テクノロジー

「Microsoft Windows」の歴史

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  • Aoton
  • 2020/03/29 13:18

※かっこ内の数字は正式なバージョン名です。

Windows 1.0(1.0)

記念すべきWindowsの第一弾は1985年にリリースされました。なんと今年で35年。Windowsが世に放たれてから、30年以上の歳月が流れていたんですね。といっても、この頃は実用には程遠く、いわば当時のMS-DOSのおまけのようなものでした。まだ、日本での知名度もかなり低かったと思います。

Windows 2.0(2.0)

2年後の1987年にリリースされたWindows 1.0の機能強化版。使えるメモリが増えただけですが、これでも当時としての実用性はかなり高まったらしいです。しかしまだまだ知名度は低かったです。

Windows 3.0(3.0)

さらに後の1990年にリリースされたWindows 3.0では、操作感の改良やタスク管理、メモリ管理など、各種機能が網羅的に強化された甲斐もあり、後述のWindows 3.1の後押しもあり、爆発的なヒットを生み出しました。

Windows 3.1(3.1)

1992年にリリースされたWindows 3.1。日本ではこっちの方がかなり有名になりました。その当時はDOS/Vが流行したおかげで結果的に3.1も売れるようになり、日本での地位はもちろん、世界各国でも圧倒的な地位を確立し、ここからWindowsは大躍進を遂げることにはなるのですが、このWindows 3.1が大躍進を遂げたXP、7、10の直接の祖先ではないことを、覚えておいてください。

Windows 95(4.0)

その後3.11や中国語版のみにはなりますが3.2の登場がありました。そして1995年。ついに今までのWindowsの常識を破り、現在のWindowsの基礎を築き上げた「Windows 95」がリリースされました。95の登場によって、これまでバージョン名がそのまま名前になっていた常識も破られ、スタートボタンやエクスプローラーといった主要アプリケーション、今でいえばWindowsには必ずある当たり前のアプリケーションが付属し始めたのもこの頃です。しかしこのヒット商品となった95も、10の祖先ではありません(タイトルにもありますがw)。

以降はMeまで4.x系(9x系)なので簡潔に解説します。

Windows 98/98SE(4.1)

1998年にリリース。95にIEを組み込んで改良を行ったOS。その後さらに改良を行った98SEも登場したが、バージョンに変更はなかった。

Windows Me(4.9)

4.x系(9x系)が絶滅した元凶…とは言いづらく、本来であれば98SEで区切りをつけ後述の10の祖先系列に組み込む予定が断念され急遽やっつけ仕事で作ることになったOS。おかげで4.x系は絶滅してしまった。4.9という忌数の抱き合わせからもわかる通り、制作チームも相当疲労していたようで、もう本当に(省略)

と、Meで4.x系(9x系)の子孫は絶滅してしまい、結局10の祖先ではないことがわかりました。しかしこのままではMeの不況で絶滅したと思われかねないので、正式な理由を書いておきます。

Windows 9x系(4.x系)のOSは内部的にMS-DOSを大幅に拡張したものに過ぎず、OSコアの部分には16ビットによる処理も多く残されていた。これは過去のソフトウェアとの互換性や処理負荷の軽減といったメリットをもたらしたが、動作は不安定であり、OSのエラー(いわゆるブルースクリーンが出てしまうような現象)が絶えなかった。

とある通り、16ビットに依存していたせいでエラーが多発してしまい結局最期(Me)では使い物にならないほど不安定になってしまったというわけです。

その問題を解決すべく、時はさかのぼり1994年。既に、この時からWindows 10の祖先は誕生していました。そのOSは、「Windows NT 3.1」です。

Windows NT 3.1(NT 3.1)

