小学校・中学校・高校の教育でプログラミングが強化されていることが話題になっているわけですが、それに関して先日話題になったツイートがこれです。
まつもとゆきひろさんはプログラミング言語Rubyの開発者です。
日本発のプログラミング言語で最も成功しているRubyが「何かに採用されなかった」という話をしているようです。
何に採用されなかったのかというと、これです↓
(しかも、リンクがバグって消えてしまっている… ALIS… 2021/1/21追記)
…と、どうやらPDFへのリンクは展開されないようですね😅
高校の「情報I」という授業の教員研修用教材でRubyが採用されなかったのです。
そしてRubyに代わって採用されているのがPython。
このPythonという言語、登場は1991年と意外に古いのですが、AIや機械学習、データ分析の領域での採用などで一気に人気言語のトップグループに仲間入りしました。
アメリカのトップ大学におけるプログラミング入門科目のためのプログラミング言語として、2014年頃にはPythonは最も多くカリキュラムに取り入れられていたそうです(リンク)。
グローバルにみると、Rubyもウェブ開発の領域でそれなりの人気があります(Ruby on Rails)が、プログラミング教育のための言語としての人気はPythonの足元くらいにしか及びません(たぶん)。
とはいえ…
せっかく日本発のプログラミング言語があるのだから、教員研修用教材くらいRubyで作ってほしいと思うのが人情というもの。
しかも、Rubyは2012年に「国際規格ISO/IEC 30170」として承認されているのです。これはRubyというプログラミング言語の規格(ルール)をきちんと決めて勝手なことはしませんよ…という姿勢に対する世界からのお墨付きです。
一方、Pythonは国際規格には承認されていません。
Pythonの場合、承認してもらいたいけど無理…ということではなく、国際規格を取得するような方針で運営されてきていないという意味ですが。
最初の引用ツイートにあるように、Rubyのほうは将来のプログラミング教育での採用を見据えて国際規格をがんばって取得したわけです。
なのに、なぜかPythonのほうが教材に採用されてしまったという今回の顛末、文句が言いたくなる気持ちもわかります。
っていうか、なぜなんでしょうね、文科省さん。
ただ、Rubyが本気でプログラミング教育での採用を狙っていたのであれば、国際規格を継続的に更新していくとともに、Rubyコミュニティ全体の方針として、
・ScratchやMakeCodeなど有名なビジュアルプログラミング(マウスでプログラムを組む)とRubyの切り替え表示ができるようにする
・Arduinoやmobile:bitなどの有名なマイコン(小さなコンピュータ)をRubyから制御できるようにする
といった動きをとっておいたほうがよかったように思います。
個人的にはRubyはとても好きなプログラミング言語なので、新学習指導要領実施のタイミングで教員用教材や教科書に大々的に採用されてほしかったです。文科省が後押しすべきだったと思います。
そうすれば、得意領域だったウェブ開発をはじめ全領域でPythonに押されているRubyが、「教育用プログラミング言語」として返り咲けたのではないか…と夢想するのです。