オードリー・タンの著書の中に、エンパシーとシンパシーの違いについての論説がありました。
「彼女」によれば、エンパシーとシンパシーは次のような違いがあるとのこと。
「エンパシー」は、自分の経験から生まれるものであって、単純な同情心ではありません。相手の心の声に耳を傾け、それから自分の経験に基づいて相手の状況を想像し、理解することです。まず相手の話を真摯に聴けば、自分が口を開くときにはすでにエンパシーを使って話せるようになっています。これは最も基本的な対話プロセスでしょう。エンパシーを表す「同理」の「理」は「知識」を意味しています。そうでなければ単に「同情」と呼ばれるはずです。
一方、シンパシーとは、感情の共有、つまり共感です。私は、そのときの相手の話すスピードや口調なども含めた、相手のオリジナルメッセージに対し、相手と協調しながら反応しています。そういう場合、私の心は感受性が高くなっているようです。そのときどきに感じるものに反応しており、こういうふうにしようとあらかじめ計画しているわけではありません。
ちなみに、ユーモアのセンスもシンパシーの一種でしょう。ユーモアがあれば双方がもともと抱いていた感情を、楽しく、建設的でポジティブなものに変えることができます。
エンパシー(Empathy)とシンパシー(Sympathy)は、共に他者に対する感情的な反応を指しますが、その性質と応用において大きく異なります。これらの違いについては、子どもたちにも何度か話をしたり、職場での演説(誰も聞いてないやつ)で話したこともありますが、私見としては以下のようにまとめられるかな、ということで、メモ書きレベルですが、書いておきます。
定義と本質: エンパシーは、他者の感情や経験に深く感情移入し、内面的に共鳴する能力です。これは、相手の立場を理解し、その感情や思考を自分のものとして感じることを含みます。
重要性: 特に職場やチーム環境において、エンパシーは不可欠です。異なるバックグラウンドを持つ人々との相互理解や信頼関係の構築、コンフリクトの解決において重要な役割を果たします。
応用: エンパシーは、相手の視点を理解し、受け入れることから始まります。これは、異なる文化や価値観を持つ人々との効果的なコミュニケーションや、チーム内の協力を促進する上で重要です。また、リーダーシップの文脈では、チームメンバーの動機づけや能力を最大限に引き出すために、エンパシーが必要です。
エンパシーの課題: 他者の感情や経験を深く理解するためには、自己の価値観や偏見を超えて、オープンマインドを保つことが必要です。また、過度の感情移入は、自己の感情的な疲労を引き起こす可能性があります。
定義と本質: シンパシーは、他者の状況に対する同情や共感を示すことです。これは、他者の感情や経験に対する理解を基にした共感的な反応を意味します。
重要性: シンパシーは、特に個人的な悲しみや困難に直面している人々への共感やサポートを表現する際に重要です。この共感的な反応は、人間関係の強化や社会的なつながりの構築に寄与します。
応用: シンパシーは、他者の感情や状況に対して、同情的または支援的な態度をとることを意味します。たとえば、友人が悲しんでいるときに慰めの言葉をかけることはシンパシーの一例です。
シンパシーの課題: シンパシーは、他者に対して同情することを含みますが、必ずしも相手の立場を深く理解することを意味するわけではありません。また、過度な同情は、時には相手を無力化させる可能性もあります。
感情の深さ:
エンパシーは、他者の感情や経験を自己のものとして内面化する過程を伴います。
シンパシーは、他者の感情に対して共感や同情を示すが、その感情を自分のものとして内面化するわけではありません。
関係性と影響:
エンパシーは、他者との深い関係性の構築に寄与し、コミュニケーションや協力を促進します。
シンパシーは、他者への支援や慰めを提供するが、相手の立場を深く理解することを必ずしも伴わない。
応用の範囲:
エンパシーは、ビジネス、リーダーシップ、教育など、多岐にわたる領域で重要視されます。
シンパシーは、個人的な関係や支援が必要な状況で特に重要です。
ビジネス論説などをみると、エンパシーを高めよう!という論調が散見されるのですが、個人的にはどちらも重要なスキルだと思います。
エンパシーとシンパシーは、共に他者への感情的な反応を指しますが、そのアプローチ、深さ、応用の範囲において異なります。エンパシーは他者の経験や感情を深く理解し共感する能力であり、シンパシーは他者の感情に対する同情や共感を意味します。
これらの違いを理解することは、特に職場やリーダーシップの文脈で重要です。エンパシーは相手の立場を理解し、信頼関係を築くために必要なスキルであり、シンパシーは他者への共感を示す際に重要といえます。
具体的な使い分けを一つ提示するとすれば、エンパシーは職場で発揮すべき能力、シンパシーは家庭内で配偶者とうまくやっていくのに重要な能力といえそうです。