NFTがもらえるということで久しぶりにALISを書いてみようか。そんなことを思っていたらウクライナで戦争が始まってしまいました。国連安保理の常任理事国であるロシアによる全面的な侵攻です。
国際連合安全保障理事会は、国際連合の主要機関の1つ。世界の平和と安全の維持に主要な責任を負っており、国際連合の6つの主要機関の中で最も大きな権限を持ち、法的に国際連合加盟国に拘束力を持つ決議を行うことができる、事実上の最高意思決定機関である
さらに、同じく安保理の常任理事国である中国はロシアの行動を「侵攻では無い」と表明している模様です。もうめちゃくちゃですよ。
めまぐるしく更新される情報を摂取しているだけだと鬱々としてくるので発散のためにも雑文を書き殴ってみます。たまには真面目な記事でも。専門家でもなんでもありませんのであしからず。
難しい状況ですね。アメリカもNATOもウクライナを直接的に助けると、核兵器保有国同士の全面戦争となり人類の歴史が終わってしまうかもしれないからです。
ロシアという猛獣を制止できるパワーのある勢力はアメリカ、EU、中国くらいでしょうが、どこも正面切っては動けません。武器供与などのサポートは実行していますが、このままウクライナは蹂躙されてしまう可能性は充分にあります。これは紛れもない悲劇であり、無力感を感じます。
「平和」が失われたからです。もっと正確に言えば、日本に住む私が「世界ではいろいろ紛争とか戦争が起こっているが、そうはいっても日本は平和を保っていられるだろう」と、のほほんと、漠然と感じていた「安心感」のようなものが、今回のロシアによるウクライナ侵攻でガラガラと音を立てて崩れ去ったと感じているからです。明日からの世界が、本当にどうなるかまったくわからない。
たとえばアフガニスタンからアメリカが撤退したとき、タリバンが一気にカブールまで侵攻して即座に制圧しました。これによって、アフガニスタンで自由を謳歌していた人たちの人生はものの見事に砕け散りました。いともたやすく、あっさりと、昨日まで恩恵を受けていた自由、平和、そういった価値観が一切合切吹き飛んだのです。
ですが、その時の私が感じていたことを、軽い自己嫌悪を交えてあえて言語化すれば、
「アフガニスタンの人たちはかわいそうだけど、そうはいっても日本は今までと変わらず平和だよね」となります。アフガニスタンなんで元々ずっとドンパチやっている国ですし、タリバンのようなイスラム原理主義勢力は、アメリカがメリットが無く撤退したから大手をふるってアフガニスタンを支配できているだけで、世界で主要な役割を演じるだけのプレイヤーではありません。特に日本との関係は薄い。
しかしロシアは違う。
ウクライナは第二次世界大戦から現在まで概ね平和であった東欧の自由主義国家ですし、ロシアは世界屈指の軍事大国であり核兵器保有国です。
そのロシアが体制的にはもはや西側に属するウクライナに侵攻した。西側諸国は正面切って相対できず、このまま侵攻されてしまえば自由主義陣営は何もできなかった、という評価ととなるでしょう。制裁に実効性は無かった。何もできない。それがまざまざと全世界に見せつけられている。今、そんな自体が現在進行形で行われているのです。
「ウクライナの人たちはかわいそうだけど、そうはいっても日本は今までと変わらず平和だよね」
とはなりません。なぜか。
国連安保理の常任理事国で、核保有国で、世界屈指の軍事大国。そして今やロシアなど比較にならないほど世界で存在感を放つ強大な独裁国家が日本のお隣に存在します。もちろん中華人民共和国です。
中国は今、じっくりとロシアのウクライナ侵攻の推移と、西側諸国、特にアメリカの反応を推し量っています。どこまで関与するのか。あるいは、しないのか。
さきほど書いたとおり、アメリカもその他西側諸国もウクライナを救えなかったとなる可能性は充分にあります。そうなると、中国はある程度の確度を持って、中国が台湾侵攻を開始したときの各国の反応を予見できます。
「ロシアのように迅速に台湾の軍事拠点を攻撃、制圧し、首都まで押さえてしまえば西側諸国は手も足も出ない」
そう想定することが妥当であると判断してしまう可能性は決して低くないでしょう。そして、中国の台湾侵攻時はロシアは擁護側に回るはずです。持ちつ持たれつ。
むしろ他の解釈があり得るでしょうか?