95リリース前、1994年にリリース。この頃の「NT」は高可用性が要求されるビジネス向けの市場のためにリリースされたため、一般にはほとんど出回らなかったこともあり、知名度は低いが、これでも10の直接の祖先であり、元祖である。NT 3.1の途上自体こそ地味だったが、この当時から「いつかはこのNT系列が独占する」と考えていた企業も存在したほど、影響力は大きかったでしょう。実際に、この8年後に後述のXPがリリースされたことを考えると、NT系列の登場は正しいと言っていいです。

Windows NT 3.5(NT 3.5)

95リリース年の1995年にリリース。メモリ消費量の低減および処理速度の向上が図られており、NTを動作させるためのハードウェアのハードル引き下げに貢献しました…とあるのですが、正直よくわかりません。マイナーチェンジといった感じかな。

Windows NT 3.51(NT 3.51)

NT 3.5の改良版として1996年にリリース。(※英語版は3.5と同じ1995年発売)

Windows NT 4.0(NT 4.0)

同じく1996年にリリース。GUIを9.x系では同じく4.0だった95から継承し、ようやくWindowsの基礎をNT系も受け継ぐことになった。が、性能面ではグラフィックの向上に貢献したもののOSが最悪破壊されてしまうほどの重大なバグを抱えてしまい、結局のところ、一進一退といった具合であった。このNT 4.0を最後にNT系列にはOS名に「NT」が一切付かなくなった。(※NT 5.0が2000に名称変更したため)

Windows 2000(NT 5.0)

名前の通り、2000年にリリースされた。当時のMeの惨状もあってか、Meから2000にするユーザーも多かったが、そのまま98や95を使用し続けるユーザーも多く、後述のXPのほうが大成功を収めたため2000は比較されてしまうOSとなったが、碧線が初めて触れたWindowsは2000なので、是非ともこの事実を皆様に覚えてほしい。(笑)

Windows XP(NT 5.1)

2001年にリリースされた、Windowsの歴史を語る上では欠かすことのできない存在のOS。技術的な進歩は3.1→95よりも2000→XPの方が凄く、今日までWindowsが世界的に使われている一つの理由と言っても過言ではないOS。

前述の9.x系列とも完全な決別を果たせたことにより、神OSとして君臨し、結果それが次のVistaを不安定OSにした原因でもあり、NT系列をより良いものにした原因でもある。とにかく、このOSが無ければ今のWindowsは無いといってもいいだろう。95の時点で凄かったとは思いますが、私的にはXPのほうが影響は大きかったと。日本での盛り上がりは同じくらいでしょうか。

Windows Server 2003/64ビットXP/Home Server(NT 5.2)

なぜか全てNT 5.2なので一挙に説明。まずServer 2003はもちろんサーバー向けなのだがNT 4.0までほとんどサーバー向けOSだったのを考慮しコンシューマー向けのXPとは別に開発させたと思われる。ただGUIは共通。

64ビットXPはそれまで32ビットOSしかなかったWindowsには大きな影響を与えた。今となってはほとんど64ビットOSが用いられているわけだから、この64ビットOSの祖先はXPといっていい。ただし一般的になったのは7からだが。

Home Serverについては割愛。ちなみに2008年に再度リメイクされたが、売れなかったのかそれ以降はWindows Serverしかリリースされていない。

※以下、Server/Home Server/派生OS(RTなど)等は割愛。

Windows Vista(NT 6.0)

一般消費者向けには2007年にリリース。XPが最新OSの時代が6年も続いたわけだから、いかに愛されていたかがわかる。(2014年までサポートしていたのも驚き)

XPに対して、Vistaはあまり良いOSとは言えず、Aeroや新GUIを導入したのはいいが結果それが仇となってOSは重くなってしまい、かなり高いスペック要求をされた。今のi7やi5なら全然問題なく動作するはずだが、その頃はまだCore2の時代だったので、特にノートパソコンや廉価PCを中心に動作不安定に陥った。これが原因となり、XPのサポートが2014年まで伸びる訳ともなった。

Windows 7(NT 6.1)

