テクノロジー
5Gの猛者であるファーウェイの進出に対する米国の拒否反応から、悪対悪の構図を予感
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ALISはお金ではない
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2020/01/20 02:56
昨晩視聴したNHKスペシャルでは、世界各地に進出する中国企業ファーウェイと米国との攻防が取り上げられていた。
ファーウェイによる5G通信技術は、既にヨーロッパ・アフリカ・アメリカの地方に取り入れられている。今後もドイツを中心にしてファーウェイは技術提供を進め、デジタル・シルクロード構想(中国のハイテクネットワークを通じたビジネス拡大)を現実化させる予定とのことであった。
5Gで実現されるスマートシティでは、官民問わずあらゆる情報がインターネット上で利用できる。また、町中に設置された監視カメラによって治安維持が強化されるというメリットもある。例えば、強盗犯人は監視カメラですぐに捕捉・追跡され逮捕される。
しかし、この仕組みは政権側にとっては市民を監視するためのツールにもなりえる。セルビアでは、ファーウェイ製の監視カメラ設置を問題視する市民デモが起きている。
米国は、ファーウェイを警戒している。なぜなら、ファーウェイの製品にはバックドア(情報にアクセスするために故意に設けられた裏口)が仕組まれている可能性があるからだ。中国政府はファーウェイを通じてスパイ活動的な情報収集を行うのではないか。米国はこの点を危険視し、各国にファーウェイをボイコットするように呼び掛けている。
以上が昨晩視聴したNHKスペシャルの概要なのであるが、「ファーウェイは信用できないが、ファーウェイの拒否を各国に呼び掛ける米国もまた信用できない」という感想を私は持った。
スノーデンが暴露したように、米国は既に「大量監視システム(電話やネット上のほとんどあらゆる活動を完全に記録・保存する仕組み)」を開発配備している。
これと同様のことを中国政府がファーウェイを通じて各国で行うことを米国は警戒しているわけである。つまり、米国政府は、中国政府に己の姿を見ているのである。
現段階では、中国政府がファーウェイを通じて情報収集活動を行うつもりなのかどうかは分からない。NHKスペシャル取材陣に対してファーウェイの社長は「中国政府にファーウェイが情報を提供することはない」と断言していたが、簡単に信用してはならないだろう。中国政府の権力に、一企業であるファーウェイがどれほど抵抗できるのかは未知数だからである。
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自称小説家。窓から知念半島を眺めながら、いつも文章を書いています。ペイントで雑な絵も描きます。