毎年6月に山開き神事が行われる剱岳、2018年登山の記録。
雪と岩の殿堂、剱岳はこの時期に登ってこそだろう。雪の剱沢を見たい。6/3日曜は午後、西の方から雲が広がる予報で午前中には登頂しないといけない。
馬場島の駐車場はガラガラだった。登山口に近い空き地に車を停めてスタート。日が長くなり4:30にはヘッデンを点けずに歩き出せる。雪はもう随分減ったようで、大窓の雪渓はズタズタだ。松尾平のサンカヨウも花はとっくに終わっていて、葉っぱがズタズタになっていた。
大日岳は日を浴びて真っ白に輝いていた。やっぱり上にはまだ雪がある。眺めながら、今年も夏か秋に称名から奥大日の周回をしようと思った。
1600mから雪が出てきて、1900mからはずっと雪をつないで歩くようになる。小屋の手前にテントと荷物がデポしてあった。この時期なら水の心配がないので山頂でもテン泊可能だ。
小屋付近には人影はなかったが、もう一組泊まっていたようだ。時計を見るともう8:30。ゲ、ここまで3時間で来なきゃ行けないのに、4時間もかかってる。去年より歩行ペースが遅くなってる。体力落ちたか?
やっぱり週一でジョギングなどトレーニングしなきゃいけない。このところ忙しくてできていなかったが、週末に山登りしてるだけではペースを維持できない。ペースが落ちると1日で歩ける山も限られてしまう。今日は雲が湧く前に登れるか? 心配になってきた。
山頂部の黒い岩肌に、白い雪がちりばめられてキラキラ光り輝いていた。
担いできたミラーレス一眼で撮ろうとリュックから取り出すが、おや、電源が入らない。ハッと思って電池蓋を開けると充電池が入っていなかった。
うむむ、情けない。単なる重しになった、試練ですか。
2600m辺りから斜面をトラバースしたり岩やザレを歩いたりで慎重に行く。黙々と登っていると、上から急斜面をノーアイゼンで滑り降りていく人がいた。お、あれはパクさんではないか。とすると先にすれ違ったのはY先生か。こんな急斜面をアイゼンなしで下りるなんて信じられない。こけたら池ノ谷までまっしぐらですけど。早月を下山ということは大窓周回かしら。(後で調べたら小窓周回だった)
彼らが歩いた跡を利用して登るが、すぐ裏に夏道が出てるのに、雪の急斜面を強引に下りていて登るのは大変だった。
片手にピッケル、片手にストックを持ちバランスを取りながら進む。岩場鎖場はピッケルを腰のホルダーに掛けて、しっかりホールドしながら進んだ。凍っているところはないのでそんなに難しくはない。
西の方に厚い雲が湧いて、もう間に合わないかと思ったがなんとか青空の山頂に立てそうだった。時間は12時近い。7時間以上かかってしまった。さぁ、ラスト。
山頂は誰もいなかった。貸し切りの剱岳なんて4回登って初めて。結局今日出会ったのは、テントの単独行、男女2人組は途中敗退、Y先生3人組だけだった。
雪に埋まる剱沢。立山の向こうには、期待していなかった槍穂高も見えてうれしかった。
雲がどんどん押し寄せてきて白山方面は見えない。早月尾根もガスが湧いて覆われ始める。疲れて食欲が湧かないがコンビニおにぎり1個だけ食べたら下山開始。下りは上りより一層注意しなければ。
2800m位まで夏道が出ているところは忠実に夏道利用。アイゼンを引っかけないよう慎重に。少し下ったら、もう山頂部はガスに巻かれた。
今日は10本爪できたが、12本にするべきだった。雪が緩んでいて、かかとから踏み込んだとき10本だと雪を咬まずにずり落ちてしまう。そのまま足を持って行かれて尻餅をつくと滑落してしまう。急なところはバックステップで下りた。
先週の北穂のように、大勢が登ってステップができているようなら10本で問題ないのだが。もう少し人が入っていて踏み跡も明瞭かと思ったが、やっぱり剱は甘くない。
小屋の手前、2400m付近で雪道から登山道に入らなければいけないが、トレースを追って見落として、支尾根を80m近く下りてしまった。トレースは、途中で気づいたようで藪の中に突っ込んでいた。早月尾根の藪は半端ない、絶対入りたくない。しんどいけど登り返そう。
反省、人のトレースは当てにしちゃいけない!
上り返しで体力消耗。お腹は空いているのに、おにぎりを食べる気がしない。ゼリーを飲んで滑り降りた。上部は曇って涼しかったが、下部は日が照って気温が上昇。汗だくで、プラティパス2Lの水もペットのお茶もなくなった。給水ボトルなら容易に雪を突っ込んで溶かして飲めたのに、これも反省。
単調な長い下りを終え、下山は17:00になってしまった。12時間以上行動したのは、初めてかもしれない。
下山後はアルプスの湯で水風呂に入ってほてった身体を冷ましてから帰宅した。
2018/6/3日
4:40 早月尾根登山口
8:30 早月小屋
11:50 剱岳2999m 12:10
14:00 ルート外れ登り返し
14:40 早月小屋
17:00 登山口