どうも、専門学校の介護教員です。
みなさんは、介護についてどのような印象を持っているでしょうか?
多くの方が「ポジティブ」<「ネガティブ」というイメージを持たれているのではないでしょうか?
現在、コロナウィルスによる新型肺炎が猛威を振るっております。ウィルスとは、人から人へ伝播し、拡大していくという特性があります。
「言葉」や「感情」もウィルスと同様に、「人から人へ伝播する」と言われています。
「介護」と聞いて、どこかネガティブなイメージが沸いてくる人は、過去に誰かからネガティブな情報を聞いた、もしくはメディアなどの情報によって影響を受けている可能性が高いと言えます。
しかし、そのネガティブなイメージはこの日本にとってボディーブローのようにダメージを与えているということをまずは知っておいていただきたいのです。
2025年問題をご存じでしょうか?
団塊の世代と呼ばれる人々が、後期高齢者となり、介護が必要な人が爆発的に増えることが予測されています。
介護の人材の不足は38万人にものぼり、保育士の約7万人不足という数字に対して5倍もの差を付けるほどに足りなくなるという現実が待っています。
その事実が意味することとは一体なんでしょうか?
介護の担い手が不足するということは、介護が必要な人が介護サービスをまともに受けられなくなると同じ意味でとらえることができます。
よって、2025年以降に「介護難民」が爆増します。
「介護難民」が爆増するとどうなるでしょうか?
介護サービスを受けられないお年寄りは、行き場を失い、結局のところ家族がその人の介護をすることになりますよね。
その結果、「介護離職」の問題がさらに浮彫りとなるでしょう。
1年間で約10万人もの人々が、親や祖父母の介護によって「介護離職」を余儀なくされています。
また、小学生や中学生など、まだ成人していない子供に祖父母の介護を担わせる「ヤングケアラー」という言葉まで生まれ、2020年現在においても介護の問題は非常に深刻であると言えます。
介護離職の問題は日本の経済を鈍化させます。
介護問題は日本人すべての人にとって、他人事では済まされないことはもうご理解いただけていると思います。
こんな話をすると、どんどん読んでいるみなさんが私の「言葉」によって、ネガティブになっていくのが手に取るようにわかりますが、日本に住んでいる以上、受け止めなければいけない事実なのでご容赦ください。
介護の受け皿、すなわち介護職の不足に歯止めをかけなければ、日本は確実に衰退へと進みます。
冒頭、日本人の介護の仕事に対するイメージがボディーブローのようにダメージを与えているというお話をしました。
以上がその理由というわけです。
介護業界は、若くて柔軟な思考をもって未来を切り開いていけるような人材を待っています。
しかし、介護の仕事に対するイメージが悪いがゆえに、高校生の進学先に「介護」という選択肢がそもそも「ない」というのが現実です。
全国的に「介護福祉士養成校」は定員割れしており、充足率は50%に満たないような現状です。
そして、その穴埋めのために「外国人留学生」をバンバン入学させているのです。
介護福祉士には、利用者の生活習慣やこだわりを理解し、「その人らしい人生」を最期を迎えるその日まで寄り添い、サポートするという大義があります。
日本語や日本の習慣・価値観を知らない外国人に本当の意味で務まるでしょうか?
もちろん、私自身、教育者のはしくれ。外国人留学生に対して、日本人と同様にかかわりますし、留学生個人個人に対する強い思い入れもあります。
しかし、日本人特有の自分自身をへりくだるような立ち振るまいに対して、「察したり」「空気を読む」ということがやはり難しい。コミュニケーションの部分で大きな障壁があるのは事実だと実感しています。
さて、「言葉のウィルス」によって、「介護」という言葉は、ネガティブなイメージとなってしまいました。
でも、このままでいいわけがないですよね・・・。
私は学生に「ゴリラの幸せ」と、「人間の幸せ」について語ります。
ゴリラの幸せとは、「バナナを食べられた」とか、「メスゴリラへのナンパに成功した」など、生理的欲求が満たされた瞬間に感じられる幸せと定義します。
では、人間にしか感じられない幸せとは何でしょうか?
それは、脳内の前頭前野眼窩部という理性をつかさどる場所で感じられる幸せです。
人間の幸せとは端的に言うと、「誰かに与えることによって得られる幸せ」です。
人は、「誰かの役に立つこと。」そして、「社会に貢献すること。」で、生理的欲求や、承認欲求を満たすことによって感じる幸せの何倍もの幸福感を得ることができるのです。
介護の仕事は、自分自身を幸せにする究極の職業であると、私は信じています。
もちろん、つらいこともありますけどね~。
動画【虹色侍】:全国の介護士の皆さんへ。