もちろん西側諸国の経済制裁は極めて重大な影響を中国に与えるでしょう。中国にとっては、もともと微妙な経済状況であったロシアよりも遙かに痛手となるはずです。
しかし、ロシア程度であっても足並みが揃わず、及び腰だったりもする西側諸国がより強大な中国相手にどこまで強く出られるでしょうか? 世界経済の中心となりつつある中国への経済制裁は世界にとっても大打撃、諸刃の刃とも言えます。中国との貿易を制限すれば、あるいは断てば、世界のどの国であっても大変困ることとなります。
しかも、アメリカが本気で台湾を防衛しようとしたら核保有国の中国との全面戦争を覚悟しなければなりません。中国は明確な核兵器保有国であり、極超音速ミサイルや量子暗号通信など、今や米国に先行する分野もあるほどの軍事大国です。アメリカが自国民を危険にさらして台湾人を守るでしょうか? アフガニスタンを助けず、ウクライナも助けられなかったのに、そう信じるべき根拠はいかほどでしょう? もちろん台湾はアメリカにとってウクライナより重要でしょうが、しかしどれほど期待できるかと言えば相当に怪しいのではないでしょうか。
これは日本にも言えることではあります。日本には日米安保条約があり、各地に米軍基地があるので、また台湾とは話が違ってくるのですが、それでも上と同じ疑問は残ります。
蛇足ですが、日米安保条約にきっちり目を通したことの無い方は、これを機に押さえておくのも良いかと思います。
しかし。中国の台湾侵攻が始まったら日本は否応なく巻き込まれることとなります。
実は台湾と日本の最西端、与那国島の距離は驚くほど近く、条件が良ければ目視できるほどです。そして与那国島には自衛隊が駐屯しています。
中国と台湾の航空戦力が衝突した場合、ほぼ確実に日本の領空で戦闘が起きるでしょう。戦闘機の速度をもってすれば、台湾-与那国烏間の約100kmなど数分で到達してしまいます。日本の領空でドッグファイトが行われる可能性はかなり高いと考えざるを得ません。その際、日本は座して見ているのでしょうか? お決まりの「遺憾を表明」でしょうか? 自国で戦闘が行われているのに?
それとは別に、もちろん沖縄には米軍基地があります。アメリカは台湾有事にどう動くのでしょうか? 動くとしたら、そこに在日米軍基地や日本が無関係でいられる道理があるでしょうか?
ありません。形はどうあれ、台湾有事には、日本は確実に巻き込まれます。
台湾有事がそれなりに現実味を持つに至った今日、それがどのような展開となるかまるで予想が付きません。多少の小競り合いで済むのかも知れません。あるいは尖閣諸島や八重山諸島、宮古諸島を実効支配される可能性もあります。全面的な戦争になった場合、東京などの大都市に核兵器が落ちる可能性すら、無いとはもはや言い切れないのです。極超音速ミサイルの時代、ミサイル防衛には期待できません。
そのときアメリカは日本のために血を流すでしょうか? アフガニスタンを見捨て、今ウクライナで再び前例が作られてしまうかも知れないのに?
そもそも、今回のロシアの侵攻すら、どこに行き着くのかわかりません。プーチンは核兵器の部隊に臨戦態勢をとるよう指示したそうです。追い詰められたプーチンが核兵器を行使するシナリオも充分以上に考えられる状況です。そうなればもう、世界は何一つ先が予見できない混沌状態となります。
「平和」が失われてしまいました。
少なくとも、私が横浜で日々を暮らし、漠然と感じ続けていた「平和」は、もはや存在しません。それが今回の衝撃の理由です。
ごく一般的な市井の民にできる事は少ないです。ですが、今はほんの少しでもウクライナのために、できる範囲でできることをするのが得策でしょう。寄付や声を上げること、正確な情報の拡散と偽情報の除却。これらは意味の無いことではなくむしろ我々が考える以上に大きな価値を持ち、そして何もウクライナ人のためだけではありません。自由主義陣営、民主主義国家に住む人、とりわけ台湾、そして中台関係という巨大な爆弾を至近距離に抱え、中ロ北朝鮮という独裁的な核保有国がお隣さんである日本の未来に、微力ながら貢献できる行動なのです。
また、状況の把握と各種の備えも、しておくに限ります。それでなくとも日本は災害大国ですからね。災害の備えと一緒に有事の備えもしておきましょう。どんな備えをすれば良いかは今私も勉強中です。