アニメーションMV三選+α

オタクだってお洒落だと思われたいいいいい……コポォ

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                日本橋高架下R計画 https://www.youtube.com/watch?v=EqogKMxhpT4

 アニメのオススメをそろそろしていきたいなと思ってるんですが、その前に箸休め。まずはアニメーションMV(Music Video)の紹介をしようと思いまして。MVなら公式動画を堂々とここに貼れますからね。その場で観ながらのほうが楽しいですよね。但し、どこまでALISのサーバがもつかの勝負かも。

 

 MVとはご存じの通りMusic Videoの略。アーティストの楽曲を映像化したものですが、そのまま宣伝に用いられることも多く、昔はそもそもPV(Promotion Video)という言い方をしておりました。このMVにアニメを用いたものがアニメーションMVです。

 プロモーション、またはプロパガンダとアニメの関係は歴史的に深いもので、革命ロシアのプロパガンダアニメやディズニーによる国策アニメなどが良く知られています。日本における最初の長編アニメも海軍省による戦意高揚作品でした。大衆に広く、わかりやすく訴えるのにアニメは適しているとみなされてきたのですね。

 ともあれ、アニメには威力があるということで、MVにもアニメの導入はすすめられ、Boowyの「MARIONETTE」(制作/ガイナックス 1987年)やCHAGE&ASKAの「On Your Mark」(制作/ジブリ 1995年)など、かなり力の入ったアニメーションMVも作られてきました。

 

 現在、国内でのアニメーションMVの最高再生数を誇るのはこのMV。再生数2.9億。国内の音楽MVで2位、全動画ランキングでも5位。

 

 近年はYoutubeでの動画プロモーションがアーティストに欠かせないものになり、ますます多くのアニメーションMVが登場するようになりました。広くはアート系などいろいろありますけど、今回は特にジャパニメーション系の作品に絞って名作を紹介していこうと思います。

 あれ、今回は結構、解説が真面目ですね。うん、安心して今回は大丈夫。お洒落に思われたいんです僕だって。


 

アニメーションMV、おすすめ三選

Linkin Park/Breaking The Habit

 いやあ見れば見るほどかっこいい。終盤ロストスコープ(実写トレース)に繋がってもまるで違和感のない作画は中澤一登さん。制作はGONZO。作品ディレクターをリンキン・パークのメンバー、ジョー・ハーンがつとめていて、このスタイリッシュなセンスの大半は彼のものですが、支える作画は半端ない。

 中澤一登さんといえば『サムライチャンプルー』『残響のテロル』のキャラクターデザイン・総作監、映画『キルビル』のアニメ部分監督などで知られます。色気のある絵に定評があり、特に男キャラの色気は萌えオタな筆者ですら惚れてしまうやないか、なアニメーターさんです。『明日のナージャ』なんかも手掛けてますけどね。

 海外でも評価の高いアニメーターのうちの一人で、近年ではNetflixオリジナルアニメの監督・キャラデ・総作監を努めています。Netflixは中澤さんという才を見込んだわけですね。 

 作品としては10年前のものになりますが、これを超えるアニメーションMVはまだ存在しないんじゃないかな。或いは、超えることはないのかもしれない。

 one man can save millions, but millions couldn't save one.

 一人の男が数百万人を救える、だが数百万人は彼を救うことができなかった

 トップコメントにある通り、ボーカル、 チェスター・ベニントンの衝撃的な自死により、永遠にモニュメントになってしまった作品でもあります。「Breaking the habit」これは現ボーカル、マイク・シノダからチェスターへと贈られた歌詞。そしてチェスターが泣きながら口にした歌。

 

Poter Robinson & Madeon/Shelter

 国際的に知られるDJにしてアニメオタク、ポーター・ロビンソン。秋葉原のメイド喫茶にやって来て喜んでたような筋金入りですが、念願かなってA-1 Picturesに企画を持ち込み、この宝物のようなMVが出来ました。脚本も彼が書いています。音楽は数々のマッシュアップで著名な盟友マデオンとの競作。

