Вихренという山の麓あたりをハイキングするつもりで思って出かけたら、完全に雪山だった。
目指すはYavorov Hut とかいうところ。。
赤が車・自転車・馬車などでも登れるルート、緑は歩きのみで登れるルートだった。
迷わず緑のルートを選択したが、後にこの選択を少しばかり後悔することになる。
舗装された道ではないが、先人が踏みしめた後を歩くことができる。
普通に草木が生い茂っているので頻繁に人の往来があるわけではなさそうだ。
「荒野」という感じだろうか。
特になにもない静かな空間が広がっている。
おっと、なんだか雪が積もっているなあ。
うまく雪をよけながら進んでいく。
がっつり雪道が現れた。
わたしが履いていたのは、遠足のしおりに書いてある動きやすい靴レベルの靴(こんなかんじの)だったので、引き返すべきか迷ったが、意を決して進むことにした。
なるべく靴が濡れないように工夫して歩いているつもりだったが、10分もすると靴も靴下もびちょびちょになった。
道しるべはこの黄色と白の三本線。
誰かが歩いた形跡もあるので安心だ。
先人はトレッキングシューズで登って行ったのだろうか。
ところどころ新雪で足跡が消えていたが順調に歩みを進めていく。
しばらくすると車道とクロスするラインに出た。
ルートの変更も考えたが、せっかくなので最後まで歩きルートで行くことにしよう。
傾斜がきついところが多くなってきたので、丈夫そうな枝を調達して杖がわりにして登っていく。
ハイキングってこういうもんだったかな。
途中、足場の安定しているところで横に目をやると木々の隙間から結構きれいな景色が見れた。
このあたりは時間がかかったのだが、写真を撮る余裕がほとんどなかった。
滑落しそうになったり、足跡や道しるべを見失って迷ったりしたが、とりあえず高い方に登っていけば着くだろうということで雪の塊だらけの斜面を登っていく。
偶然か必然か、足跡のある車道に出た。
最後まで歩き用の道で登りたかったが、遭難するよりはましなのでおとなしくこの道を登っていくことにした。
しばらく進むとなにかしらのサインが見えてきた。
ぼつぼつ目標地点っぽいので車道じゃない道に再び突入して登っていく。
というわけでへとへとになりながらゴールに決めていたYavorov Hutに到着した。
麓からは3~4時間くらいだったろうか。
とりあえず息切れが収まらない。
建物があったのでなんだろうと思っていると、ドアが開いておばちゃんが手招きしてきた。
よくわからなかったが、建物の中に入ってブルガリア語で書かれたよくわからない掲示物を眺めていた。
「寒いからすこし休んでいきなさい」的なノリで入れてくれたのだろうか。
しばらくするとそこは食事や宿泊ができる山小屋というものであることが次第にわかった。
意図せずして山小屋デビューを果たしていた。
客の一人もいない食堂に入ってパンとスープを注文する。
しばらくすると「できたぞ~」的ななにかを言われたので配膳口に取りに行く。
席についてスープを口に運ぶと体中にしみわたっていく感じがして一気に元気になった。
ひさびさに生きていることを実感した。
おそらくなんの変哲もないスープなのだが、空腹は最高のスパイスということだろう、ものすごく美味かった。
そういうわけでエネルギー補給を終えて山小屋を出た。
まだまだ登っていけるようだったが、時間の問題もあっておとなしく下山することにした。
車道の方で下山すると無茶苦茶楽だった。
なんの下調べもせず、装備も整えていない状態で雪山に挑むのは金輪際やめようと思ったという小学生の日記風思い出話。