ベーシックインカムについて解説した動画がありましたので、コメントとともに翻訳してご紹介いたします。
ソース:https://youtu.be/kl39KHS07Xc
(以下、動画の大意)
もし生活費を国が支給してくれたならあなたはどうする?
これは、ユニバーサルベーシックインカム(UBI)という考え方だ。
UBIとはいったい何か? またそれに対する賛成派と反対派の意見はそれぞれどんなものなのか?
ここでは貧困ラインを少し上回る程度のミニマムベーシックインカムを想定する。
アメリカでいえば月々1000ドル、年間1万2000ドルの支給額だ。
しかしお金をただで配ったりしたら多くの人はそれを酒などに費やし、働かなくなってしまうのでは?
そんなことはない。
ある研究はそれを明確に否定している。貧困者が怠け者で酒浸りというのは固定観念にすぎない。
1970年代にカナダでUBIの実験が行われたことがある。
それによると受給者の1%が仕事を辞めた。多くは子供の世話をするためだった。
仕事を辞めなかった人は10%労働時間を減らした。あまった時間は学校で学び直すなどよりよい仕事を見つけるために使った。
福祉プログラムには多くの縛りがある。
こうした縛りは多くの場合、時間の無駄でしかない。その時間があればよりよい仕事を探したり、勉強したり、また自分で起業したりすることができるのに、そうした縛りがそれを阻む結果になってしまっている。
また生活保護は働く気を削ぐ仕組みになっている。
もし1ドル分でも働けばあなたは1000ドルの生活保護を打ち切られてしまう。
もし月1200ドルの仕事を得ると、あなたは生活保護を打ち切られるばかりか、税金や通勤費用などで1000ドル以下の収入しか得られなくなる。
つまり、あなたが状況を改善しようといくら努力しても収入は増えないし、場合によっては減ってしまうのだ。
このように福祉制度は人を無気力という牢獄に閉じ込めてしまう。
UBIは違う。働いたとしても支給は打ち切られない。働けば働いた分だけ収入が増える。
しかしUBIは財政的に実現可能なのか? インフレは起こらないのか?
UBIのために新たにお金が刷られるわけではない。それは別のところから持ってくるだけだ。
したがってインフレは起こりえない。
財源はどこから持ってくるのか?
税金を上げるか、軍事予算を削減するか等、様々な方法があるが、これは国によって、その事情によって異なるだろう。
どうやって実現するか?
一番簡単なのは福祉をやめ、代わりに福祉のための基金を作ることだ。
これは担当部署を削減するだけでなく、役所特有の非効率性を排除することにもつながるだろう。
もちろん福祉を削減されたことで困窮する人が出てくるかもしれない。その場合、ケースバイケースで従来の福祉政策を維持する必要があるだろう。
二番目に簡単なのは富裕者に課税することだ。
課税対象としては、金融取引、資本、土地、二酸化炭素、さらにロボットなどが考えられる。
3K労働についてはどうだろう?
もしそうしなくても生活できるのなら、きつい、汚い重労働をする人はいなくなるのではないか?
UBIは3K労働の報酬を上げ、労働環境を改善させるだろう。
そこには相変わらず大金持ちと貧しい人がいるだろう。
しかし少なくとも飢え死にする人はいなくなるはずだ。
ある調査によると2016年には労働者のうち33%がまじめに仕事をし、16%がだらだら仕事をし、残りの51%がただ肉体的にそこにいるだけという結果だった。
まじめに仕事をしない残りの67%の人は UBIが支給されれば仕事を辞めてしまうのだろうか?
仕事をつまらない雑事とみなすのは公平ではない。
それは我々をよりよい生活へと動機付け、社会との関わりを深くさせてくれる。仕事を通して多くの友人や人生の伴侶を見つけることもできる。仕事は我々に生きる意味を与えてくれる。
一方、UBIには別の面もある。
福祉政策がUBIに一本化されることはそれにすべてを依存せざるをえない国民に対する政府の支配権力を強めることになる。
あるいはポピュリストの政治家が現れてUBIの支給額を破滅的なまでに引き上げてしまうおそれもある。
またUBIは貧富の格差を解消するわけではない。場合によっては貧富の格差が今よりさらに開く可能性もある。
UBIはよいアイディアなのか? 正直、我々にはわからない。
もっと調査が必要だし、もっと議論が必要だ。
しかし可能性は大きい。これは我々の社会から貧困を一掃する最終的な解決策となるかもしれない。
それは世界に希望を与え、さらに多くの人々をストレスから解放してくれるかもしれない。
(以下、コメント)
●仕事を辞める人はほとんどいないだろう。想像してみろよ。生活にギリギリのお金しかなく、しかも時間はたっぷりあるとしたら‥。そんな生活は退屈きわまりないはずだよ。
↑
俺なら株に投資するな。そして自由な時間は技術を磨いたり、新しいことを勉強したりするんだ。40歳になってギターを習おうと思った時、いったい誰が9時から5時まできちんと働こうと思うんだ?
