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「他人と自分を比べてしまう病」は高校数学が解決してくれる

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  • rekiamo
  • 2019/05/02 10:29
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他人と自分を比べて劣等感に苛まれること、ありませんか。

周りの人と比較して、
「勉強ができて羨ましい」
「背が高くてイケメンでいいなぁ」
「あの子がモテるのは可愛くてスタイルがいいおかげでしょ」
「あの人どうしてそんなに評価されるの?」
と思ってしまう。

一方、「それがない自分は大した人間ではない」とネガティブになる。

僕自身もその1人でした。
高校生の時、僕は“何かに秀でている”というよりは“だいたいなんでもそこそこできる”ようなタイプでした。何をやってもまぁ70点くらいはとれるような、でも抜きん出たものは1つもなくて、何をとっても上には上がいる状態。
当然“誰にも負けない”と言えるものはひとつもありませんでした。

ポジティブな人は「他人と自分を比較してもしょうがないよ」なんてアドバイスをしてくるけれど、「そんなの頭ではわかってるけど、やめられないんじゃ…」と自己嫌悪に陥る。

実際、『他人 自分 比べる』とググっても「他人と比較する癖をやめるコツ」は出てきますが「なぜ他人と自分を比較してもしょうがないのか」を説明してくれる記事はありませんでした。

何でしょう、この「答え」だけ示されて「解説」がない感じ。

僕はめちゃめちゃモヤモヤしていました。。。

そんな僕に「他人と自分を比較してもしょうがない理由」を示してくれたのは、高校数学、数学ⅡBの範囲の「ベクトル・虚数」を習ったときでした。
「ベクトル・虚数」を習って僕はこの世界の捉え方が変わりました。

このnoteではその「他人と自分を比較してもしょうがない理由」を数学を交えながら、高校数学が苦手な人でもわかるようにお伝えできればと思っています。


 

目次

- 離散量と連続量
- スカラー量とベクトル量
- 回転と平行移動
- まとめ

離散量と連続量

他人と自分を比べてネガティブになってしまうとき、そこには必ず「ダメな私」と「優秀なあの人」という構図が存在します。

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人間という生き物は本当に二項対立が好きなんだとつくづく思います。
その構図によってその中間的な存在がないものであるかのようにみなされる。

男と女
黒人と白人
純ジャパとハーフ
先進国と途上国
善と悪
優等と劣等

挙げればキリがありませんが、このような虚構の構図を作り出していることによって、苦しんでいる人がいるわけです。(まぁこの話は本筋からそれるのでまたどこかで。笑)

つまり、そもそも「ダメな私」と「優秀なあの人」を優等・劣等で二分している思考そのものが頭の中で作り出されたウソというということなのです。

ここで抑えなければならない、重要な真実は

重要な事実①:世の中は二項対立ではなくグラデーションである

ということです。

つまり、世の中は離散量ではなく、連続量として示されるのです。

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離散量とは、例えば「人数」のように1人2人と数えることのできるもののことであり(人数を数える時は自然数しか取れず、1.3人を数えることはできません)、
連続量とは、連続して無限に流れている「時間」のようなもので、数値で表す時は便宜的に近似値を表示したりします(体重52.3kgと言っても、体重計のメモリ分解能が小数点以下1桁なだけで、本当は52.32784374…kgである)

「ダメな私」と「優秀なあの人」の二項対立ではなくグラデーションであるというのは言い換えれば、
「私」と「あの人」の優秀具合を比較した時、
・ 私のダメさとあの人の優秀さを何となく直線上に並べて比較できる
・ 私とあの人の間にも、外側にも、無数の「ダメでも優秀でもない人」が存在する
ということを認識できるか?ということです。

離散量と連続量まとめ
漠然と「ダメな私」と「優秀なあの人」が別々に存在する(離散型)のではなく、滑らかなグラデーションの中に「比較的ダメっぽい私」と「比較的優秀っぽいあの人」が位置付けられる


 

スカラー量とベクトル量

ここまで読んでも、まだ「いやいや私が数直線の左側にいて、あの人が数直線の右側にいる限り劣等感を感じ続けるやんけ!!!」とお思いの方が大半でしょう。

ここで、2つ目の重要な事実になります。

重要な事実②:個人の存在は一本の判断軸上ではなく、多次元の合成ベクトルとして示される

つまり「何をもって優等・劣等を判断しているのかを考えなければいけない」ということであり、その判断軸はたくさんある、ということです。

先ほどまで、「ダメな私」は「優秀なあの人」に“成績”でコンプレックスを抱えていたとしましょう。
すると「ダメな私」の頭の中はこうなっていると思うんです。

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ただ、世の中で優秀とされる人は「成績がいい人」だけではないということを考えると、そもそも成績だけを軸にとっていることが、世の中のあり方に沿っていないということになります。
そこで、例えば「料理」について判断軸をとってみましょう。

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すると、「ダメな私」と「優秀なあの人」は料理と試験の二軸の平面上で異なる2点としてプロットされます。(ここでは料理と試験が一次独立であるとしています。)

