7月末に、内閣府地方創生推進室の内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局が提供する、『V-RESAS』が公開されたことを紹介しました。
このウェブサービスは、新型コロナウイルス感染症が日本経済・地域経済に与える影響を可視化することを目的につくられたものですが、開始からデータの積み上げとして約3ヶ月強が過ぎた12/1更新の内容を見てみたいと思います。
最新では11/9~15の前年同週比を見ることができるようになっています。この時期といえば、ファイザーがワクチンを開発したというニュースが出てNY株が激上げした頃です。ニュースを振り返ると思い出されると思います。
まずV-RESASのトップページ、移動人口の動向をみてみると、やはり流入人口の多い東京都がぶっちぎりのマイナスです。ワースト2位の北海道(-13%)を大きく離しています。
全国サマリーを見てみると、GoToキャンペーンの影響か、宿泊者数や飲食店情報、外出に関する情報の検索数で下支えされる消費動向はかなり上向いていると思います。反面、イベント関係、そして雇用の面は非常に厳しいと言わざるを得ません。在宅勤務(巣ごもり)が続いている中、POSの売上高、つまりスーパーやコンビニでの売上は、あまり変わってないというところですね。今年下半期、つまり7月から11月の動向をみると、菅総理がGoTo推しなのもわかる気はします。
宿泊については、コラムがまとめられていますので、そちらを御一読推奨。
私は今回、上記全国サマリーでひどい落ち込みが顕著な「雇用」、特に求人についてスポットを当ててみたいと思います。
コロナ禍のような予測し得ない緊急事態において、雇用の状況がどうなるかはまったく見通しが立たないものです。しかし、就職、雇用は我々の生活とダイレクトに結びつくものですから、主観的な「なんとなく」という状況判断ではなく、データに基づいた客観的な把握をしておきたいところです。
では、求人情報数のデータをまとめた結果をみてみます。まず、全職種をみたときの推移から。9月のいわゆる「9月採用」の時期において、特に中国地方や四国を始めとして一瞬、回復か?みたいに見えましたが続きませんでしたね。
おおよそ求人情報は、半月くらい前の景況を反映すると考えれば、8月半ばに感染者数がピークアウトしたように見えたあたりでの世相感も反射的に影響しているのかもしれません。しかしいずれにせよ、全国的に雇用の回復はまだまだ厳しい、という数値です。
個別の職種の統計をみていくと、少し違った世界が見えてきます。
まずは「ナイトワーク」、つまり夜のお仕事。具体的にはキャバクラなど風俗店のお仕事です。
なんだか九州・沖縄の勢いがすごいですね。5月に落ち込んだものの、まさにV字回復?といった様相に見えてしまいます(ミスリードですが)。11月をみてみると、関東でもプラス圏に入ってきています。これはこの業界の景気がいいというわけではなく、三密の代表ともいえるこの業界から、従業者が多く流出してしまったという背景があるでしょうね。
求人情報数というのは、「この仕事がこなせる人が欲しい」という願望の結果、と読むことができますね。
では、全国的に足らない足らないと言われている医療関係を見てみます。
グラフをみてみると、4月と9月に通常採用を反映したピークがありますが、求人数として急激な落ち込み等の推移は見られません。10月の北海道の動きが少し気になりますが、やはり医療職、看護職は資格あっての専門職という側面が強いですから、一般的な求人データとしては出てこないのかもしれませんね。ただ、毎日の報道を見ていると、もっと求人数として急激な伸びがあってもいいのでは?とも感じました。目にする情報と現実にズレが生じているかもしれません。
最後に、コロナ禍にあって社会的需要が高まっているIT系を見てみます。いわゆるエンジニア系と、Webクリエイターの両方を見てみます。
Webクリエイター、東北では引く手あまたかもしれませんよ? ちょっと私は門外漢なのでこの業界のことはまったくわからないですが、東北に何があるのでしょうか。ご存知の方いたら、コメントお願いします。
推移を見る限り、やはりIT系、ネット系はコロナ禍にあって強いな、という感じを受けます。なかなかニュースで取り上げられにくいかもしれませんが(時期的に悪い状況を流して、脅かしておくくらいのほうが良いから)、業界によっては求人増があって、その業界での経済は回っているのかな、というところ。
この他、各都道府県別に見ていくと、またさらに興味深いところもあるのですが、とめどなくなってしまうので、blogとしては以上にしておきます。みなさんお住まいの都道府県の状況、確認してみてはいかがでしょうか。
では、今日はこのへんで。