何かの決まり事を作るときに、あえてMECEにしないことがあります。
「なんだよ、「あえて」って、そんなこと言うんならMECEにしてみろってんだ」
その意見もわかりますが、できる人は目的をもって、意図的に、あえて、MECEにしていないことがあります。
今回はそちらのお話です。
MECEとは何でしたでしょうか?
漏れなく、重複なく。ロジックツリーがすっきりと描ける状況に整理する事ですね。
ということは、MECEになっていない状態というのは漏れがあり重複が「ある」ということです。
なんだかとっても良くない気がしますね。
今回は全体をA・B、二要素で分けていくことを例にします。
厳密にMECEにすると、このような図になります。
お分かりの通り、全体集合UがAとBにきれいに分かれています。
AかつBの部分はありません。「AまたはB」「以外」の部分もありません。
MECEでない状況を図にするとこうなります。
いつものベン図です。
AかつBの部分も、「AまたはB」以外の部分も存在します。
ここで具体例を出します。
Uは「世の中で美徳とされる仕事のやり方」の集合だとします。
AやBは「ある会社で守るべき仕事の基準、ルール」だとします。
A;既存の仕事を疑いより良い方法はないかと探求する事
B;皆と協力し合い仕事をする事
こんな感じです。
ベン図と仕事のやり方を決める事、それをMECEにしない事の意味を説明します。
まず、「漏れを作る」事についてです。
これは、その会社において必要な要素を明確にし、それ以外は当該会社では重要でないことを明らかにすることです。
「ルールを作る役割そのもの」なのですね。
例えば全体集合Uには「既存の仕事を効率的に吸収する事」という仕事のやり方もあるでしょう。
それを良しとする価値観の会社もあって、当然良いのですね。
しかしこの会社ではルールAとして効率性よりも改善・改良する工夫を社員に求めルールBで協力することを社員に求めます。
効率性を否定とまではいかなくとも、改良と効率どちらを取るかというと、改良・工夫を取るという価値観を明確に定めています。これが「AまたはB」「以外」の部分を作るということで、ルール決定者の役割です。
次に、「重複を作る」事についてです。
これは、その会社において明確になった必要な要素のうち、誰を最も良しとするのかという評価基準になります。
今回の場合ですと、既存の仕事のやり方を改良することができ、尚且つ、他者と協力ができる社員となります。
「なんだ当然じゃないか」と思われるかもしれません。
しかし、文章がややこしくなると重複する人物像をイメージしずらくなりますので、ここで明示しておくことは重要です。ルールそれぞれにもいくつかの要素があり、重なる部分があると、その重なる要素を重要視しているというメッセージになります。
さらに、今回はAとBという二要素であるため話は簡単でした。Cを加えた三要素になると途端に話が難しくなります。AかつBかつCにポジショニングされる人が最上なのは言うまでもありません。しかし、AかつBとBかつCとCかつA、三つのうちではどの順番で良しとするのか、さらにはAだけBだけCだけも入れて順番を吟味する必要があります。
例えば「AかつBの人」が「Cのみを満たす人」より評価が低いことはあり得ます。
C;売上を上げる事
とでもしましょう。先述の例と合わせて、「工夫し改善し、かつ、他人と協業できる人」と「工夫してないし独りで仕事をしがちだが、とにかく売上を上げた人」で後者の方が評価を受ける場合がある、というと納得されるのではないでしょうか?
まとめます
「あえてMECEにしていない」という発言がハッタリでないのであれば
・大事な部分を明確にしている
・その中でも重複する部分を作ることにより、理想を具体的に伝えている
・各要素の重みづけが大事
ではでは
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