僕はティッシュを買ってしまいました。
本当にすみませんでした。
普段なら残り1箱になってから買いに行くのですが、まだ3箱も残っているのに買ってしまいました。自分の欲望に負けてしまったのだと思います、反省しております。
出来心だったのです。昨晩、散歩の途中、ドラッグストアの前を通り掛かったとき、ふと思ってしまったのです。そういえば世間では大変なことになってるようだけど、うちの近所はどんな感じなのだろう、ちょっと覗いてやろう、そう思ったのです。
これでティシュが売り切れていればそれで良かったのです、僕はそれを見に寄っただけなのですから。ところが運命とは時に人を試すような巡り合わせを用意するもののようで、5箱入りティッシュが棚の隅に1つだけ置かれていたのです。
これが5つ、いえ、2つ3つでも置いてあったのなら僕は買いませんでした。何だ、うちの近所は売り切れてないんだ、そう思って帰ることができました。
1つだけ、この1つだけが、僕が買うためにそこに置かれているような気を起させるのです、そのうえ、ここで買わなければ二度と買うことが出来ないような、そんな気さえしてくるのです。そんなはずがないことはわかっていても、それでも、僕は。
ティッシュ騒ぎが起きたときに確認しています、うちには後3箱ティッシュがある。
トイレットペーパー騒ぎ、馬鹿にしていました、君たちの便は毎回そんなに緩いのかい、そんなに紙が必要なほど何度も拭くのかい、さぞかしキレが悪いんだろうね。
他所様には他所様の悩みがある、例えどんなに便のキレが悪かろうと、それは僕が口を挟むことではないのです。僕の便はキレッキレなのですが、鼻の方が良くありません、万年鼻炎を患っておりティッシュの消費量が人並みはずれて多いのです。
君の鼻はそんなに緩いのかい、そんなに紙が必要なほど何度も拭くのかい、そんなことは言われたくはありません、他人様の肛門に口を出すべきではありませんでした。これは勿論比喩です、誰かの尻に向かって口を近づける訳がありません、ですがそれと同じことです、誰かの尻の事情に口を挟むべきではなかったのです。
あんなことさえ言わなければ、そうすれば、僕は鼻炎があるからティシュが必要なんだ、と言えたかもしれません、ですが今の僕にその権利はもうありません。
そうだとすれば、どうしていつもは買わないティッシュを買ったことを説明すれば良いのでしょう、弁解の余地がありません。
理解して欲しいとは言いません、ですが、これを認めることは僕にとって身を割くような思いなのです、それでも、そのことを認めることなくこの反省文を終わることはできないのです、そういう思いでこれから言わなければならないことを言います。
僕は、ティッシュの買い占めに参加したのです。
大変申し訳ございませんでした。もうこれ以上の言い訳はいたしません。今後はこのようなことが無いように、この騒ぎが収まるまでは1枚のティシュを半分のペラペラに分けてから鼻をかみたいと思っております。どうもすみませんでした。