以下では暗号資産やNFTなどのブロックチェーンが、
パブリッシャーのビジネス戦略の新たな発展にどう役立つのか。
いくつかのユースケースを例に上げることで理解につなげていく。
タイム(Time)は先駆けてスポンサーがビットコインで
支払いを行うことを認めたメディア企業の一つである。
同社のキース・グロスマン氏によると、
ビットコインは変動の余地がある通貨ではなく
金のような価値の貯蔵手段とみなしていると述べている。
ビットコインは市場で最も高価な暗号通貨であり、
2022の1月時点で
1BTC(ビットコイン)=6万2000ドル(約700万円)を超えている。
暗号通貨を支払いとして活用すると、
理論上は嵌合通貨の価値の上下につれて
ブランドとの契約や広告キャンペーンで得られる売上も変動する仕組みだ。
またタイム社は、読者にも30種類以上の暗号通貨で
購読料を支払うオプションを提供している。
これも同様に、コインの価値が上がれば
サブスク事業の価値も増大するという発送のようだ。
ブロックチェーンを試験的に導入したパブリッシャーの大半が、
NFTをコレクターズアイテムや限定コンテンツとして販売している。
わかりやすいのがアートの売買だろうか。
小学生が夏休みの宿題で描いたドット絵という部分に
コレクション価値が生まれ、
取引総額111ETH(4500万円)といったニュースは記憶に新しい。
「Zombie Zoo Cats」シリーズ
またUSAトゥデイは、自社の歴史的瞬間を利用してNFTの世界に足を踏み入れ
バイヤー界隈を湧かせた。
同社は「月に届けられた最初の新聞」と題して、
過去50年の紙面からよりすぐった宇宙関連の
写真、イラスト、一面記事を300点組み合わせたNFTを制作した。
これらを合成しまくって、
1971年にアポロ14号で月に届けられた最初の新聞の一面写真を再現したのだ。
これが8165ドル(約93万円)で取引された。
このような、価値がつくはずがないと思い込んでいたようなものに
価値を与えられるのがNFTのアート・コレクションとしての
大きな可能性ではないだろうか?
上記のコレクション利用がNFTの主要な活用方法と思われがちだが
まったくもってそうではない。
NFTの販売取引はなにも一回きりとは限らない。
作者がAさんにNFT作品を売ったとする。
その後AさんがBくんにその作品を転売するとしよう。
そうなった場合、たとえ作者がもらった金額以上の値がついても
作者に還元されることはないのだ。
得するのはAさんただ一人。
それを防ぎ、作者にも利益を還元できるのがNFTなのだ。
A➡Bの取引が成立したら、
作品の主であった作者にも手数料(ロイヤリティという)が発生するのである。
転売による利益の独占を防ぎ、創作者を守る働きをしてくれるのだ。
しかし、課題もまだまだあるようだ。
下記のような、NFTの販売所で取引した物を
個人間でやり取りして手数料を発生させない裏道もあるらしい。
他にもコミュニティへの活用やメディアコンテンツの有料化、
デジタル広告の変化など今のビジネスモデルを大きく変える可能性は秘めている。
実現できたらめちゃくちゃ面白いが、
それ相応に難易度も高い。(日本の税制もぜんぜん整備されていない)
だが、市場価値は高そうなので私はこのチャンスを逃さず
起業を進めていきたい。