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社畜人生小説2 第5章

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  • Hideaki imoto
  • 2018/11/11 07:56



前回のあらすじ


配属初日にまさかのモラハラを受け、戸惑うワイン氏

日高課長から土日に自宅へ来いと誘いを受ける。

どうなるワイン氏・・・




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MRという職種の一日はこうだ。
毎朝販売会社の医薬品の卸会社へ訪問し、自社の医薬品の売上状況や医療機関の動き、他社メーカーの情報など様々な擦り合わせを行う。そして自社医薬品を売ってもらう様に働きかける。

ざっくり言うと朝はこんな感じで過ごす人が大半だ。

販売会社の営業マンをMSと呼び、メーカー側をMRと呼ぶ。

MRによっては毎朝行く人も入れば週1回だけ行く様な人もいる。もちろんMS側もそれらを見ており、毎日来てくれるMRの医薬品を頑張って売ろうと考えてくれる人も多い。優秀なMSさんはMRから取り合いになるし、その逆も然りだ。

この様な朝の時間を終えると、そのまま卸さんの事務所をお借りして内勤をする人や地方MRは喫茶店などで内勤をする。都心MRは支店などへ戻り内勤をし始める。やる事は清算や資料作成、活動計画などになるだろうか。またその他数字やニュースなどを確認して11:00~13:00くらいに開業医や病院を2〜3軒程回る。

訪問時間や曜日など施設や医師によって決まり事やルールが存在するためこれらを把握する事はとても重要である。これらのルールを破ると最悪取引停止にされる事などもある。

お昼ご飯はいつも遅くなるのがこの仕事、早くても13時半頃、遅い日だと15時頃になる。

その後18時〜20時頃まで訪問を続けて家に帰る。

基本的に家から現場までの直行直帰のスタイルの会社が多い。

だからこそ、人に会わない日があったり、家でずっと内勤をしようと思えばできる勤務スタイルだ。実はMRの職種は鬱になる人も多い。常に一人になる時間が多く、孤独を感じたり、経費管理もしっかり自分でする必要がある為、セルフコントロールが出来ない人は向いていないと言える。

仕事の内容としては生命に間接的に関わる為、自分の担当している製品で患者の命が救われた話を医師から聞くとやってて良かったと思える。

これが当時のMRのざっくりとした1日だ。




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私は日高課長から猛烈な誘いを断る事が出来ず、次の土日にご自宅へ伺う事となった。家族も連れてこい。と言われたが流石に断った。

個人的には仲良くなってからならこの流れは自然なのだが、初対面でこれをされると流石に引いた。

数日後、日高課長の自宅へ伺った。

日高課長「ご苦労さん、すまんね休みの日に。」
ワイン「いえいえ、こちらこそお休みの日にお邪魔してすいません。」

テメェが嫌がる所を誘って来たんだろが!!という気持ちを抑えつつ玄関で靴を脱ぎリビングへ。

最近では珍しく古い長屋の一軒家を借りて住んでいる様で、家がとても古い。
しかし、どこか懐かしく新鮮な感じの家だった。

当時私は26歳。子供もまだ幼稚園に通っているので子供には慣れていた。

日高課長にも2人の女の子がおり、二人とも小学生で私の様な若い男性が来る事が珍しかった様でものすごい勢いで話しかけられた。

最初は日高課長や奥様が向こうへ行って来なさいと言ってくれていたが、すぐにその制止効果も無くなり、ガンガン質問攻めにされる。奥さんはどんな人?から始まり、どこから来たの?出身はどこ?子供は何歳?あなたは何歳?などなどもう止まらない。挙句に姉妹喧嘩をおっ始め、妹が姉を泣かす逆転現象に対して日高課長がお姉ちゃんに猛烈に泣かされてんじゃないぞと言わんばかりに激怒。

もう、ご飯どころでは無くなり、ずっと正座して兄弟が説教を食らっているのをひたすら見せられるショーとなった。

しっかりとご飯が冷えた所でようやくビールで乾杯。

最高の夜だった記憶がある・・・( ̄▽ ̄;)


そんな全く空気を読めない日高課長だが、面倒見がよく、私が外部から来た事で社内に早く溶け込める様に気を使ってくれていた。またいつも大きな視点で物事を考えろと教えてくれたのも日高課長だ。

ミクロでは問題になっている事もマクロで考えると大きな問題ではない事が多い。MRも地域や都道府県など大きな視点で戦略を考える必要がある為、1施設の問題が全体の問題の様に捉えることはナンセンスであり、半径1メートルの思考で全体を見てはいけない事を常に考える様になった。

これは日高課長のおかげだと今でも思っている。本当に感謝しています。


話は代わり、それから数日後香川県のチームメンバーと顔合わせをする時が来た。

チームリーダーが浜田リーダーで主任クラスの役職だ。

チームメンバーに浜田リーダーの同期で男性の間宮さんともう一人は2年目女性の長嶺さん

以上のメンバーで香川県は担当している。更に日高課長は徳島にもチームを担当しており、香川チーム・徳島チームで1つのチームになる。

浜田リーダー「ワイン。宜しくな。こっちは間宮と長嶺。そして私が浜田。」
ワイン「宜しくお願いします。」


まずは自己紹介を軽く済ますと、早速、各担当地区の戦略や数字の話になった。

日高課長がいない中チーム会議は進んでいく。

チーム会議がそこそこ進んで、話題は最近の日高課長への愚痴へ切り替わった。

長嶺さん「最近、日高課長の同行要請が多いんですけど、皆さんどうですか?」
間宮さん「多いね。同行するメリットがあるならするけど、現状ね・・」
浜田リーダー「ワイン。ここだけの話。日高課長に関する注意点だけ言っとくよ。」
ワイン「あ、はい。なんなんでしょうか?」
浜田リーダー「彼と同行訪問すると顧客を怒らせる事が多いから気をつける様に。それで何施設か出入り禁止になってる施設もあるので。」
ワイン「え?出入り禁止??なぜです?」
浜田リーダー「同行すればすぐわかるよ。」


出入り禁止!いわゆる出禁というヤツだ。

出禁になる事は今思えば珍しくない。医師のわがままを聞けない場合や無理難題を断ったぐらいでなる事はたまにあるものだが、当時は出禁になる事がとても恐ろしく、日高課長がとんでもない非常識な課長なのではと思っていた。




次回予告


日高課長の夕食会を乗り切ったワイン氏
しかしチーム会議で日高課長の悪い噂を聞く。

日高課長は一体何者なのか・・

次回:日高課長の真実





作者

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夕食会行くヤツ









公開日:2018/11/11
獲得ALIS:33.67
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  • @wine
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