コロナ危機と半減期による乱高下で、再び世界中で脚光を浴びているビットコイン。
主な素朴な疑問への自分なりの回答をまとめました。
日本円の価値は、何かとの交換で日本円を欲しい人がいて、交渉が成立する限り、なくなりません。
それは金でも株式でもビットコインでも同じです。
背景はそれぞれ異なりますが、突き詰めるとそれは紙切れや物質や数字に対する「信頼」という共同幻想です。
それがある限り価値はなくならず、認知度が高く賛同者が多い程、価値はなくなりにくくなります。
ビットコインはまだ誕生から約10年ですが、各国の権力者が支配する通貨利権を個人に移転可能な仕組みのため、途上国を含めて世界中で認知と賛同が広がり続けています。
どんな価値も、それぞれの流通量や取引量は示せますが、日本円の価値は「◯ドル相当」のように何かに置き換えないと表せません。
価値は相対的にしか表すことが出来ず、絶対的な価値は日本円にも金にもありません。
ではコロナ以前の日本円の価値総額を100%として、「緊急事態だから10%追加してバラ撒くよ!」とした場合、日本円を持っている人の所有価値はどうなるでしょうか?
テロや自然災害や原発事故や感染症で、100年に一度もない緊急事態がある度に、時の権力者の裁量で再分配できるのが法定通貨です。
最近アメリカも日本も、国(借主)が十分な国債を追加発行できるよう、中央銀行(貸主)がグルになって「無制限に借金預かるよ」と宣言しました。
しかし追加発行で価値の総額が増える訳ではないため、得をするのは国から通貨を貰う人、損するのはその通貨を多く持ってる人と、今後働いてその通貨を貰う人で、その間で強制価値移転を強いられているだけです。
助け合いの精神は大切ですが、果たして皆が(特に資産家が)権力者の采配次第で所有価値を減らされる通貨を、安全資産として持ち続けたいと思うでしょうか?
その中央集権システムの管轄外にあるのがビットコインです。
上限2100万BTCは、参加者(世界中のマイナー・開発者・所有者)の総意が変わらない限り固定です。それが賛同する価値の源泉のため、まず変わりません。
ビットコインは2020年5月時点で約17兆円相当以上の時価総額があり、発行済の約1800万BTCで割った1BTCの日本円価値は約100万円前後です。
これはごく単純に言えば、世界中の人が自国の法定通貨より価値が信頼できると思って交換した時価総額です。
この総量固定で馴染みがあるのは株式です。
現在100兆円以上の時価総額を有するamazon株式が、円やドルより将来価値を信頼できると思って交換する人がいる事と何も変わりません。
但し株式は、会社・取引所・国家による介入が可能なため、非常事態では強権力にとても弱い仕組みです。
ビットコインが異なるのは、国や取引所のルールに縛られておらず、いかなる権力者も勝手に変更できない、誰でも確認できる数学アルゴリズムに則っている点で、その事自体も従来の資産にはなかった新たな価値です。
ビットコインは総量固定のため、法定通貨からビットコインに交換して持っておきたい人が増えれば、需給関係により自然と1BTCの価格は上昇します。
逆に、人々が国や企業を信頼し、ビットコインより法定通貨や株式の将来期待価値が高いと思う人が増えれば、1BTCの価格は下がります。
将来は予測できませんが、年単位の様々な統計指標では価格上昇傾向が見られ、世界経済は残念ながら協調や安定から遠ざかっているように思えます。
例えば資産家が10億円をビットコインに交換した場合、毎年1億円分相当を日本円に戻し、10年後にはビットコインを全て手放したい、、とは思わない気がします。
近年この業界の金融サービスは著しく発展し、一通りの消費活動は勿論、様々な金融派生商品やサービスが充実しています。むしろ法定通貨より自由度が高く、サービス提供元が強権を持つ事を嫌う土壌があるため、恩恵が大きく理にかなっています。
それらを実感した資産家は、遺産相続の時に敢えて法定通貨に戻す必要があるとは考えないでしょう。
ビットコインは全ての取引が公開されているため、保有したまま流通しないBTCの割合が年々増え続けていることも確認できます。
つまり、法定通貨換算価値が100倍に上がっても一定量は手放さない考えの(または鍵を紛失した)人がある程度の割合でいるため、売却圧力は半減期がなくとも減り続けており、安価での購入は年々難しくなっていくと思います。
2020年初頭のビットコインの急落と高騰は、一般ニュースで見出しになってもおかしくないレベルの世界的なトレンドだと思いますが、コインチェック事件前のような大衆メディア露出やムーブメントは今回ほとんどない気がします。
2017年に世界メジャーになってから、ドルに変わる次世代デファクト資産を目指す様々な仮想通貨の下剋上物語は、個人の人生で意味ある30年スパンで考えた時、この5〜10年が潮目だと思っています。