ラグジュアリー商品の作り方、実は簡単です。
「ラグジュアリーの商品は本質的な価値を形にしたもの」ですから、それを逆にすれば良いのです。
つまり「本質的な価値を形にすればラグジュアリーの商品ができる」という話になります。
ここでは例として、万歩計を挙げてみたいと思います。
(以前に書いていた以下の記事を深堀します。
元の記事もよろしくお願い致します)
上記リンク先の記事では山佐時計計器様が「ゲームポケット万歩 GK-700 令和の伊能忠敬~歩いてつくろう日本地図!」という商品を出した話をしています。
伊能忠敬とは、また良いところに目を付けましたねー。
伊能忠敬は歴史上の人物で、正確な日本地図を作成した偉人ですから。
しかも、この伊能忠敬が作成した日本地図はそのあまりの正確さ故に、日本の植民地化を阻止することになった一因にも数えられています。
というわけで、何が言いたいのかと言いますと「ラグジュアリーに必要な、本質的な価値(伊能忠敬という歴史上の人物であり、歴史)があるじゃない」という話です。
ただし「希望小売価格 5,500円」とは、普通の万歩計に比べるとお高めですが、現時点では「プレミアム」に留まっています。
(もっと詳細に書きますと「歩いた歩数を距離に換算することによって日本地図が作成できるという、プレミアムな機能の付いた万歩計」となります)
ここから「ラグジュアリー」にするのはどうするのか?
まずは機能から、デジタルをやめてアナログにしましょう。
この時点で、山佐時計計器株式会社様は他メーカーに依頼することになります(今はデジタルしか製造されていないようですので)。
そしてさらに豪華にラグジュアリー化するには、独立時計師の菊野昌宏氏に依頼し、丸投げすると良いでしょう。
独立時計師の菊野昌宏氏と言えば、和時計で有名です。
2015年製作の「和時計改」は1800万円だそうですが、独立時計師さんの作品はこのぐらいは当たり前です。
何といってもねじ一本から手作りですから。
とはいえ、菊野氏の作品で最もお求めやすい価格ですと500万円らしいですが、今回は腕時計ではなく万歩計ですので、一から設計をして頂かないとなりません。
そのため推定価格で2000万円としておきます。
もちろん美しい見た目で、単位の表示も漢字、それも伊能忠敬に経緯を表して江戸時代の表記です。
えっ?!
読みにくい、ですって?
そんなこと気にしちゃーいけませんぜ、旦那。
H.モーザーのベンチャー、値段を調べてみると350万円ぐらいでした。
秒針なしインデックスなしで文字盤も針も黒くて、時刻や時間がわかりにくいったらありゃしません。
表も個性的ですが、裏側もシースルーでめちゃキレイです。
というわけで、このベンチャーに限らずラグジュアリーな腕時計は「(腕時計というよりも)ついでに時間もわかる美術工芸品」の扱いなんですよね。
ところで、2000万円の素晴らしい万歩計ができたとして、売れるでしょうか?
売れないでしょうね、多分。
やっぱ値段が値段ですからねー。
ラグジュアリーの定番と言えば腕時計と自動車ですが、これらは全世界のお客さんが対象になりますので、日本国内で無理となったら外国で販売することができます。
でも、万歩計は国内市場のみですから。
で、ここまでがタイトルの「売れるかどうかの話は別」の理由その一です。
理由その二は「そもそもこの商品が実現することはない(実現しないものは売ることができないから、売れない)」というものです。
「万歩計」と言えば、山佐時計計器株式会社様が「万歩計®を作りつづけて50年以上」と自ら最も誇りに思い、最も大切にしている商品です。
その「万歩計」を、丸投げで他者に依頼することがあるでしょうか?
あり得ないですよね。
というわけで、今回は「ラグジュアリー商品の作り方(実際には売れないけど)」を考えてみました。
表向きには書けないことを「裏」で書きますので、ご興味がある方はそちらもよろしくお願い致します。