 したがって、ただのPVや単独のMVであることを超えて、壮大な「ポーター・ロビンソンの世界」になってます。アニメーション監督は『かんなぎ』や『アイドルマスター』のOP作監で、音楽モノには強い赤井俊文さん。『ソラノオト』『マギ』のキャラデ・作監なども務めてます。

 アニメーションとしての注目は本作の作監・キャラクターデザインの河野恵美さん。一枚一枚のクオリティ高い絵作りが見どころです。河野さんはセンスのあるアクションシーンに定評があって、いまどんどん作画のシーンを集めたMAD(AMV)が作られているような、現在進行形で高い注目を集めるアニメーターさんです。本作に派手なアクションはありませんが、センシティブな動きと作画を存分に観ることができます。「現時点」を代表するような傑作MVです。

 so trust in me. I'll give them shelter like you've done for me,

 僕を信じて。きみがしてくれたように 彼らにもシェルターを与えるよ

 and I know I'm not alone, you'll be watching over us. Until you're gone.

 独りじゃないって。僕たちを見守ってくれるんだね。きみが消えてしまうまで

 MVでは父親と娘の物語が描かれますが、歌としてはもっと大きなテーマを扱ったものです。物語の続きを考えてみるのもいいかもしれません。描こうとしているのは、さらにひろい世界なのですね。

 

Bump of Chiken/新世界

 ちょっと一般的なMVとは毛色が違いますが、ロッテ創業70周年を記念したプロモーション作品。楽曲はBUMP OF CHICKENによる書き下ろし曲。独立した楽曲に映像がつくという意味ではMVの範疇に入れていいのかな。バンプはなぜか昔からオタ系女子にも人気がありますね。物語性のある楽曲が魅力なのかな。

 企画・プロデュースが『君の名は』や『打ち上げ花火(長いので略)』等のプロデューサーとしてよく知られる東宝(現在独立)の川村元気さん。いま上映中の新海誠監督『天気の子』でもたくさんの商品とのタイアップがなされてますが、この作品がひょっとして手法のもとなんですかね。

 監督は『京騒戯画』『血界戦線』、映画『ハートキャッチプリキュア』等の監督をつとめた松本理恵さん。作監・キャラクターデザインが林祐己さんで、東映アニメーション所属。松本さんと林さんのコンビは『京騒戯画』でよく知られていますが、華やかで賑やかな画面作りが話題を呼びました。たくさんの色とりどりのロッテ商品が出てくる本MVにほんとぴったりで、ウキウキしますね。

 アニメーション制作はボンズ。サンライズから独立し、『鋼の錬金術師』や『交響詩篇エウレカセブン』等で高い評価を得るスタジオ。やはり海外でも評価は高く、Netfixと包括業務提携を結んだスタジオです。

 君と会った時 僕の今日までが意味を貰ったよ

 頭良くないけれど 天才なのかもしれないよ

 世界がなんでこんなにも 美しいのか分かったから

 東宝出身の川村元気さんと、東映アニメーション(旧東映動画、日動)の松本さん林さん、そしてボンズが組むという、アニオタからすると「お」ってなところもある作品です。何度繰り返し観ても楽しい、何度観ても発見のあるMVです。

 

+α

 さて、代表的な三作を挙げてきましたが、折角ですから今年2019年に出たMVで注目作を挙げておきます。

 

  まず、何と言ってもこのところ国内のアニメーションMVで注目なのは映像制作チーム「hurray!」。もともとニコニコ動画等でボーカロイドや歌い手関連のMVやイラストを制作していた三人のクリエイター(ぽぷりか、おはじき、まごつき)により結成されたユニットです。

Hurray! コンセプトムービー

 今年は、ヨルシカさんの『だから僕は音楽を辞めた』で驚くほどセンシティブなセルシェーディング3Dアニメを見せてくれました。

ヨルシカ - だから僕は音楽を辞めた (Music Video)

 また、メカメカさんがちょうど記事を書いておられますが、同じくヨルシカさんの新作『雨とカプチーノ』MV。

 凄まじい表現力ですよね(これは必見!)。今後が本当に注目の制作チームです。


 