↑
福祉に頼ったまま怠惰に生きるのに満足する人がいる一方、生活を改善しようと努力する人もいる。それは個人の価値観や国の文化によって様々だ。
UBIの議論は結局のところ、人間性というものに対してどれだけ信頼するかというところに収斂する。反対論者は最初に挙げたような人たちを想定しているんだよ。
私自身は賛成論者だ。この世界はいい意味での「虚栄心」に満ちているからね。君の言う通り、人は「価値」を求めて働き続けると思うよ。
↑
最低限の生活に満足する人たちが半分以上を占める社会では、会社を経営するのは難しいと思う。自分だったら生活を切り詰め、UBIだけで生活を楽しむよう工夫するだろうな。
↑
人は仕事を求める代わりにレジャーや趣味を求めるだろう。要するにそれは国民全員に仕事からリタイヤする資金を与えるだけの結果になるだろう。
↑
私はコンピュータサイエンスを専攻する学生だが、AIやロボットが人の仕事を奪う時代はすぐそこまで来ている。あなたたちはAIロボットと競争して勝てると思うか? また資本主義は競争があってこそうまく機能する。しかし競争がなくなってしまったら資本主義は資本主義でなくなってしまうのでは?
AI社会が果たしてうまく機能するかどうかはわからない。しかしそれによって仕事を失う人が大勢出てくることは間違いない。失業者が大勢出るということは消費市場が縮小するということだ。消費市場が縮小するということは生産も減少するということだ。これは悪性のスパイラルとなり、やがて資本主義を停止させてしまうだろう。消費市場を維持するためにもUBIは不可欠になるはずだ。
↑
UBIは機能しないよ。ハイパーインフレが起こって支給されたお金が無価値になってしまうだけだ。
↑
(上のコメントに)
君はビデオをちゃんと観たのか?
●UBIには賛成できないな。なぜならイノベーションを阻害してしまうからだ。そうしてやがて経済自体が崩壊してしまうだろう。そうなればUBIのためのお金もなくなってしまう。すでに失敗した前例があるだろ? 共産主義ってやつがな。
↑
イノベーションはむしろUBIがある社会でこそ活発になるだろう。なぜなら労働者は創意工夫を阻むブラック労働から解放されるだろうし、貧困家庭の子供たちにも教育があまねく行き渡るだろうからだ。UBIは史上かつてないようなイノベーションの開花をもたらすだろう。
●もしUBIが導入されたなら、最初の2ヶ月間は休暇旅行にでも行って、どんな仕事が自分に合うのかじっくり考えてみたいね。
↑
飢え死にすることを心配しなくてもよいのなら、また真冬に路上で眠らなくてもよいのなら、誰もが社会に貢献しようと考えはじめるだろうね。
↑
そうして君がお金をたくさん儲けたとしよう。君はみんなを食わせるためとんでもない高率の税金を払わされるんだぞ。
↑
UBIがもたらす可能性のひとつは教育にある。それは多くの人に教育の機会をもたらすだろう。これは洗濯機の発明が社会に与えた影響の大きさを考えてみればわかるはずだ。もうひとつは起業リスクの低減だ。将来我々は大勢の起業家と芸術家の活躍を目にするだろう。
↑
(上の人へ)
君をはじめ、ここでコメントしている多くの人は「いい人」だ。そして君たちは他の人もみな君たちのようにいい人だと考えている。だが、実際のところそうではない。またこの世界にはどうやったら人を支配できるかを真剣に考えている人たちもいる。UBIの導入に関しては、そのメリット、デメリットをきちんと調べるべきだ。そのための十分な準備期間を持つべきだ。1917年のロシア革命のようなことにならないためにもね。
↑
君の言う通りだ。そこには調査すべき多くのことがある。しかし難しいのは市場がUBIに対してどう反応するかだ。それと今や多くの仕事がロボットに奪われはじめている。働けば誰もが生活できるというこれまでの常識が通用しなくなりつつあるんだよ。このまま行けば民主主義が終焉し、新たな寡頭政へと行き着いてしまうだろう。
↑
(スレ主へ)
そう、誰もが君のようにやるのさ。そうやって誰もが仕事に戻らず、最終的にはシステム全体が機能しなくなってしまうんだよ。
↑
(上の人へ)
君はどんな根拠をもとにそうなると推測しているんだ?
↑
人一倍働いて金持ちになった人は怠け者に金を分配すべきだっていうのかい? そんなことをしたら怠け者がますます怠け者になってしまうだけだよ。
↑
小人閑居して不善をなす、だよ。もっと現実を見ろ。生活費を与えられた怠け者は日がな一日テレビを観たり、ゲームで遊ぶだけだよ。
↑
「人一倍働いて金持ちになった人」というが、実際には金持ちのほとんどが遺産相続によって金持ちになっただけだぞ。
↑
一般的にいって、金持ちになるためにはハードワークと幸運の両方が必要だ。しかし近年の経済的停滞は必然的にハードワークの役割を減少させている。
余暇時間が増えると、社会全体の教育レベルは向上する。もちろん一部の人は怠け者のままだろう。しかしその他の人はそうでない。両者の割合はおそらくその属する文化によって異なるだろうけど、それぞれ一定の数値に収斂するだろう。
それが具体的にどのくらいの割合なのか、我々は社会学的調査を行わなければならない。個人的な感覚やたんなる印象からモノを言うべきではない。調査もせず、知っているふりをするのは愚かだ。
テクノロジーが仕事を奪うスピードはますます加速している。我々は現実を見なければならない。もはや誰もが仕事を得られる時代ではない。問題は失業者をどうするかだ。
もし君の答えが「もっと働け」だとしたら、それはまったく答えになっていない。それはたんに別の人を失業に追いやるだけなのだから。
↑
(スレ主へ)
休暇から戻ったところで仕事なんぞないぞ。仕事はみなロボットによって自動化されてしまうんだからな。君はただ家にこもって麻薬と暴力に溺れる日々を過ごすことになるんだよ。