変な特許出願ばかりではなく、ちゃんとした(?)特許も紹介しようと思いまして、今回はこれ。米国特許(US Patent)から、最近若者のあいだでとても流行しているスケートボード、「Penny」の特許出願をみてみます。
公開番号:US2017/0007909A1
公開日:2017.1.12
出願人:Absolute International Pty Ltd, Queensland (AU)
ワンポータルドシエを使ってもUSPTOの包袋を見ることができなかったので、出願経過はよくわからないです。出願人がオーストラリアなので、オーストラリアから米国に優先権を使って出願したのだとは思うのですが。
明細書の内容を読むと、このスケートボードの特徴は「繊維強化熱可塑性材料で射出成型された本体を含むスケートボードデッキ」ということですね。
繊維強化プラスチックというのは、通常のプラスチックにガラス繊維や炭素繊維を混ぜて、強度を上げたものです。一般的には配管やトンネルなどのインフラ素材、最近では軽量化を目的として車のボディにも使われ始めている素材です。この明細書でも、繊維としては具体的にはガラス繊維や炭素繊維が列挙されていますが、実際の製品には30重量%程度のガラス繊維が採用されているようです。マトリックス樹脂は高品質のポリプロピレンのようですね。
従来、スケートボードを作るには、積層された木材(合板)を用い、外見上簡素ではあるものの、実際の製造には経験的に設計された多くの変数を制御することが必要(レール、ねじり剛性、トラックとデッキの屈曲、体重等)でしたが、繊維強化熱可塑性材料を採用することによって、これを解消できるとのこと。
確かに、複雑な形状を木材のプレス成型で作っていくよりは、樹脂の射出成型によって一発で作ったほうが、コスト面でも有利そうですね。
ただ、グラスファイバー製のデッキだと、廃棄するときの環境問題が気になるところですが、、、そんなことを気にする製品じゃないってことですかね(笑)。
なお、従来のスケートボードデッキの作り方の特許出願としては、US2006/0049596A1があります。発明者には、なんとフリースタイルスケートボードの神、ロドニー・ミューレン(Rodney Mullen)が名を連ねています。スケーターとして共同開発をしたのでしょうか。実に興味深いです。