2009年にリリース。7で初めて、OS名と本当のバージョンが合わなくなった。(10ではNT 10.0となったのでこの問題は解決済)というか、OS名にバージョン名を名付けるのは3.1以来で長らくリリース年やコードネームを用いていたが、7以降(派生OS等を除いて)OSにはバージョン名しかつかなくなっている。

VistaのAeroや新GUIを受け継ぎつつ、なるべく軽くしたのが7。結果、OSとしてはかなり良い出来になり、XPから乗り換えるユーザーも少なくはなかったが、依然としてXPのシェアは圧倒的だった。このシェア数はXPが2014年にサポートが終了して1年が経った、Windows 10のリリース後(2015年)にようやく追い抜けたほどなので、どれだけXPが凄いかがわかる。が、決して7も悪くはなかった。なぜかというと、後述のOS2種があまりにもひどかったからである…

Windows 8(NT 6.2)

2012年にリリース。実際のバージョンと合わないのにOS名だけは更新されていく。(何度も言いますが10では全て解決されました)

7でのAeroを部分廃止し、それまで使用できたクラッシックテーマすらも廃止した。だが、そんなものはほんの一つにしか過ぎなかった。なぜかといえば、

スタートボタンを廃止してしまった!

からである。これが従来のWindowsユーザーから批判を浴び、また代わりで登場した「スタート画面」の出来も悪く、なにより全体的にタブレット市場向けなのが批判に批判を浴びる一番の原因となり、XPのシェア数が支持され続けたのもこれが原因。

Windows 8.1(NT 6.3)

2013年にリリース。8の改良版で「ストア」から無料でアップデートできたが、スタートボタンが追加されたのは良かったが機能面では全く変わらず、結局8は伸び悩むどころか7やXPにシェアが流れてしまい、IEもこのころからChromeに流れるようになった。Microsoft全体が追い込まれてきたのもこのころ。

Windows 10(NT 10.0)

8の不況を打開すべく2015年にリリース。「古い考え方は捨てよう」、「10が最後で最高のOS」の考え方の下、バージョンもNT 10.0となった。(当初はNT 6.4の予定だったがリリース直前に変更された)

しかしリリース当初は強制アップデートや不具合の多発で再度批判を浴びる形になってしまったが、強制アップデート期間終了後は半年に1回の大型アップデートで徐々に改善していき、7や8のプロダクトキーがあれば無料で10にできる手軽さ、デジタルライセンスで再インストールが簡単にできることも相まってXPや7よりも徐々に評価され、スタートメニューの復活とタイル機能の組み込みによりタブレットとの両立(別にタブレットモードもあるが)を果たし、シェア数を圧倒的に伸ばした。

 

ということで、現在に至ります。なので、10の祖先は95(4.0)や最初期の1.0や2.0、3.1から始まったわけではなく、3.1から派生してビジネス向けに誕生した「NT 3.1」が10の祖先にあたるというわけです。

要するに「Windows」の祖先は「Windows 1.0」ですが、「Windows 10」の祖先は「Windows NT 3.1」と覚えていただければ大丈夫です。

いかがだったでしょうか。2020年1月にWindows 7のサポートが完全終了し、2023年までにはWindows 8系列のサポートも終了して、いずれはWindows 10に一極集中するわけですが、最近のWindows 10は初期の頃と比べても安定してきていて、まだまだ互換性やセキュリティなどの懸念は残りますが、ある程度のリスクは背負うものだと思って使っています。Microsoft Edgeも「Chromeインストール専用ブラウザ」と長らく言われ続けましたが、Chromeと同じエンジンを導入することによりEdgeもようやく”使えるブラウザー”にまで進化したと言えます。(独立形態のFireFoxが消滅してしまうのではないかと疑念は残りますが、正直どうでもいいw)

最後に、この時系列を画像にしたのでご覧ください(※サムネ画像)

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※Windows 11以降は記事作成当時リリース前。

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