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【第二回目投稿】価値共創論を用いた飲食店の差別化戦略の評価システム提案 後編

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  • Taishi ONE
  • 2020/03/07 11:39
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前回の記事から約一ヶ月空いての投稿となりましたが、価値共創論を用いた飲食店の差別化戦略の評価システム提案の続きを書いていきたいと思います!

 

前回の記事は此方です!

【第一回目投稿】価値共創論を用いた飲食店の差別化戦略の評価システム提案① | ALIS https://alis.to/taiok/articles/3Vj9GYQDjAlz

 

前回の記事では、私が働いていた企業においては価値共創(交流)により引き起こされる価値(文脈価値)を求めて来店する客が、他店に比べて多いと結論付けました。

それに加えて、以下二点のことを感じ、今回はこれらについて考察・検証していきたいと思います!

①     顧客が感じた文脈価値の大きさと再来店回数や平均支払額には関係があるのか

②     価値共創戦略の効果は目に見えないもので、評価しづらく、飲食店にとって戦略を採用しづらい、PDCAを回しづらいのではないか

 

まず一点目の「顧客が感じた文脈価値の大きさと再来店回数や平均支払額の関係性」について検証するため、独自アンケート調査を基に重回帰分析を行います。

 

重回帰分析の説明はこちらです。

「重回帰分析」とは、統計学上のデータ解析手法のひとつです。統計用語で「重」は「複数」、「回帰」は「因果関係」を意味します。つまり重回帰分析とは、ある結果(目的変数)を説明する際に、関連する複数の要因(説明変数)のうち、どの変数がどの程度、結果を左右しているのかを関数の形で数値化し両者の関係を表し、それを元にして将来の予測を行う統計手法のことです。

 

たとえば小売業で、10店舗ある既存店の売場面積、従業員数、販売商品数、駐車場の収容台数、駅からの距離など複数の要因が、売上高という結果をどの程度決定づけているのか分析し、出店予定の新店舗の各変数から、将来の売上高を予測するといった場合に利用されます。

https://www.intage.co.jp/glossary/402/

 

そして、交換価値及び文脈価値を顧客ごとに点数化し、それらの点数が「平均来店日数」、「平均支払額」にどれほどの影響を与えているかを分析していきます。

 

※文脈価値点数:前回記事で取り上げた独自アンケートより、一顧客が文脈価値に該当する価値を選択した個数

例:料理がおいしい、従業員との交流が楽しい、常連扱いされる→交換価値点数1点、文脈価値点数2点

まず、平均来店日数と文脈価値点数の関係について重回帰分析を行うに当たり、

「目的変数=平均来店日数」

「説明変数=交換価値点数、文脈価値点数」と設定しました。

そして、平均支払額と文脈価値点数の関係については

「目的変数=平均支払額」

「説明変数:交換価値点数、文脈価値点数」と設定しました。

 

以下、結果となります。

SPSSや統計結果に馴染みがない方は以下のクロス集計をご覧ください!

 

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結果

文脈価値点数が高い来店客ほど、「再来店回数」は増加するが「平均支払額」との関係は統計的に証明し得る結果が得られなかった。

 

しかし、交流を通して価値共創が起こり、より大きな文脈価値を享受した顧客ほどリピーターになることがわかりました。

具体的には、顧客が感じた文脈価値点数が一点増加するほど、週に来店する回数が1.723回増加することがわかります。

 

このように、一点目の疑問である「顧客が感じた文脈価値の大きさと再来店回数や平均支払額には関係があるのか」についての結論は、再来店回数にのみ統計的な観点から正の影響がある、となりました!

 

次に、二点目の疑問である「価値共創戦略の効果は目に見えないもので、評価しづらく、飲食店にとって戦略を採用しづらい、PDCAを回しづらいのではないか」についてですが、これに関しては、全二回の調査・分析結果を基に、私なりに考察してみたいと思います。

 

まず、上記結果から、価値共創戦略を企業が採用することにより、顧客に文脈価値提供の機会を創出し、その場・機会で顧客それぞれが享受した価値により、再来店動機を引き起こすことに成功しています。

 

そして、言うまでもなく再来店回数が多ければ多いほど、企業が一人の顧客から受け取る金額が増加しますよね。要するに、企業は「再来店回数×平均支払額」を「交換価値」として、価値共創戦略の恩恵を受け取っていることになると考えます。(=顧客ごとのデータを追うことで可視化できる→PDCAに繋がる)

 

このようなシステムを、今後価値共創戦略を採用する企業が評価方法として採用していくことにより、戦略の成否が確認でき、新たな業務改善のヒントとなるのではないかと考えました!

 

そして、価値共創戦略を採用する企業が増加することにより、価値共創論及びサービス・ドミナント・ロジックの進展に繋がるだけでなく、今後のマーケティングで重要となる「経験価値」の提供に向けた戦略の発展に繋がり、人々が飲食を通して得られる価値が大きくなるといいなと思います!

 

実際に、今回の調査・分析結果をある企業に提出させていただいたところ、社長の手元まで渡ったらしく、提案させていただいたシステムが採用される可能性があるそうです!

 

飲食店でアルバイトをしていると、同僚の中には、正直お客様を楽しませるコミュニケーションを取ることを苦手とする人や、必要性を感じない人、継続することが困難だと感じる人が一定数存在したと感じています。

その理由を聞いてみると、やはり従業員側には「目に見えた変化・メリットがないこと」が原因となり、単に仕事をこなしているそうです。

そこで、USJのように、お客様を楽しませるコミュニケーションを奨励する文化や評価制度、研修制度を導入していくことが、「コト消費」、「トキ消費」の時代において、飲食店が差別化していくためには重要なのではないでしょうか。

 

実際に、トライしている企業はあると思いますが、継続する為の仕組みで困っている方々もいらっしゃると思います。その悩みを解決に導くヒントとして、今回の調査が役に立てれば幸いです!

 

拙すぎる文章で本当に申し訳ありませんが、ここまで読んでいただきありがとうございました!!

何かあれば、是非コメントいただければと思います!

 

 

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20卒/経営学部/コンサルティングファーム内定/ソーシャルビジネス/大阪出身/ブロックチェーンゲーム

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