ここで言いたいのは「試験では劣ってるけど、料理では勝ってるでしょ!!!」ということではありません
それは軸のとり方でどうにでも変わります。

重要なのは「二軸の平面上で異なる2点としてプロットされる」ということです。

つまり、個人(のスキルや存在)はスカラー量ではなくベクトル量として定義できるのです。ベクトル、または虚数として平面上にプロットできます。

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スカラー量とは「大きさのみをもつ量」のことで、例えば、長さ・距離・速さ・重さなどがあります。
ベクトル量とは「大きさと向き(方向)をもつ量」のことで、たとえば変位・速度・加速度などがあります。

もっと正確に言えば
個人の存在は「n本の軸のn次元空間上で異なる点としてプロットされる」
ということです。

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つまり個人の存在は平面にとどまらず、複数の(無数の)座標のn次元空間にプロットされます。図では便宜的に3次元にとどめています。

そしてベクトル・虚数はそれ自体の勝ち負けを比較する意味がありません。
(5, 2)と(1 , 4)や 5+2iと1+4iを比較することはできません。
(ベクトル・虚数はそれ自体を不等号>や<で比べることができない。)

ここに、「他人と自分を比較してもしょうがない理由」があります。

そもそも個人の存在は「連続的・多次元的・ベクトル的」でありこれらを比較することがそもそもできないんです。
我々人間は「単一のものさしで離散的に分類されて」育てられてくるので、この事実に気づけずに苦しむのです。小さい時に、偏差値や50メートル走のタイムといったスカラー量が自分の存在をプロットするものだと無意識に思い込んでしまうのです。

スカラー量とベクトル量まとめ
個人の存在は1つのものさしではなく、複数の(無数の)ものさしで定義されるベクトル量である。ベクトル・虚数を単純比較することはできない。

ここで、一部の人から「絶対値として原点からの距離を比較できるではないか」という反論が聞こえてくるので、そのことについて、次の章で述べてみたいと思います。


 

回転と平行移動

まず、一番大事なのは、
「あなたが思っている軸は、誰が決めたものなのか?そもそもその軸の置き方は正しいのか?」ということです。

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あなたが思っている「世の中の当たり前」でしょうか?
他人が言っていた「これくらいが普通」でしょうか?

あなたが当たり前と思っていることは他人にとっては当たり前ではないかもしれないし、世の中の「当たり前」という虚構に身を委ねてしまっていいのでしょうか。

そう、3つ目の重要な事実は

重要な事実③:軸と座標は相対的なものである

ということです。

ベクトルや虚数は、他の行列や虚数と積や和をとることによって簡単に回転や平行移動ができます。
それと同様に、個人の位置関係も軸・原点との関係によって、容易に捉え方が変わるということです。

「ダメな私」と「優秀なあの人」は全く変わらない位置にあっても、そもそもまっさらなところにどう軸や原点をとるかで、2人の位置関係を示すベクトル・虚数も完全に違うものとなります。

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それどころか、原点からの距離(ベクトルの長さ)も完全に逆転してしまうことだってあり得ます。同じところに点がプロットしてあっても、軸が変われば位置関係は変わるのです。

だからこそ、明確に定まってもいない虚構の「原点」や「軸」に囚われて、他人と自分を比較して一喜一憂する意味がないのです。

回転と平行移動まとめ
軸と座標は相対的なものであり、簡単に変わりうる。軸と座標が変われば点の位置関係も変わる。


 

まとめ

このnoteでは「他人と自分を比較してもしょうがない理由」を高校数学のベクトル・虚数を交えて説明してみました。

最後に、全体の論理構造がわかりやすいように、「重要な事実」と「各章のまとめ」を並べておきます。

【重要な事実】
①:世の中は二項対立ではなくグラデーションである
②:個人の存在は一本の判断軸上ではなく、多次元の合成ベクトルとして示される
③:軸と座標は相対的なものである

【各章のまとめ】
離散量と連続量
漠然と「ダメな私」と「優秀なあの人」が別々に存在する(離散型)のではなく、滑らかなグラデーションの中に「比較的ダメっぽい私」と「比較的優秀っぽいあの人」が位置付けられる

スカラー量とベクトル量
個人の存在は1つのものさしではなく、複数の(無数の)ものさしで定義されるベクトル量である。ベクトル・虚数を単純比較することはできない。

回転と平行移動
軸と座標は相対的なものであり、簡単に変わりうる。軸と座標が変われば点の位置関係も変わる。

このnoteを通して僕が本当に言いたかったことは、

本当に正しい軸や原点の取り方なんて誰にもわからないし、現状世の中にある”正しそうに見えるものさし”にとらわれそうになったら、「もっと目盛りが細かくあるかもしれないなー」とか、「もっと判断基準たくさんあるかもしれないなー」って思ってもっとものさしを探して欲しい

ということです。

あるものさしではかられたところで、違うものさしで測ったら全然見え方が違うことなんて、ザラにあります。

令和になって、世の中が、もっと皆さんの居心地の良い場所になりますように。


 

 

 

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