「◯◯さんから買うわ、値段はあなたを信じているから注文書持ってきて」
十数年間顧客と接する仕事をしてきて「これは間違いないな」と経験上確信を得た顧客満足度向上の方法をシェアしてみる。
前提として、新規顧客獲得をメインにしている営業マンにはあまり効かない。対象は一生あなたの会社の製品を買い続けてくれるお客様を作りたい営業マンだ。
もう一つ前提として、社会人の基本的な要素、身だしなみ、言葉遣い、礼儀、立ち振る舞いは備えていることとする。
さて、ここで一つシチュエーションを設定する。あなたは車の営業マンでお客様を100名抱えている。毎週イベントの告知やハガキを送ったり、たまに電話をかけたり、来てくれた時はコミュニケーションをとったり日々たくさんのお客様と接している。
あなたにとって日々接するお客様は「たくさんのお客様のひとり」にすぎない。
しかし、その時接したお客様にとってはあなたがその会社の「顔」であり唯一無二の存在。この営業マンとお客様の間にある感情のギャップにまず気づく必要がある。
これに気づいたらワンステップ階段を上がったことになる。あとは具体的にお客様の感情とあなたの感情を合わせて親身になって話をすればよい。ただし、ここまでは一般的手法であって重要なのはここから
お客様はたいてい自分のことや車の悩みなど話す。つまりいつも感じていることなので定着された記憶内容をあなたにアウトプットしていることが多い。よってお客様はだいたいあなたに「何を話したのか」を水面下で覚えている。
一方であなたはお客様からあびせられた会話の重要度判断はできない。例えばこんな会話だ
「子供が自転車に乗れたのよ!」
「近所から子犬をもらったの」
「あそこのケーキ屋さんすごく美味しいのよ」
など、一見どうでもよく、まったく車の話ではないので愛想よくニコニコ相づちを打って会話を終わらせてないだろうか?
実はここが営業マンとして見過ごしてはならない最高の美味しい場面である。このさりげない会話をお客様が帰ったあとメモしておき、いつでも検索できるようにすることが重要。そしてさらにもう一歩踏み込むのであればお客様が紹介してくれたコトやモノを体験しておくこと、感想を記録しておくことをお勧めする。
次のステップは2週間後くらいに電話でもメールでもいいので、
「◯◯美味しかったですよ!」
「◯◯に家族で行ってみました!紹介していただきありがとうございます!」
と一言だけ伝えてみるといい。必ずお客様はあなたのことを心深く記憶してくれるだろう。
実はもう一つとっておきの方法がある。
あなたは、そのお客様と会話した内容を半年後、1年後も覚えているだろうか?
お客様といってもタイヤ交換の時期、点検の時期など年に数回しか訪れないのが普通だ。そんなスパンを開けてランダムに来る100人分の記憶をこと細かく覚えておけない。
そこに最大のチャンスがある。だれもできないことだからあなたができるようになればいい
具体的には先ほど紹介したメモ手法をフル活用する。私はEvernoteというアプリやiPhoneデフォルトのメモアプリに書き込みいつでもお客様名で検索できるようにしている。
その情報をどう使うかは簡単。
お客様と会うときにメモを見返し、あの時話をした会話の続きをしてみる。
例えば「春には庭が花でいっぱいになるのよ」という会話を半年前にしていたのであれば、春の時期会ったときにこう言ってみよう。
「そういえばお庭は素敵な花でいっぱいですか?どんな花が咲いているのですか?」と、
するとお客様は驚いた顔をして
「え?あなたよく知ってるわね、私言ったかしら?」
「ええ、冬にタイヤ交換に来ていただいた時嬉しそうに教えていただきましたよ」
「そうなのね!それにしてもそんな前のこと覚えているなんて凄いわね!」
「いえいえ、◯◯さんとの会話がとても楽しくて忘れられなかったんです。よければまた色々教えてください。最近はどんなことに興味を持ってらっしゃるのですか?」
というように自然と会話が弾み、さらに情報を得ることができる。そうすることによりお客様の家庭環境、好きなこと、家族、友人など嬉しそうにとても多く語ってくれるようになる。
そしてそれをコツコツとメモをして、いつでも引き出せるようにしてどんな時でも会話の続きをできるような状態にしておくだけ。
手法として書くと、いかにも人たらし的な方法に見えてしまいますが、お客様も喜び私も楽しい。何度も同じ話をするより、より確実な情報を把握してその人のライフスタイルにマッチする車を提案するための必然の行動なのです。
何人、何十人、何百人担当してもお客様の些細な会話をメモしておく
それをスマホなどでいつでも引き出せるような状態にしておく
その情報をもとに自分で体験してみる
結果をお客様にこまめに報告する
久しぶりに会う時はメモを見直す
半年後会っても半年前の会話の続きができるようにする
情報を更新して再度メモをとる
蓄勢した情報を元にハガキやキャンペーンのお知らせを送る
このプロセスを身につければ、開口一番「最近どうですか?」というつまらない営業トークから脱却することができる。
モノやサービスを売ることに集中するのではなく、お客様を楽しませることに集中すれば結果が必ずついてきます。
半年後、1年後、お客様と過去の会話の続きができる未来を想像してみてください。
ワクワクしませんか?