(アメリカ人パフォーマーに握手を求められ応じるかどうか迷う図)
そんなこんなで昨日無事に初日の幕が開きました。
地道な宣伝の甲斐もあってか、想像以上のお客さんが観に来てくれ出だしは上々。
内容は初日ということと、予想以上の客入りに多少引っ張られた感は否めませんが、笑いも取れたし、何人かいたレビュアーは上演中も真剣にメモをとったり写真を撮ったり。
ま、とにかく全てが動き出しました。
これを22日までひたすら繰り返していくのです。
今年の集客を増やすということはもちろんのことですが、今回の評価が来年のfringeに繋がっていくから。
今日は休演日です(theSPACEUKグループは9日はほとんどの機能がストップするんです)ですが、休む暇はありません。
夕方にはプレスが集まるミーティングがあるので売り込みに行ってきます。
それまでに何本か観れるだけ作品を観たいと思っています。
やることは山のごとし。