ちょっとしたメモ書き。ブログとしての起承転結とかはないです。
治療薬として試験が開始されている治療薬候補の治験状況や、もともと何の薬なのかの情報、論文や特許についても簡単にとりまとめ。
今後、薬やワクチンが登場してきたときに見返すために記録しておこうと思いました。
ギリアド・サイエンシズ社(アメリカ)
MERSやSARSなど、複数の病原体に対して、in vivo, in vitro両方での抗ウイルス活性あり。
Nature, 531(7594) pp. 381-385 (2016)
米国陸軍感染症医学研究所の研究グループが、エボラウイルスに対する抗ウイルス活性を有する化合物GS-5734発表。アカゲザルでエボラウイルスの複製抑制を確認。
特許第6220484号
2020-5-1 米国で緊急使用許可。それまでは、いずれの国でも未承認。
2020-5-4 日本で承認申請。
2020-5-7 日本で特例承認(商品名:ベクルリー)
※承認の法的根拠は医薬品医療機器等法第14条の3第1項
(1)疾病の蔓延防止のために緊急の使用が必要なこと
(2)他に適切な方法がないこと
(3)海外で販売が認められていること
富士フイルム富山化学株式会社(日本)
新型または再興型インフルエンザウイルス感染症に効能あり。
承認番号:22600AMX00533000(商品名:アビガン)
特許第3453362号
COVID-19に対する治験中。第III相臨床試験。2020-6末終了予定。
米国で第II相試験開始予定。
ASST Fatebenefratelli Sacco、治験期間:2020-3-25開始、7月終了予定(ミラノ)
北京大学第一医院、治験期間:2020-3-8開始、5月終了予定(北京、湖北)
アッヴィ合同会社(アメリカ)
HIV感染症に効果あり。
承認番号:22100AMX00434000(商品名:カレトラ)
カレトラはロピナビルとリトナビルの配合剤。ロピナビルはHIVプロテアーゼの活性を阻害する。リトナビルはロピナビルの体内代謝を阻害し、ロピナビルの血中濃度上昇をもたらす効果がある。抗ウイルス活性はロピナビルによる。
特許第5087409号
現在、マドリード等、世界各国で治験実施中。
ただし、臨床試験の結果、治療効果はない、という論文あり。
New England Journal of Medicine, "A Trial of Lopinavir-Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19." (March 18, 2020)
日医工株式会社(日本)
膵炎の急性症状の改善、汎発性血管内血液凝固症に効能あり。
承認番号:213000AMZ00720000(商品名:フサン)
新型コロナウイルス感染初期のウイルス侵入過程に必要なタンパク質分解酵素の活性を阻害する効果あり(東京大学医科学研究所)。
現在、パドヴァ大学(イタリア)にて第II~第III相試験。2021年12月治験終了予定。
サノフィ社(フランス)
皮膚エリテマトーデス、全身性エリテマトーデスに効能あり。免疫調整剤。
承認番号:22700AMX00692(商品名:プラケニル)
米国FDAは、2020-3-28、Covid-19患者に対する緊急使用許可。
米国立衛生研究所、米国内で臨床試験開始。
上海Public Health Clinical Centerにて第III相試験。治験期間:2020/2/25終了。
欧州医薬品審査庁は、Covid-19の臨床試験での使用を承認。
【懸念事項】クロロキンは1934年にバイエル社(ドイツ)が最初に合成。マラリアに有効とされたが、毒性が強く、開発中止。その後、1943年に米国でマラリア特効薬として使用開始。1955年に日本でも抗マラリア薬として承認。しかし、1961年にクロロキン網膜症の発生がみられ、1973年にクロロキン訴訟が提起されている。1974年に製造中止され、1976年には日本薬局方から削除されているという経緯がある。
MSD株式会社(日本)
腸管糞線虫症、疥癬に効能あり。駆虫剤。ヒトの河川盲目症薬等として使用。
イベルメクチンの開発者である大村博士とウィリアム.C.キャンベル氏はノーベル生理学/医学賞を受賞している。
承認番号:21400AMY00237000(商品名:ストロメクトール)
イベルメクチンはSARSウイルスの働きを阻害することで、自然免疫を回復させることが知られている(Journal of Virology, 81(18), pp. 9812-9824(2007))。また、イベルメクチンがSARS-CoV-2の複製を阻害することも明らかになっている(Antiviral Research, 178(2020)104787)。
北里大学が、Covid-19に対するイベルメクチンの医師主導治験の開始を発表している。
ファイザー(アメリカ)
マクロライド系抗生物質。
承認番号:21200AMZ00160(商品名:ジスロマック)
University of Rome Sapienzaにて、2020-3-1から治験開始。7月終了予定。
中外製薬株式会社(日本)
関節リウマチ、多関節に活動性を有する若年性突発性関節炎、全身型若年性突発性関節炎、成人スチル病に効能あり。
承認番号:22000AMX01593(商品名:アクテムラ)
特許第3370324号
Covid-19に対しては、中学製薬株式会社にて第III相試験実施予定、ロシュ社にて、アメリカ、カナダ、ヨーロッパにおいて第III相試験を開始。北京第一医院、治験を5月終了予定(北京、湖北)。
サノフィ(フランス)
関節リウマチに効果あり。
承認番号:22900AMX00958(商品名:ケブザラ)
特許第5307708号
仏サノフィ社、米リジェネロン社、臨床試験開始。
イタリア、スペイン、ドイツ、フランス、カナダ、ロシアで第II/III相試験開始。
参考サイト
U.S. National Library of Medicine "ClinicalTrials.gov"
世界中で治療薬のテストを推進している医療関係者や治験ボランティアの方々には感謝しかありません。