

「これりけ」記事である、「これりけ」は「これだから理系は・・・」の略だ、流行らせていきたいと思っている。しかし「これりけ」記事はやたらと時間がかかるのでもうやらないかもしれない、ALIS に数式エディタを導入して欲しい、数式を画像で作るのがとてもめんどくさい。
前回の記事のコメント欄で物理の話も好きだという方がいたので、
今回は雑談で話すと数学の話より鬱陶しがられる物理の話だ。
宇宙旅行について考えたことがあるだろうか、もし僕が土星に旅行に行きたいと思ったとする、土星の環を背景に自撮りしてインスタにあげたい、どうしても。
地球から土星までの距離は最も近づいている時で 12億8000万 km だ。
もし光の速さが出せる宇宙船が開発されたとすれば、
光の速さは 299792458m/s ≒ 30万km/s
道のり ÷ 速さ = 12億8000万 ÷ 30万 = 4266.66… 秒
÷ 3600 ≒ 1.19 時間
なんと1時間ちょいで行けるのだ、新幹線で東京ー名古屋より早い。
本当だろうか、実は不可能である。
光の速さが出せる宇宙船が開発されたとしても 0 から急に光の速さになれるわけではない、仮になれるのだとしても中の人間が死んでしまう。
人間は急激な加速に耐えられないので徐々に加速していかなければならないのだ。
ちなみに、1G=9.8m/s/sとして、
新幹線 0.045G
民間機 0.3~0.5G
ジェットコースター 2~3G
戦闘機 3~9G
中で生活することを考えると加速中の新幹線の中で暮らすことは出来そうだが、離陸中の飛行機の中で暮らすのはちょっと嫌だ、加速度は 0.1G にしよう、新幹線が駅から出た時の加速度の2倍なら生活できるだろう。
では、加速度 0.1 G = 0.98 m/s/s で光の速さになるのにかかる時間はどれ程か、

299792458 = 0 + 0.98t
光の速さ 最初の速さ 0.1G
0.98t= 299792458
t=305910671.42… 秒
= 84975.18… 時間
=3540.63… 日
= 9.70… 年
なんと光の速さになるまでに 10 年もかかってしまうのだ、土星はとっくに通り過ぎている。光の速さで旅することは諦めて、加速度 0.1 Gで土星に行くことだけを考えよう、土星までの距離の半分の 6 億 4000 万 km まで加速し続け、残りの 6 億 4000 万 km を減速し続けることにしよう。
6 億 4000 万 km を加速度 0.1 Gで等加速度運動するのにかかる時間は、


減速にも同じ日数がかかるので合わせて、
土星までの旅にかかる日数は約 26.5 日である。
しかし停止させる13日前からブレーキを掛け始めなければならないのだ、車の制動距離なんて可愛いものだ、宇宙の話はとにかくスケールがおかしい。
ちなみに 13.22 日目、減速する直前に最高速度を出すことになる、その時の速度は、

v = 0 + 0.98 × 1142857.14
= 1119999.99 … m/s
これがどのくらいの速度かと言うと、去年打ち上げられた最新鋭の無人探査機が到達する予定の最高速度が 69 万 2000 km/h 、これが人類史上最高速度になる予定で、東京駅から1秒足らずで静岡県の掛川駅を通り過ぎるぐらいの速度だそうだ。
単位を m/s にすると 192222.2 m/s なので上の土星までの旅は人類史上最高速度の5.8 倍の速さを出していることになる。今のところそんな速度で飛べる宇宙船は作れないらしい。ちなみに光速は人類史上最高速度の 150.5 倍になる。

行こうと思えば行けそうである、土星にバカンスの日が来るかもしれない。
せっかくなので太陽系を飛び出すことも考えよう、
太陽系に最も近い恒星系であるアルファ・ケンタウリまでの距離は 4.37光年、約40兆2336億 km である。実はこれだけの距離があっても 0.1G の加速では到着するまでに光速に到達できない。
到達時の速度は280816409.77… m/s だ、惜しい、もう少しで光速である。
土星への旅と同様にアルファ・ケンタウリへの旅をすると片道 12.8 年かかる、これはちょっと行くのが厳しい。一番近い恒星系でこれなので人類が太陽系を飛び出すには最低でも加速度キャンセラーが開発されないとダメそうである、ワープが出来るようになれば何の問題もなくなるが。
みなさんも自分が行きたい星まで旅するのにかかる日数を計算してみたくなったことだろう、是非やってみて欲しい。
アルファ・ケンタウリより遠い恒星系に旅立つ場合は途中で光速になるので、そこからは光速での等速度運動になり、減速時にまた等加速度運動になるので、計算法が少し増える、注意が必要だ。
使おうと思って調べたけど使わなかったネタ置き場
重力加速度の影響(縦Gの影響)
+2G 体が重くなり、顔の肉がたるんで、座っている場合はなかなか
立ち上がれない。
+3G 立っていることが出来ない。
+4G 視界の両側からゆっくり色彩が失われ灰色になっていく。
「グレイアウト」
+5G 視界が完全になるなる「ブラックアウト」
-1G フワッと来るあれ。
-2G 気持ち悪い。血が逆流して頭が痛くなる。
-3G 血が逆流し視界が赤くなる。「レッドアウト」
最悪脳内出血などを引き起こす。










