こんにちは。
最近、消費税のことよく書いてますが、
今回は、【医療費と消費税の関係】について書きたいと思います。
医療費には、消費税がかかるものとかからないものがあります。
・・・公的医療保険(以下:保険)が適用されないもの(自由診療)
・健康診断(人間ドッグなど)
・美容整形(シミ取り、二重手術など)
・予防接種(インフルエンザなど)
・医療相談
・インプラント
・先進医療(陽子線、重粒子線、遺伝子診断など)
これらは保険適応外なので、医療費は患者さんが全額(100%)負担します。
すべて消費税がかかります。
・・・保険が適応されるもの(保険診療)
保険が適用される医療費や薬代は、国が非課税取引としています。
したがって、患者さんが病院などの医療機関で保険を使って治療を受けた場合、医療費の1割~3割を負担しますが、そのお金に消費税は加算されていません。
医師の処方による薬(処方薬)も非課税です。医療機関は患者さんに消費税の支払いを求めません。
ここまでの話では「じゃあ、消費税が10%になっても医療費はかわらないんだ!」と思ってしまいますが、
なぜなら厚生労働省はこれまで、消費税の税率が上がるたびに、診療報酬を改定(値上げ)してきたからです。
そして税率を8%から10%に上げる2019年10月の消費増税でも、診療報酬を値上げすることはもう決まっています。
診療報酬は、全体で0.41%(医科0.48%、歯科0.57%、調剤0.12%)上昇する予定です。
薬価(薬の値段)については、診療報酬を改定すると同時に毎回見直され(基本値下げ)、今回は0.51%減少します。
消費税関係ないのに何故医療費は上がるのか?ずるくないか?と思ってしまいますが、これには理由があります。
【医療機関の控除対象外消費税】というものがあります。
一般的に、例えば小売店は顧客から消費税を受け取っています。
また、商品を仕入れるときに卸会社に消費税を支払っています。
したがって、小売店が税務署に納める消費税の額は、顧客から受け取った消費税の額から、小売店が卸会社に支払った消費税を差し引くことができます。
これを【消費税の仕入れ税額控除】といいます。
医療機関は、消費税を受け取っていないので、医療機関が医薬品や医療機器を仕入れるために卸会社に支払った消費税は控除できません。
控除できない分、税務署に多くの消費税を納める必要があります。
これを【控除対象外消費税】といいます。
消費税が増税されると控除対象外消費税の額も増えるので、医療機関の経済的負担はさらに増えます。
そこで厚生労働省が医療機関の経済的負担を減らすために、診療報酬を消費税の増税のタイミングで改定(値上げ)するのです。
決してズルしているわけではありませんので、許してください。
軽減税率制度に関しては、消費税をもらっていないので医療機関は適応外になります。
また、先日まとめたキャッシュレス決済ポイント還元制度ですが
こちらに関しても、日本医師会常任理事の長島公之氏が
「医療費の公定価格制を基礎とすると、キャッシュレス決済時のポイント還元と手数料負担は本来発生すべきではない」
と発言しているように、対象外のようです。
最近では、クレジットや電子マネーを使える医療機関も増えてきていて、各サービスのポイント還元に関してはグレーゾーンとうか黙認状態のようですが。。。
実際、医療費がいくらかかるかは患者本人が決めれるわけではなく、思わぬ検査や薬の追加があることも少なくないので、手持ちの現金が足りなくなることもあります。
「足りないからこれはいりません!」とスーパーで商品を減らすようなことができるわけでもないので、もっとキャッシュレス決済が普及しないといけない業界だと思いますけどね。