先週末に、政府は韓国のホワイト国除外に関して政令改正の閣議決定を実施し8月末から韓国向け輸出手続が厳格化することになります。
本件の概要/影響にいてまとめてみました。
各企業の輸出手続きが円滑になるまでは調達困難に起因するサプライチェーンの混乱が想定されますが、各企業とも見越した対応(在庫積み増し/調整など)を取っているとのことです。
韓国企業もSamsungやLGなどは韓国国外での製造がメインとなっており、本件の影響は巷間で囁かれるよりも限定的となる可能性もあります。
<本件サマリ>
・8/2に日本政府は安全保障上の懸念がないことを前提とする輸出手続き簡略化対象国(ホワイト国)から韓国の除外を決定
・7/4からのリスト規制(半導体材料3品目の手続厳格化)に次ぐ第2弾措置、8/7の政令改正と準備期間を経て8/28からは韓国向け輸出にはほぼすべての品目でMETIが個別審査可能。
└METIが軍事転用の懸念があるなどと判断した場合
・本件は「輸出手続きに関する優遇措置撤回」であり、ASEANや中台同様の扱いにするもの
・韓国政府も「優遇対象国から日本を外して輸出管理を強化」すると表明。
└戦略物資の管理体系に新分類を新設、日本への輸出管理手続を厳格化(8/5週に詳細公表予定)
<背景>
・韓国の輸出管理体制に不十分な点があるという認識(迂回輸出/目的外転用)が背景。
・個別交渉/国際枠組みの参加による輸出管理手続き担保がなされない限りは、METIによる個別審査がデフォルトに。
<本件規制の概要>
・日本政府は、安全保障上の信頼関係がある国を輸出管理で優遇する「ホワイト国」と指定。国際協定で定める「リスト規制品目」以外は許可を不要としている。
・韓国は04年からホワイト国だったが、本件により8/28に優遇対象国から外れる。METIは除外理由を「政府間対話の一定期間不在」「(韓国の)輸出管理体制が脆弱とみられる点」を掲げる
・ちなみにMETIは8/2から輸出規制カテゴリを「グループA~D」に細分化、特徴は下記
-Group-A;優遇対象国/リスト規制のみ審査対象/26か国
-Group-B;国際枠組参加などを条件に包括許可/キャッチオール規制適用/10-20か国(韓国も)
-Group-C;一般輸出手続国(大半で個別許可)/キャッチオール規制規制適用/大半の国(中台はここ)
-Group-D;懸念国/基本的に輸出NG/北朝鮮やイランなど10か国程度
<影響>
・短期的に手続煩雑化による混乱が発生して韓国の電機/半導体産業へのダメージは大きいと想定される一方で、貿易手続きが円滑に流れるようになれば徐々に混乱は収束するとみられる。
・中長期的には韓国メーカーが対日取引リスクを認識した場合に、「自国生産」「代替調達」新具置く可能性も否定できないところ、日本企業の手足が縛られる可能性も否定できない
(Macro)
・日韓間の貿易状態は下記の通りで、日本政府は影響ないとするも一定の影響は避けられない状況。
└日本から韓国への輸出額;546億USD
└上位10品目のうち5品目(約109億USD)は半導体関連
→輸入額トップの半導体装置=工程に応じて複数あり、各工程で専門性の高いメーカーが存在
・韓国政府も「韓国も優遇対象国から日本を外し、輸出管理を強化する」と。
-戦略物資の2つの管理体系に新しい分類を新設し、日本への輸出管理手続を入れる(8/5週に詳細公表)
-韓国政府は、本件による影響は159品目に上る見込みで、影響を受ける企業に最大6兆KRWの資金支援を行う方針
(Micro)
・日本政府は「手続/輸出管理をしっかりやれば輸出可能」として「グローバルサプライチェーンへの影響は全く考えられない」するが不確実性の負荷は増大。
└厳格な貿易管理制度が整った輸出企業は個別許可を免れる優遇措置を使えるが、本件に不慣れな専門商社などは当面、貿易手続きが煩雑になる見込み。