こんにちは。なかまるです。
間が空いてしまいましたが「本当にあった証券会社の話」、第3話です。
↓前回のお話
■営業活動にあたって
営業活動を進めるにあたり、新人にはそれぞれトレーナーがつく制度があり、私には、営業成績が全国トップクラスのAさんがつきました。しかし、このAさんもなかなかくせ者でした。
まず、基本的に「なにも教えてくれない」人でした。
開拓営業をするにも、
「とりあえず訪問して、雑談して、イケそうなら提案しとけ。」
以上。右も左も分からない新人に口頭で説明をして、行ってらっしゃい、という感じでした。
私はこれが普通なのかと思いましたが、後で同期達に話したら笑われました。どうやら最初は先輩の営業に同行させてもらい、営業の流れやらトーク力やら事務作業やらを学んでいったようです。さらに同期は、見込み客や既存顧客へトレーナーや上司と同行訪問して、取引をプッシュするということもしてもらっていました。
私は最初から独りで訪問し、やりながら覚えていきました。
ようやく取引に漕ぎ着けても、必要書類の準備であったり、申込書や伝票の起票であったりと、私自身分からなすぎて顧客に二度手間をかけさせてしまったこともありました。それでも取引してくれれば良いのですが、
「よく分かっていないやつと取引なんか出来ない」
と顧客からも怒られ、数値に響いて上司からも怒鳴られ、精神的にも追い詰められていきました。
他の先輩に確認しようにも、
「数値未達のやつに手間とらせんな。トレーナーに聞けよ。」
と八方塞がりです。他の人がやっていることを見て学ぶのは得意な方(?)なので、大きな事故などは起きませんでしたが、ただただしんどかったです。
■大口顧客との取引!純増達成!! しかし、、、
月日が流れ、長らく訪問を繰り返していた大口の見込み顧客との取引が成立しそう!というタイミングがありました。しかし私の決め手に欠け、なかなか事が進まない。そこで私は、上司の同行を依頼してみることにしました。Aさんは完全に形式上のトレーナーとなっており、ほぼ毎日外回りに出かけていて依頼するタイミングがありませんでした。そのため、課長に依頼をしてみます。
「課長、大きな取引が見込めるお客さんがもう一歩で取引してくれそうなのですが、同行してプッシュしていただけないでしょうか。」
「なんだそれ。自分でなんとかできねーの!?俺が言ってどうすんだよ!!」
そうですか。普段ああすればできる、こうすればできると散々に怒鳴っておいてそれを見せてくれることはないのですね。そう考え、結局最後まで私は独りで訪問を続けました。
その後も訪問を続けて結果的に、その顧客とは取引が始まりました。最初の取引は200万円の純増です。与えられていた純増ノルマは、(記憶が曖昧ですが)月に100万円ほどでしたので、達成率200%です。
達成した数日後、課長に呼び出されました。珍しく褒めてくれるのか?と思いましたが、褒めている様子を一度も見たこと無いためありえないな、と考えながら恐る恐る課長のもとへ向かいます。
「今回の純増、前に言ってた金持ちのとこだろ?なんで200万なんだよ!もっと金あんだろ!もう一回頭下げて金入れさせろよ!!」
ああ、やっぱり。ひたすら金、金。この人の脳内には褒めるという概念はないのだろう。(今になって思い返しても、退職するまでこの課長が他人を褒めたのを見たことはありませんでした。)とりあえず平謝りをして、その場をしのぎました。
褒められれば数値が良くなるわけでも、褒められたかったわけでもありませんが、目標達成しても怒鳴られて、どうすれば良いのか分からなくなりました。目標達成したことで得られる人事の評価も大して変わりません。昇進はほぼ年功序列です。早くも完全にモチベーションを失い、心も折れてしまいました。
その後の営業活動も数値達成しようという意欲はなく、ただただ電話・訪問を繰り返しながら、外回り中にもぼーっとしながら、抜け殻のように生きていました。
■その後も、、、
抜け殻となっても時が止まることはなく、営業活動は続きます。その後は当然ながら、目標達成することもなくいつも通り怒鳴られる毎日です。
ある日の、お昼休み。市場は11:30~12:30が昼休みなので基本的にそれに合わせて休憩を取るのですが、1時間の休憩は与えられません。全員いつも10分程度で食事を取り、さっさと営業に戻ります。さもないと上司に怒鳴られるからです。いつものように私は食事部屋で急いで昼食を取っていました。すると課長がその部屋に入ってきました。
「お前、数字悪いのに飯食ってんじゃねえよ!そんな暇あったら1件でも電話しろよ!!」
そう怒鳴られながら、食事部屋から引っ張り出されました。もうなにも考えることなく、それに従います。食べかけのご飯は捨てられました。それ以降は支店内で昼食を取ることはなく、外回りをしながら隠れて食べるようになりました。
またある日の夕方。この会社の勤怠管理はシステムの部署がパソコンを見ればある程度分かるようなのですが、会社に不利にならなければ無視します。とりあえず、出勤時間(=パソコンを立ち上げた時間)の制約はあったものの、シャットダウンした時間はなぜか関係ありませんでした。
毎月末に、課長や支店長が「この日は~していたから何時退勤」というのを決めて社員に入力させる方式です。理解不能な方式ですが、基本的に「定時退勤」で入力をさせ、営業・会議など明確な理由がある場合は実際の勤務に関わらず30分~1時間程度の残業を入力します。私はその退勤時刻を決める会議(?)の時に顧客とのアポのために外回りをしており、席を外していました。そのため、その日は30分間の残業をつけ、「顧客訪問のため」と入力しました。
すると数日後、課長に呼ばれ、
「お前、この日何してたんだよ。なんで残業ついてんの?」
「○○さんとのアポがあったので訪問していました。」
「それで?約定金額は?」
「その時は約定まで結びつきませんでした。」
「じゃあそれは仕事のうちに入らねえだろ!」
「すみませんでした。修正します。」
もう何も抵抗しません。その日の勤怠は却下され、定時退勤で入力し直しました。その後も定時退勤以外は無言で却下されるようになりました。仕事を頼まれて残業していてもすべてサービスです。
小さなことから大きなことまで、様々な不満・疲労などが積み重なって限界が来るのにそこまで時間はかかりませんでした。辞めたいと思い始めたのは正直1年目ですが、辞めたら生活が出来ないし辞められない。私自身「3年はやらないとダメ」という頭の悪い考え方に洗脳されていた時だったので抜け殻ながらも仕事を続けました。転職をする決め手となった、ある出来事があるまでは。。。
まだまだ記しておきたいことがありますので、また次回といたします。
では、今回はこのあたりで。