Liquidity Bootstrapping Pool(以下LBP、自律起動流動性プール)という、公開当初の価値・価格を公正に決定する、画期的な手法が新たに誕生しました。
世界中から資金調達可能とした革新的なICOに始まり、信頼性を取引所が担保するIEOや、既存の投資契約に歩み寄るSTOが考案され、昨今は所有権・秘匿性・即時流動性等の課題を解消した自律分散取引所のIDO(Initial Dex Offering)が広がってきています。
LBPは、IDOでも課題として残るホエール問題(大口投資家の先行購入がその後の価格形成に影響)を大口需要を制限することなく解決しつつ、資金力に関わらず購入希望者の総意で適性価格を見出す価格発見スキームです。
具体的には、価格が徐々に下がっていくダッチオークションと、購入希望者が購入価格を決定するリバースオークションを組み合わせた、リバースダッチオークションに該当し、それをDEXの流動性プールで自動的に行うものと理解しています。
価格未定のトークン価値を信じている大口投資家(特に短期トレーダー)は、安価な初期に大量購入し、価格上昇後に売り抜けようと考えますが、合理的に考えて割高すぎる価格からスタートし、売買高に応じて徐々に価格が下がっていくため、このLBPスキームでは投機的な売買が困難です。
今回初の試みとして実施されるRegen Networkのトークンは、1億REGENが最大供給量で、流動性プールREGEN/ATOMには当初60万〜100万のREGENトークンと1万ATOMが供給されます。
LBP開始時点でREGENトークンの米ドル換算価値は未定ですが、2018年以降のプライベートセールで計10億円超(単価$0.1〜$0.63)のバリュエーションがあり、LBPは$4〜$6で開始されます。もし価格が下がらなければ時価総額440〜660億円前後とスタートアップ企業としてはかなり割高な評価となりますが、ではどの程度ならフェアバリューか?を5日間かけて見出します。
LBP開始:2021/6/24 1:00am JST (6/23 16:00GMT)
LBP終了:2021/6/29 0:59am JST (6/28 15:59GMT)
開催取引所:Osmosis Dex
LBP終了後は誰でも流動性プールにREGEN/ATOM LPを供給可能となるため、以降はDEX市場原理で価格が成立していくようになります。
今回のLBPに先んじて、Cosmos(ATOM)が長年取り組んできたインターオペラビリティの肝となるIBC( Inter Blockchain Communication)が稼働したため、REGEN/ATOMに限らずBinanceやTerra等、Tendermintベースのエコシステム間での価値移転が現実のものとなりつつあり、Ethereumネットワークと相互接続可能なGravity Bridgeの開発も進んでいます。
広くコミュニティに信頼されているエコシステムとの多様な接続が、信頼性や流動性に直結し、信頼価値を高めます。各コミュニティが相互に協力し合い、掲げる取組みが有益だと世界で徐々に認知されていけば、このまだ誕生して間もないネットワークや仕組みが今後も広がっていくでしょう。
Regen Networkは、豊かな地球環境再生(Regenerate)を掲げるエコロジー推進プラットフォームです。主にCO2削減のためのカーボン・オフセットに取り組んでおり、農場や牧場経営者の土地の環境価値を測定し、算出したカーボンクレジットを国や企業に売却します。その最適なアプローチとしてブロックチェーンを活用しています。
Cosmosコミュニティの文脈ではCosmos SDKのメンテナーとして重要な役割を担っており、Cryptoコミュニティに対する活動や造詣も深いものを感じます。
また環境科学者チームを有し、数年間測定した土地の評価レポートを公開しています。環境保全に注力するMicrosoftにもカーボンクレジットの売却実績があり、理念に留まらず土地保有者からクレジット購入希望者をブロックチェーンの優位性を活かして繋ぐ、一連の事業活動サイクルが既に成立している点が強みです。
尚、Regen Networkは地球環境再生という壮大な目標を掲げているため、価格の急上昇が望ましいとは考えていません。プライベートセールで購入されたトークンには1〜3年間売却できない(送信できない)制約が課されており、即座の売り圧力にはなりません。
このような取組みに興味のある方は、Regen Networkの活動を掘り下げてみてください。
Cryptoコミュニティは無法地帯であるが故に叡智の結集にも際限がなく、よく調べさえすれば目まぐるしい速度で改善され続ける様々な取組みを知ることができます。
短期的な世間動向による価格乱高下に惑わされることなく、各自が今後の社会にとって良いと思うコミュニティ活動を推進していきましょう。