 ニコニコ動画、ボーカロイド出身と言えば米津玄師さんが有名で、『マトリョシカ』や『アイネクライネ』ほか自作のMVも名高いんですが、ほぼ同じルートをたどっていま大きく活躍を広げているのがはるまきごはんさん。

再会 / はるまきごはんVocal ver. アニメMV

 ボーカロイドの楽曲も同時にリリースしてますが、このアニメーションMVもまたかつての米津さん同様、自作です。毎度毎度謎めいた世界観と的確に印象的な場面を紡ぐアニメーションがとても心に残ります。

 あちこちのボーカロイド系MVで活躍されてるこむぎこ2000さんがアシスタントにクレジットされてます。はるまきさん、アニメーション映像制作チーム「スタジオごはん」を結成したって話ですが、このお二人が中心なんですかね?こちらも要注目です。

 

 多くのアーティストがアニメMVを手掛けていますが、アニメへの注力が目を引くのはEve。やはりもともとニコニコ動画の歌い手で、ボーカロイド楽曲も手掛けていたアーティストです。

僕らまだアンダーグラウンド - Eve MV

 これは先に紹介したロッテ創業70周年プロモーションと同じく、川村元気さん企画・プロデュースによるもの。キャラクターデザインに『ピンポン』や『おそ松さん』キャラデを努めた浅野直之さん。アニメーション制作はWITSTUDIO。『進撃の巨人』『甲鉄城のカバネリ』の超絶作画で度肝を抜いたスタジオです。

 いったい何なのこの世界、なMVですが、散りばめられたかけらを読み解いていく、あれこれ世界をひろげていくのも楽しそうです。後に出た『君に世界』も同じスタッフで制作されてます。


 

 さて、ざっと振り返ってみると、ガイナックスやジブリによってMV作品が作られた景気の良い時代が終わったあと、割と長い間アニメーションMVは予算の都合もあって制作される場が限られるものでした。

ef - the first tale. demo movie

 新海誠監督の例が有名ですが、美少女ゲームのOP(オープニング)がアニメーションMVの主舞台になってた時期もあります。ゲームのOPは重要な宣材を兼ねていて、メーカーはOP制作に資金を投じたのですね。新海監督だけでなく、『絶望先生』『化物語』などの独特の演出で知られるシャフトの新房昭之監督なんかも美少女ゲームのOPを手掛けたことがあります。

【東方MV】魔理沙は大変なものを盗んでいきました【IOSYS】

 その後、ニコニコ動画やYoutubeといった動画サイトの時代になって、最初に広がったのは同人音楽+FLASH職人によるMVでした。IOSYSなんかが有名ですよね。ここらへんからCGM(消費者創造文化)が広がって、多くのクリエイターがアニメMVに参加し世界を広げていくことになります。

ハチ MV「砂の惑星 feat.初音ミク」HACHI / DUNE ft.Miku Hatsune

 さらにボーカロイドの登場とともに、本格的なアニメMVの制作が試みられ、紆余曲折はありますが、ますます表現の幅や参加者は広がりを見せるようになりました。

 振り返るとようやくいま、花が開くんだなあ、という感想もあります。上に今年の注目として紹介した3作品いずれも動画サイトでの自主製作、CGMの流れを引いている人達で、その開花が非常に注目されるところ。

 

  アニメMVの今後が皆さんの楽しみになればいいな。長い記事になりましたが、ほんとは山ほど動画貼ってどこまでALISのサーバが耐えるか試してみたかっ(略

 以上、アニメーションMVお勧め三選でした!

 

トップ画像は【IA OFFICIAL】日本橋高架下R計画 | じん (MUSIC VIDEO)より

 界隈では有名なFLASH職人だった細金卓也さんが若手のアニメーターを集めてディレクションした作品です。音楽は『メカクシデイズ』などで知られるじんさん。ボーカロイド(IA)MV。

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2019/08/04 32.52 ALIS 116.37 ALIS
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漂流するオタク。物書きです。
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