土曜は仕事だし週末は雨の予報だったので、山には行かないつもりでいた。しかし仕事から帰ってニュースを見ているとなんと山沿いで雪が降るという。ヤマレコを見ると乗鞍でパウダーだとか。マチュピチュで雪に見舞われたけどそんなに積もっているのか! こりゃ急遽行くしかない!
ゲート前に着いて、雪を足で踏んで状態を確認するとガリズボモナカ。いつもの里山ならファットでスタートだが、今日はもう用なしと思って片付てしまっていたスーパーファットを出してきてスタートだ。
昨日のものと思われるトレースがあった。トレースをたどっていけば楽勝だ、ありがたやと藪斜面をショートカットして国道158をたどる。しかしトレースは途中で左の安房平へ入っていた。どこへ行ったのか、焼岳?安房山?
国道をはずれてワサビ谷へ入り、しばらく平坦なところが続く。平らなここはワサビ平とでもいうのかな? 新雪が積もったようだがそこまで増えたようには感じない。低木と倒木で雪がうねうねになっていて、まるで迷路のようにトレースを延ばしていった。
適当なところから尾根に取り付くが、地形図で見るとさほどでもないけどかなりの斜度。雪がついてないとかなり難しかった。踵ラッセルだったのが、次第にラッセルが深くなっていく。雪も降ってきた。
雪は軽く、踏み込むごとに綿毛のようにふぁさっふぁさっと板の上に纏う。まるで厳冬期だ。雪は軽いが、ラッセルは深いし傾斜はきついのであまりペースは上がらない。なるべく汗をかかないようにゆっくり登った。どうせ展望はないし今日はピークにこだわらない。強い風が吹くたび、シラビソの枝に乗った雪が雪崩れ落ちるのか、地吹雪が上がるように前方が真っ白になる。
標高2100mを超えて寒くなってダウンジャケットを着る。2300mを超えると風も強くなり、耳当て付きのあったかいメットを被ってゴーグルをし、手袋はインナー、防寒テムレス、さらにオーバーグローブである。防寒対策バッチリで完璧だった。
樹林帯を出ると、風と雪とガスの中ピークが間近に霞んで見えた。大きなダケカンバの脇で休憩してピークに目を凝らしていると、ここで滑り降りてもよいという安易な考えは小さくなって、頭の中はピークまで行くのが当然だ、になった。ガスって周囲が見えず覚つかないが、シールのままハイマツの上を歩いて岩の近くまで行く。
岩だらけのところまで来て、最後はスキーを脱いでツボ足で登る。ピークらしいところは岩が点在するだけで特に何もなし。晴れていれば乗鞍の雄大な全貌を拝むことができるのだろう。もうホワイトアウト、風も強くさっさと戻った。
さぁ滑ろう。全く見えないが右側は崖だから注意しないと。GPSで方角を確認しつつ斜滑降で慎重に下りていく。さっき休憩したダケカンバまで戻ればもう大丈夫。樹林帯へと滑り込むと雪も風も収まっていた。
上質のパウダースノーは板が浮きまくりフワッフワっと浮遊する。あまりの快適な滑りに支尾根に入ってトレースを見失ってしまった。復帰してさらに尾根を滑る。登りはきつかった斜度がパウダー滑降では最適だ。楽しすぎる!山スキーやってよかった。
尾根を滑り終えるとワサビ平と国道をボブスレー、雪が積もっていて平らなところではチビラッセルになった。最後駐車地へのショートカット斜面は、試練のガリガリ藪スキーで締めくくった。
3/17日
5:25 あかんだなゲート前
6:45 ワサビ谷
7:55 尾根取り付き
10:20 2300mジャンクション
11:40 金山岩
12:55 あかんだなゲート前
高度上昇 1370m
距離 12.4km
下山すると道路に雪が積もっていた。まじか、まぁ予想はしていたが。暖冬でもう雪は降るまいと、先週のうちにノーマルタイヤに交換していた。
スキーのためにこの車を買って、3年経ってチェーンを着けるのは初めてだった。説明書を見ながら四苦八苦してくくりつける。10分以上かかったかしら、もう面倒なので片っぽだけで出よう、どうせゆるい下りだし問題あるまい。ゴトゴトと下って、平湯の町に入ると消雪材のおかげか雪はなくなった。
やっぱり冬山もやるなら、暖冬であれ3月中はスタッドレスのままにすべき。うれしい後悔ってあるんだな。