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【契約民主主義FAQ】大学と専門家について

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  • sg42
  • 2020/01/07 22:45

本編はこちら: 契約民主主義

 

A. 曖昧さについて

Q1. 「契約民主主義は大学組織への投資が要である」と繰り返し記事に書いてきたが、大学の予算増額提案はどのように行われ、大学はどのよう廃止され、学者はどのようなチーム構成で研究と教育と審議を両立し、それは今と比べて優れた環境なのだろうか?

理系の研究者は高額な機材も多いだろうから、ある程度大規模な大学組織に所属することになるだろう。大規模な大学は学科増設提案を基調として提案を上げていくことになるだろう。大学運営に関わる細かい予算も短期的なプロジェクトとして提案するだろう。どちらにせよ、「文科省から大学へ大型予算が渡され、それを分配するために大学内政治をする」というものではない。また、大学部外者が特定の大学との連携を前提とした提案を上げることも可能であり、実現可能性が十分に高ければ採択される。大学内外の垣根は存在しないだろう。

研究に予算を相対的に必要としない情報系や人文系は、ほぼ個人のレベルから提案可能であり、学振や科研費のように小型の提案も可能だろう。研究者や専門家のキャリアパスとして幅が広がることになるだろう。

一方で、成果の芳しくない学科や著しい不祥事のある大学は「改善提案」によって容易に淘汰されるだろう。組織腐敗が少なく、優秀な人材が年をとっても常にプレイヤーとして活躍できる仕組みになるだろう。

一方で、専門家には審議に関わる義務がある。そして審議におけるレクチャーの質が政策の質を決定する。研究職の提案内容と予算は審議に専門家として参加することのコストを踏まえたものになっていなければならないだろう。

Q2. 専門家にとって、審議に出るメリットは何か?

審議への貢献が大きいということは国への貢献が大きいと言うことであり、より大きな提案を自ら為す際のプラスになるだろう。例えば大きな大学組織を提案するときや、国の行く末を左右するような提案において、自ら提案する立場になったり審議を補助する立場になる蓋然性は高いだろう。

専門家が審議に出ることの金銭的な即効性あるメリットはないが、出ないことで大学組織内で評価されないデメリットはあるので、インセンティブ構造としてはそれで十分だろう。

 

B. セキュリティや持続性について

Q1. 専門家への賄賂による意見誘導を防ぐために、専門家から審議員への言動はすべて記録され、専門家としてのキャリアにフィードバックされねばならないのではないか?

然り。このモデルを採用する自治体では、大学組織を抜本的に再定義する必要がある。

Q2. 弱競争環境下での専門家の腐敗が起こるのではないか?

専門家の質こそがその国と地域の強さである。最優先で改善すべき。

Q3. 提案に対する専門家選択責任とテスト難易度設定責任の所在の不明瞭さがあるのではないか?

専門家を擁する大学組織もまた改善提案による監視を受けており、下手な動きをするとその歳入を停止されうる。歳入減少のタネとなる専門家は自主的に降格して提案を担当しないようにせねばならないだろう。

公平性を担保する仕組みがあるにせよ、究極的には専門家の資金源は提案予算かGAFAになるはずであり、バイアスがかかっていることを審議員は留意して決定すべき。それがInformed Citizenryというものだと思う。

Q4. 専門家の選定を政府に任せて良いのか?

政府の気に入らない提案に質の悪い専門家を割り当てることはきっと可能なのであろう。それならば、提案への政府の介入余地が大き過ぎるだろうという指摘はごもっともだ。人は易きに流れるし、制度の穴はいずれ突かれる。専門家の割り当てを政府の役割ではなく、「提案によって維持される行政機関」によって行うこととし、改善提案によって生殺与奪を国民が握ることで監視するのもありだろう。ジェームス・ブキャナンの言う「官僚といえども家族のいるサラリーマンであり、自己と裁量と予算の拡大のためなら赤字国債だって発行する」という言葉は極めて的を射ている。それを逆手に取らない手はない。ともすれば、軍事や司法や警察を含む「政府に属するもの全て」が実は「提案によって維持される行政機関」として実現可能であり、国民によって手綱を握れるものなのかもしれない。国家とは本質的には国民の提案の集まりであり、首長など不要で、リヴァイアサンにグリゴリを縛らせるためだったこのアイデアは、国民にリヴァイアサンを縛らせることまで成功してしまうのかもしれない。

 

C. アクセシビリティ

Q1. 専門家のレクチャーによって一般人からなる審議員にinformed citizenryになってもらう際の「歩留まり」をいかに改善するのか?

大学が専門家の素行不良によって「改善提案」を受けてしまうのであれば、あまりに審議における教授法が劣った専門家は表に出すべきではない。そして、大学における授業・教育の位置付けもこれまでより重要性を増すだろう。一方で専門家が審議に出ることを嫌い、あえて教授法を改善しないインセンティブが働くと蓋然性が高いため、専門家が審議を重ねることでキャリアにプラスに働く構造が必要になるだろう。

これまで教育やメディアに携わってきた人間のような、わかりやすく伝えることのプロが中立な立場で介在してもいいだろう。それはいわゆる「オリラジのあっちゃん」や「池上彰」のようなアイコン的存在になるかもしれない。プロスポーツの審判のような、中立性を担保し続ける仕組みが重要になろう。ただし、NHKや裁判官ですら偏向報道や判決の傾向でバッシングを受けるため、なかなか難しい立場になるだろう。ファシリテーターの柔軟性と裁判官の公平さの両方を兼ね備えた役割が必要になるだろう。

Q2. あまりに既存の大学制度と異なるため、国外の研究者が困るのではないか?また、国外の研究者に提案権利がないのは不公平ではないか?

大型の大学に雇用される方法であればこれまでの大学と変わりない。提案権利が外国人にない件については、大学の新設権がどこの国でも外国人に対してはほぼ与えられていないに等しいのと同じである。むしろ、制度の効率がよくなり、大学新設が気軽にできるようになったからこそ、そのような状況が問題に見えてしまうのではなかろうか?

 

D. スケーラビリティ

Q1. 改憲ではなく一般的な立法に用いるには学際領域の専門家を調達できない蓋然性が高いのではないか?

大学のキャパシティに投資することは社会を拡大する上では必須要項となる。

Q2. 改憲ではなく一般的な立法に用いるにはDoS攻撃への耐性がなく、専門家リソースが枯渇するのではないか?

提案選別局がDoSを捌く。もし提案選別局が腐敗すれば国民投票によって罷免される。

 

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