会計は、簿記という技術の根拠を成す概念だと私は認識しています。
会計という分野で、同じ処理に対しても「あぁも考えられるこうも考えられる」と。いろいろ理屈を考えて、一番時代に合って実務にも合ってそうな手続きが簿記の手続きとして採用されます。
この簿記は、手続きさえ覚えてしまえば、だれでも同じ結果が出るのが特徴です。だから、株式投資をするときの財務諸表は、客観性があります。(その客観性は財務諸表監査も下支えしています)
一方で、同じ「誰でも同じ結果が出ないと財務諸表に計上できない」から、人材の価値を財務諸表に乗せることはできません。
例えば
凄腕の技術者をヘッドハンティングした経営者からすると、この人材の価値は投資した費用を超える価値があると見積もりたいでしょう。
一方で、他の人からするともっと低い価値だと見積もるかもしれません。
そもそも見積もることが無理、という結果になるかもしれません。
簿記の世界ではそれはよろしくない。だから人材は財務諸表に載せないでおこうね、というのが現状です。
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会計は、大まかな世界の流れはありますが、商慣習の問題もあり一昔前までは国別のルールがあって当然でした。
一昔前までは?
そうなんです。今は違います。日本にいる我々が米国や中国、インドの企業に投資ができるように、会計によって企業の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を明らかにする需要は、国際的に広がっています。
世界で統一的な決まり事を作った方が投資をしやすいよね、というのでできたのがIFRSというものです。
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そのIFRSで面白いものがあります。
以下、他人様の資料の引用です
ざっくり行ってしまえば、有給休暇を財務諸表に乗せることにしましょう、と。
給料は払うけれど労務の提供がないのが有給休暇ですから、労働者にとっては得でも企業にとっては(そこだけを見ると)損になります。
人材の価値の算定は難しくとも、有給休暇による損失がこの位、というのは何とか頑張れば出せそうです。
IFRSだとPDFの資料より
有給休暇による損失=人件費日給×日数×有給取得率 だそうです。
米国会計基準ですと
有給休暇による損失=人件費日給×日数×過去の消化率 だそうです。
私がわかりやすいように書き直すと
有給休暇による損失=人件費日給×日数×今季期待される消化率 です。
PDFの資料では、「我が国の企業の年休取得率は概して低いことから、有給休暇引当金の金額が多額にのぼり」と書いてあります。
なんだか矛盾していませんかね?取得率が低いのであれば、上記の式でいうと損失は低くなるはずです。
ま、こちらを見ると「2018/06/07」時点では、初年度利益剰余金で処理。以降洗い替えで処理なので、別にいいでしょうか。インパクトが薄いので。
個人的には気になりますが。
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一方で
【平成31年4月から】有給休暇年5日取得が義務化!
こういう動きがあります。
(人事労務関連だとメルマガでこちらがおすすめです)
こうなると、「給料は払うけれど労務の提供がない」という点だけを見て、費用と捉えるのか。
それとも、「有休をとることでリフレッシュできる、様々な刺激を受けて真正に業務に打ち込めるのだ」と捉えるのかで、会計処理も変わってきそうです。
日本企業でもIFRSで財務諸表を作るところがあります。海外投資家が他国の企業と同じルールで比較できるように、です。
有休について、バカンスを取れる国と比べて、日本はかなり独自の文化を持っていると思います。
果たしてIFRSで一括するのが良いのかどうかは思案するところです。
個人的には
義務化しないと取得に躊躇するような雰囲気の労働環境では、義務で有休をとっても普段の疲れを癒すのに精いっぱいでリフレッシュ(0以上がよりプラスへ)というよりも回復(マイナスが0に近い状態へ)が精いっぱいなんじゃないかなぁ?と思います。
ではでは
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