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文章のインスピレーションを得る方法

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  • タカハシシンサク
  • 2020/02/12 06:38
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文章が苦手という人の中には、原稿用紙を前にインスピレーションが湧いてくるのをただひたすら待つだけという人も多いようです。

そのうち素晴らしい天啓が降りてきて、憑かれたように書きはじめ、気がつけば文豪をもうなせる名文がいつまにか完成していたーー。そんな奇跡的などんでん返しを期待しているのかもしれません。

しかしながら漫然と待っていてもそのような天啓が降りてくるとはかぎりません。場合によっては何日も、あるいは何ヶ月待ってもそうならないことだってありえます。締め切りがない人であれば、もちろんそれで構わないでしょう。しかし、そうでない人はこれでは困ります。

では、どうしたらよいのでしょうか? 天啓を人為的に降ろすより他にないでしょう。

ーー天啓を人為的に降ろす? でもどうやって..?

じつは天啓なるものの正体はといえば、「問い」なのです。「なぜ?」「どうして?」というあの問いです。

人の頭脳が働き始めるのは、何かに疑問を持った時です。「なぜ?」「どうして?」という疑問が生じた時、思考のエンジンがかかるのです。じつのところ天啓が降りたと感じるのは、思考のエンジンがか かり始めたことを感知した時に生じる脳内の感覚でもあるのです。

人間の頭脳というのは、目の前になんらかの疑問があるとそれに答えを出さないと落ち着かないようにできています。疑問というのは理解不能な状況です。それはもしかしたら生存を脅かす重大な危機かもしれません。そのため、人間の頭脳というのは目の前に問いを与えられると、自然な生体反応としてそれに対する答えを出すようプログラミングされているのです。そればかりでなく、その答えを出さな いうちは機能を停止しないようにつくられているのです。

..ということは。

そうです。

意識的に問いを立てることによって、天啓を降ろすことができるということです。

すなわち天啓とかインスピレーションとか呼ばれるものは、きちんとした問いを立てることによって人 為的に呼び込むことができるのです。

ただし問いの立て方にもコツがあります。

たとえば、今現在、与えられたテーマでのレポートの課題を前に、何をどう書こうかアイディアが浮か ばなくて行き詰まっている、という人も多いでしょう。

テーマ(問い)を与えられているのになぜアイディアが浮かばないのでしょうか?

それはそのテーマを自分自身の問いとして正面から受け止めていないからです。どこか他人事の問題と して距離をおいてみているからです。

自分自身に関連する切羽詰まった問題でなければ、当然ながら危険を回避する最適解を探し出すという脳の生体反応は生じません。(いうまでもありませんが、課題を提出しないと落第するしないといった意味ではありません。あくまで課題であるテーマ(問い)に対して自分なりにそれをどう受け止めるかという意味です)。

たとえば極端な例ですが、なんらかの濡れ衣を着せられ、警察に取り調べを受けていると想像してみてください。

もちろんあなたは非難されるようなことは一切していません。 そんな時、あなたはどうしますか?

おそらく普段いかに無口な人であろうと「自分はそんなことしていない。無実だ!」と言葉を尽くして、 訴えるはずです。場合によっては、普段の姿からは想像もつかないようなマシンガントークでもって何 時間も語り続けるのではないでしょうか。

ここから分かるように問いを立てるコツも、そういう自分に関わる切羽詰まった状態に自らを追い込 むことにあります。

つまり、「自分ごと」の状態になるよう問いを自分の方に引き寄せ、その視点から新たに問いを再定 義するということです。

そうすれば、インスピレーションというのはいやがおうにも必ず湧いてきます。

今現在、どうもいいアイディアが浮かばない、という人は、まず問いを明確にしてみてください。そして「自分ごと」として受け止められるよう、その視点をずらしたり、部分拡大したりしてそれを再定義 してみてください。

その再定義した問いが自分ごととしてかっちりはまれば、その瞬間、脳内のスイッチが入ります。そう なればあとはもう時間の問題です。早い遅いはあれどやがて天啓が降りてくることでしょう。そしてそうなればあなたはそれを文章化するなり、何らかの形で表現せずにはいられなくなることでしょう。 それが書く気のスイッチが入るということです。

このように問いを明確にすることは、文章の組み立てをしっかりさせるために不可欠であるばかりで なく、何をどう書くべきかというインスピレーションを得たり、また書く気のスイッチを入れたりする 上でも重要です。すなわち、文章を作る上で最も重要なポイントは何か、といえば、それは問いを明確 にすること、なのです。

 

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