300名山の三方岩岳は春は新緑、夏は花、秋は紅葉、冬はホワイトロードを使えば早くからスキーが楽しめる山である。
今回はブナの新緑を目当てに行ってきた。
ホワイトロード馬狩料金所横から白谷の左岸を進むと登山口となる。登山口から1000m位まではカエデやナラが多い印象である。これらの木はまだ半分ぐらいしか葉が開いていない。
標高1000mを越えるとブナ一色となる。広大な原生林は1000m〜1400mまで十分に楽しむことができる。
この山は白山ホワイトロードが開通していれば車で来て、標高1200mの駐車場からブナ林を散策できるし、標高1450mの駐車場から200mほど登るだけで山頂展望台に行ける。夏は山頂で折り詰め弁当を食べる普通の観光客がわんさか来る。
しかし、今日は実に静かである。
ブナが終われば疎林となり、周囲の山々もよく見えるようになる。思いのほか残雪が多かった。
山頂手前に嫌らしいトラバースが2ヶ所あるが、アイゼンを履くほどではなかった。
山頂へ来て初めて白山とご対面である。大笠、笈、人形、猿ヶ馬場など周囲の山々を眺めて登ってきたが、白山はやはり別格である。この大きさ、このたおやかさ、いつまでも見ていて飽きない。
当初、野谷荘司山へ周回する予定でいたが、存外稜線に雪が多くどうしようかと迷う。時間は十分あるし予定通り行っても良いのだが。
今日はうっかりスマホを忘れてきたし、それになんだか頭痛もする。稜線には雪庇が張り出していて、うっかり踏み抜いたら白谷に真っ逆さま。歩き出すとやっぱり行こうかとも思うが、、、こんなに迷う時は無理に行かない方がいいだろう。
ゆるゆると来た道を戻って、またブナの森へと入る。午後の日差しを浴びてさらに新緑が明るく映えた。
あまりの素晴らしさに少し進んでは止まり、また少し進んでは止まるを繰り返す。
立ち止まれば、鳥がさえずる声がする。風がブナの枝葉を揺らし、ブナの笑い声がする。
「山笑う」というが本当に笑っているようだ。新緑の中、ぼーっと癒やしの時が過ぎていく。
今日は誰にも会わなかった。
2019/5/12日
7:50 710m駐車場
10:25 1586m三角点
11:00 三方岩岳展望台 11:30
14:10 駐車場
高度上昇 1180m
距離 11km